文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

地上絵

2021-10-02 08:58:41 | 書評:その他

 

 本書は、橋爪さんの詠んだ短歌を集めた歌集である。現代風の短歌がならんでおり、なかなか楽しい。例えば次のような歌だ。

I am a 大丈夫 ゆえ You are a 大丈夫 too 地上絵あげる(p12)



 英文が入っている短歌は初めてみたが、面白い試みだと思う。

 体裁としては、タイトルの入っている頁は2首、入っていない頁は3首となっている。だから見開き2頁には、5首ないし6首の歌が入っていることになる。

 このタイトルは、その部分に収められている短歌からとられているが、「熱帯夜」と言うパートには、その単語が見られない。短歌にそのものずばりのキーワードが入っていることが多い。たとえば「地上絵」と言うパートには、上記の短歌が収録されているが、歌の中に「地上絵」というキーワードが見られる。このように収められている歌のひとつにそのものずばりのキーワードが入っているという訳だ。

 しかし幾つか例外がある。「星とカメレオン」と言うタイトルは、次の2つの歌から取られているのだろう。

よせがきに君が小さく描いてあげた舌のくるくるしたカメレオン(p16) 
坂道の降りきるまでをつなぐ手でたとえばも燃やせないこと(p17)



これも原則から言えば変化球だ。「とおざかる星」というパートに収められている歌である。

おそろいのキーホルダーはいつまでも持っててほしい星とおざかる(p84)



 お気づきだろうか。最後の言葉をそのものずばり使っている訳ではなく、ひっくり返して使っているのだ。

 ただ歌のまとめ方と、パートのタイトルの付け方には異論がある。歌集を編むときは、何らかの意図を持って歌を纏めるはずである。そしてその纏めた意図に相応しいタイトルをつけるのだ。しかし、何度読み直しても、そのパートに収められた歌からは、タイトルの意図が感じられない。もし私の読解力不足ならご容赦を。

☆☆☆

 

 

 

 

コメント
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