地上はどんなところだったか 内藤礼 (ギャラリー小柳)

ちいさな作品をみてきた。淡い作品をみてきた。銀座でみてきた。

地上はどんなところだったか(What Kind of Place was the Earth ?)...
東京では二年ぶり個展だそうです。

内藤さんの作品はうっかりしていると見過ごしてしまいそう。紙、
糸、土、色鉛筆、アクリル...そんな素材たちから生まれるちいさく
て、淡い世界がひっそりとそこに在ります。ちいさいから注意しな
いと通り過ぎてしまう。淡いからみつめなければみえてこない。

例えば『ナーメロンロス／リヒト』という桃色の色鉛筆で描かれた
作品があります。ドイツ語で『無名／光』という意味なのだそうで
す。遠くからは桃色の淡いがみえるだけなのですが、近づくにした
がってディティールが現れてきます。光に向かってまっすぐ続いて
いくトンネル。あるいは生命が感じられる球体。ぼんやりとしてい
たイメージが思わぬ力強さを持っていることに驚きます。

あるいは淡く着彩されたちいさなアクリル板の『地上はどんなとこ
ろだったか』。あるいは三枚のちいさな紙を糸で繋いだ『舟か花か
磔か』...ちいさくてもそこにある。そこにあるから私にみえる。

ちいさいが故に感じられる存在感。
みることの喜びが感じられる三十分でした...

いくつかの作品は持ち帰れます。
内藤さんらしい、ちいさな作品...

内藤さんの本を二月に買いました。