文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
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「オリンパス2年間で2700人削減」の記事に思う

2012-06-10 11:09:52 | オピニオン
 6月8日(金)に配信された時事通信の記事によれば、オリンパスは「国内外で30カ所ある製造拠点のうち約4割の廃止などで、2014年3月期末までに全従業員の約7%に当たる2700人を削減する方針」とのことだ。

 オリンパスの技術は、誰もが認める優れたものだ。これは、業務執行能力のある社員が揃っていることの証明だろう。新技術を研究開発し設計する。それを現場の技術で製品に落とし込み、営業の力で顧客に売り込む。製品が売れれば、更なる技術開発の弾みがつく。このサイクルがうまく回っていたからこそ、あれだけの技術が蓄積できたのである。

 それまでの蓄積を、旧経営陣は、財テクの失敗と損失隠しという不法行為により、一気に吹っ飛ばしてしまった。ところが、その責任はリストラと言う形で社員に回ってくる。これは、社員からすれば堪らないだろう。どんなに優秀な社員が揃っていても、経営陣が愚かだと、会社は一瞬にして傾いてしまう。オリンパスの例は、その典型だ。

 一般に、リストラを募れば、優秀な社員から辞めていくと聞く。なぜならば彼らには、そこで働かなくても、行くところがあるからだ。特に優秀な技術者などは惹く手あまたではないだろうか。リストラが思ったような効果を上げるかは疑問である。

 経営者の責任というのは、非常に大きい。だからこそ彼らは、高給をもらっているのだ。親分のやったことだからといって、不正行為隠しに汲々とするような人物ではなる資格はない。しかし、我が国のほとんどの会社では、建前としては株主が選んでいるという形はあるものの、実際は親分子分の関係で役員が選ばれるというのが殆どだろう。そういった親分子分の関係だと、前経営者がやったことはなかなか明らかにしにくい。こういった親分子分の関係ではなく、本当に経営者の資質を持ったものが選ばれるようなシステムづくりが、上場企業には必要なのではないかと思う。


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アゴラ 変われぬオリンパス --- 岡本 裕明
コメント
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