文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

蜘蛛となめくじと狸

2019-10-02 09:09:39 | 書評:小説(その他)
蜘蛛となめくじと狸
宮沢 賢治
メーカー情報なし

 宮沢賢治による童話の一つであるが、何とも奇妙な話である。なにしろ蜘蛛もなめくじも狸もみんな死んでしまったのだから。

 どこからか森にやってきた蜘蛛は、最初はひもじくって大した巣はかけられなかったが、獲物を食べてだんだんと巣を大きくしていく。そしてきれいな女の蜘蛛と夫婦になり、二百疋の子供を持つが、そのうち198疋までは死んでしまう。

 蜘蛛はなめくじにバカにされたときは、いいかえしてなめくじをくやしがらせたが、狸にばかにされた時は悔しがり、一生懸命にあちこちに網をかけた。ところが獲物が腐敗して、それが蜘蛛一家にうつり、とうとう雨に流され死んでしまう。

 そして、なめくじは、親切なふりをしてかたつむりや蜥蜴を騙し、食べてしまうのだが、雨蛙には逆に食べられて、死んでしまう。

 狸は、山猫大明神を拝むふりをして、兎や狼を騙して食べてしまうが、病気になり死んでしまう。

 一体賢治は何が言いたくてこんな奇妙な話を書いたのだろう。もしかすると、調子に乗りすぎると碌なことはないと諫めているのだろうか。

☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

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