美術と本と映画好き...
徒然と(美術と本と映画好き...)




この小説にはあちこちにこどもやこどもの頃の思い出が出てくるけ
ど、とってもひりひりします。最近、ダブルバインドという言葉に
ついて考える機会があったので、この小説自体がそのための仕掛け
のようにも読めました。
# でも、村上春樹ってこんなに露悪的だったっけ...(^^;

もう少し読みたかったのは物語の発端になった劇中の小説『空気さ
なぎ』がリライトされる場面や、宗教団体さきがけのリーダーがリ
ーダーになる場面。それはパシヴァ(=感覚する人)によって引き出
されるレシヴァ(=受け入れる人)の幸福(それは創作する人たちが感
じる至上の喜びの言葉)や、そうなるべく定められた男の諦念(思惑
の外から働いてくる大きな力につぶされそうになる男の無常の言葉)
だったりしたのではないか...

と、読めたとか読みたかったとか書きましたが、あちこちに仕掛け
があって、一度で読み切れる作品ではありません。こんな混沌とし
た世界をほんのわずかな期間で何十万もの人たちが手にしているっ
て、いったいこの世はどういう世界でしょう...(^^;

この続きはあるのだろうか...

もし、あるのだとしたら、それは新しい教祖の物語になるのではな
いかと思う。21世紀の宗教の話。そんな続きを読みたい。

おまけ 村上春樹について書いたこと
中国行きのスロウ・ボート(村上春樹)
蛍・納屋を焼く・その他の短編 (村上春樹)
走ることについて語るときに僕の語ること (村上春樹)
グレート・ギャツビー (村上春樹訳)
語るに落ちる(村上春樹)

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コメント
 
 
 
Unknown (さちえ)
2009-06-10 09:06:28
わたしも読了しました。
宗教団体内の抗争がもうちょっと書かれるのかな、と思ったけどそうでもなかったり、ふかえりの家族のことももう少し詳しく知りたかったな、と思ったり。
結局は超がつくほどの純愛モノだったんだなぁ、と。
Book3に続きそうな気がするのだけど、さすがにないでしょうか?
青豆さんのラストはちょっとぐっと来ましたよ。
 
 
 
Unknown (lysander)
2009-06-11 00:45:23
さちえさん
こんばんは

> 純愛モノだったんだなぁ、と
昔の思い出を胸にあたためながら暮らして...
というのは良い設定だと思いました。
# 生活とは結びついていない気がしましたが...(^^;

青豆さんについては、まだ、引き金は引かれ
ていないと思っています。
 
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