美術と本と映画好き...
徒然と(美術と本と映画好き...)




久しぶりにシャープな写真集...

今年、初めて上野の VOCA展に行きました。いろんな作品があってな
かなか楽しめたのですが、中でも印象に残ったのは写真の展示...

上から見下ろすアングルの写真が七枚、雪の中の小さな花の脇に、
誰かの部屋が写っていたりして、一見、アトランダムに並べられた
スナップ的な写真なのですが、あるリズムが感じられてとても心地
よい...そう、これはロックの感覚だ...

それが森本さんの作品との出会いでした...

そんな森本さんの作品が、今、大塚で観られます...
茂木綾子・森本美絵展 (MISAKO & ROSEN)

VOCA 展で展示されていた大きな写真は七枚組みで、百万くらいする
そうです。それが大塚のギャラリーでは小さな作品を一枚ごとに販
売しています。それぞれの作品には透明なケースもついていて、七
万ちょっとで買えるそうです。

森本さんの作品はどれも正方形なのですが、正方形の写真といえば、
最近、私が入れ込んでいる野口里佳さんの作風を思いおこします。
二人とも三十代の女性だし、どことなく似た作風を感じさせますが、
よく見ると全然違うのだなぁ...

野口さんの写真はコンセプトの塊です。構図といい色味といい、一
点一点の作品からは欲しいイメージを捕らえようとする意志が感じ
られます。だからひとつのテーマを掘り下げるときには同じような
テイストの写真を並べていて、それはそれで統一感があって気持ち
よい...

それに対して森田さんの写真はあくまで感覚的。身近な暮らしの中
から切りとったスナップは即興的です。だから違ったモチーフを並
べた時に感じられる組み合わせに面白さがあるのだと思います。多
くのイメージの中からピックアップされた写真...

対照的な二人の作品からは、時代の空気が感じられます。

例えば、60年代、70年代、若かりし東松照明や森山大道がばりばり
撮ってた頃は、学生運動なども盛んで、白と黒の光が強烈で、それ
が時代を写していました。

それから、三十年、四十年経った、21世紀の野口さんや森田さんの
作品は、柔らかな色味の中に、キラリとした才気を感じさせます...
# そういえば、二人とも木村伊兵衛写真賞、もらっていませんね...
# つばをつけるのであれば、今のうちかもしれません...(^^;

さて、大塚のギャラリーに話を戻します。

会場には森田さんの Slicer という写真集が売られています。これ
がめちゃくちゃ格好いい。印刷もきれい。興味のある人は以下のサ
イトで何枚かの写真が覗けます。
Slicer (森本美絵)

会場の MISAKO & ROSEN は若い女性が切り盛りしている気持ちのよ
いギャラリーです。時間のある方は遊びに行くといいのでは...
「茂木綾子・森本美絵」展 (MISAKO & ROSEN) - 4/22 まで...
# 場所は行きにくいので、地図は必須です!

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
懐かしい! ()
2007-04-20 01:35:46
森本さん、以前よく一緒にお仕事しました。奈良さんのアトリエを撮った頃から、アーティスト的なお仕事が増えたみたいですね。昔から、ファッション写真をとっても、空気感とか光の感じがニュアンスのある方でした。
 
 
 
Re: 懐かしい! (lysander)
2007-04-21 00:45:08
海さん
こんばんは

> 森本さん、以前よく一緒にお仕事しました。
おお、そうでしたか。昔の知り合いの近況が、
人の日記で知れるというのも面白いですね。
こうした作品の前にはどんな写真を撮ってい
たのでしょう。興味津々です...(^^)
 
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