美術と本と映画好き...
徒然と(美術と本と映画好き...)




内藤礼さんの作品を観たいなぁ...と思っていた...

私はどちらかというと古い作品よりも新しい作品が好きだ、と書く
と正確ではないな。何かを観るときにもっとも着眼するのが視覚的
印象なので、目の前にある作品を歴史などと結びつけて観るような
やり方を好みません...

で、たとえば洋画について言うと、私の視覚が歴史の呪縛から自由
になれるのが印象派以降の作品なのです。日本画はどこら辺からだ
ろう。江戸時代かしら?浮世絵なんかは楽しいものね...

それにしたって 100年とか 200年とか昔の作品だったりするので作
品の特徴やら評価やらはある程度定まっています。当然、実物に触
れることで大いに目を楽しませてもらえるし、感動することも多々
ありますが、視覚的なイメージとしては子どもの頃から馴染んでい
るものが多い...

そんな枠にはまらない作品に出会えること、それこそが現代の作家
の魅力なのではないかと思います。

私の知人でデパートの美術部に勤めていた人がいて、近頃は横文字
のアートと呼ばれる作品が増えるばかりで、いわゆる美術の範疇に
入れられる作品が減っている、と嘆いていたりします...

私なんかは、そういう意味での美術の作品は十分に蓄積されている
のだから、どんどんアートな作品が増えればいいと思っています。

そんな今の時代に創られる内藤礼さんの作品を観たいなぁ...と思っ
ていた...

直島にある『このことを』という作品は予約しなければ観られませ
ん。これが結構人気のある作品でね。直島に訪れる一週間前には予
約が埋まっている状態でした(きんざの予約表)。

一週間後、直島行きのフェリーに乗ることになり、船の上から電話
をかけてみたら、やっぱり予約は空いていないといいます...

縁がなかったのかもしれないな...

それにしたって、他にも観るべき作品はたくさんあるだろうから、
そんなにがっかりはしませんでした。そんな風向きが変わってきた
のがベネッセハウスに泊まることを決めてから。夜の Oval で夜の
ビールを飲んだあと、ホテルに戻ってほろ酔い気分、フロントでき
んざの予約ができないかどうか聞いてみた。ちょうど空きができた
という返事...歓喜...

ベネッセハウスに泊まったことが、この幸運にどれだけ寄与してい
るのか分かりませんが、本当に泊まって良かったと思わせられまし
た...(^^;

当日...

蔵のようなきんざの建物の、厚い扉を横に開いて足を踏み入れます。
中央にぼんやりとした光、それがふとした瞬間に、まっしろくくっ
きりとした真円に変わります。目を凝らせば、そこかしこに散らば
る小さなものたち。これは鑑賞者自身が身を寄せないと、観えてこ
ない作品です...

ゆっくりと視線を泳がせると、左右対称の構成になっています。足
元のビー玉が外の光を受けながらきらきら光っていたり、まっしろ
い線香のように見える柱が、実は天井から下がっている細い糸だっ
たり...

蔵の中でひとりたたずんでいるうちに、色んなものが見えてくるの
がとても楽しい。ちょっとかがんだ拍子に地面に手をついた、ぴた
っと冷たく、だけど温もりが感じられる、蔵の中の、土...

こればかりは体験しないと分からないのではないかな...

なんて書きつつ、私は、
一度だけ行った内藤さんの個展
一冊だけ持っている内藤さんの作品集

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