美術と本と映画好き...
徒然と(美術と本と映画好き...)




久しぶりにあがった感覚を覚えた展覧会でした...

そう、ここ半年くらいはばたばたしていて、そういえば、あまり展
覧会には行けませんでした。なので久々の重量級の展覧会にくらく
らと...点数はそんなに多くありませんが、初日はそんなに混んでい
なかったので、ゆっくりと二周ほどしました。

私の好みはタヒチに行く前の作品です。ブルターニュで描かれた風
景画がいいなぁ...『ブルターニュの少年と鵞鳥』とか『家畜番の少
女』とか...色がとてものびやかです。あるいは東郷青児美術館から
借りてきた『アリスカンの並木道、アルル』。普段は薄暗い展示室
で厳めしくしていますが、明るい光でも確かな存在感がありました。

そこからタヒチに移って描かれた『パレットをもつ自画像』。私の
好きな映画に『髪結いの亭主』という作品があるのですが、それは
それは色彩が豊かな官能映画...そして、ゴーギャンが描いた自画像
は、まさに髪結いの亭主を演じるジャン・ロシュフォールそのもの
なのでした...
# できすぎだなぁ...(^^;

そこから続く『エ・ハレ・オエ・イ・ヒア』は深い自然を背景にし
たボリューミーな女性...そわそわした様子で、いったいどこへ、行
くのでしょう...?

このあたりの作品から死の影がうっすらと射すように思えます...

それが頂点に達するのが『我々はどこから来たのか我々は何者か我
々はどこへ行くのか』。横長の舞台装置のようにも見える空間に、
点々とたたずむ女性逹...ここは南国の楽園...のはずなのに、目の
前にかかるベールのような重さは何なのだろう...

高山辰雄はゴーギャンに影響を受けたといいます...

高山の描く人物は、ひっそりしていてかよわげだし、生命力もそん
なに強そうには見えないのですが、死の気配を感じることはありま
せん。しかし、ゴーギャンの描く人物たちは、死に向かっているこ
とを知っていて、そのことを隠す風もなく、ごくごくあたり前のも
のとして受け止めているかのようにみえます...

結論:やっぱり私はタヒチに行く前の作品がいいなぁ...(^^;

ゴーギャン展 (東京国立近代美術館) -9/23


そう、私が初めてゴーギャン凄いと思ったのが四年前の『ゴッホ展
でした。『水飼い場』という作品に描かれた牛のたっぷりとした量
感と緑が薫るような空気感に、その前を立ち去り難くなったのでし
た。

コメント ( 6 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
Unknown (はろるど)
2009-07-10 21:56:53
こんばんは。ゴーギャンの展覧会、まさに重量級と仰るのにぴったりでしたね。日本の暑い夏に「暑苦しい」ゴーギャンを見るのもまた趣深い(?)と思いました。

>高山辰雄はゴーギャンに影響を受けた

練馬で出品された大作を思い出しました。
どちらが心に響くかというと高山さんの方だったりして…。

自分でも予想しないほど「色」に引かれたので、何度か見に行きたいです。
 
 
 
Unknown (lysander)
2009-07-11 01:57:17
はろるどさん
コメントありがとうございます。

> 自分でも予想しないほど「色」に引かれたので、
色...タヒチ前やタヒチ後に比べると、タヒチにいる時の
色が濁って見えたのが不思議でした。
# タヒチにいる時の方が鮮やかに見えてたはずなのにな...
 
 
 
Unknown (Tak)
2009-07-14 18:41:58
こんばんは。

「静か」な展覧会でした。
これから夏にかけては
定かではありませんが。

夏は夏で似合うかな。

また行かねば!
 
 
 
Unknown (lysander)
2009-07-15 00:56:35
Takさん
こんばんは

> 「静か」な展覧会でした。
> これから夏にかけては
> 定かではありませんが。
そうですね...
# 涼しくなってから再訪しようかなぁ...
 
 
 
Unknown (とら)
2009-08-03 08:52:51
やっと行ってきました。重量級でした。
 
 
 
Unknown (lysander)
2009-08-04 01:11:21
とらさん
こんばんは

この展覧会の文脈ではタヒチのゴーギャンは深刻そうに
見えてしまいます。
もっとからっとした文脈での展示を観たいとも思います。
 
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