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20XX年財政破綻の名で朝日が煽るもの
このエントリーでふれたように、2010年度予算案は92兆円を超える最大規模になっています。一方で見込まれている税収は37兆円程度。その差を埋めるのが、国債。44.3兆円の発行が予定されています。膨大な発行残高を抱えるわが日本国。予算案ではなにしろ税収を国債発行が上回るのは史上初ということですから、この先どうなるのだろうという不安が先立っても不思議ではありません。
「20XX年念財政破綻 その時…」。朝日が昨日付朝刊一面に立てた見出しです。センセーショナルなところにいかにもマスコミという感を抱かざるをえません。が、しばらく朝日のいうことに注目してみたいと思います。やや長くなります。
ある週末の夜、首相官邸の記者会見場は熱気に満ちていた。緊急会見に臨んだ首相が震えた声で切り出した。 「国民の皆様、深刻なお話を申し上げなければなりません。日本の財政は破綻の危機です。本日、国際通貨基金(IMF)に緊急支援を要請し、関係国と協議に入りました。挙国一致内閣で危機を乗り切るため、野党各党に政権協議を呼びかけます」 続いて財務相が「前年度比5%以上の歳出削減を5年間続ける」などの「財政再建緊急プラン」を公表した。極秘に練り上げたプランだ。数カ月前から国債の引受先を決める入札が不調に終わるようになり、海外の市場関係者の間に「日本は投資先として危険」とのリポートも出回っていた。 財務相が、1年前に税率が20%に上がったばかりの消費税について「当面の間25%にします」と語ると、テレビ中継を見ていた財務省幹部は、若手にささやいた。 「おれが入省した時の首相は『4年間は5%から上げない』と断言していたんだぜ。今思えば、その時の10年度予算が転落の節目だった。戦後初めて当初予算で税収より多い国債を発行したんだ」 外国為替市場で円安ドル高が一気に加速。週明けの市場でも国債が投げ売りされ、長期金利は跳ね上がった。株価も過去最大の下落幅に。市場は「日本売り」一色となった。 「お札が紙くずになる」「預金封鎖も近々ある」。うわさがネット上を飛び交い、現金を引き出そうと、銀行には長蛇の列ができた。貴金属店は、金塊や宝石を買い求める人でごったがえした。 輸入品などの物価が高騰。ガソリンは連日1㍑当たり10円以上のペースで値上がりし、野菜や肉、魚も2倍以上の値段に。スーパーでは「クレジットカードや電子マネーでの支払いはお断りします]との張り紙。人々は現金をかき集め、日用品の買い占めに走った。 原料を輸入に頼るメーカーは経営難に陥り、工場の操業停止と従業員の解雇が相次いだ。銀行は国債暴落で巨額の損失を抱えた。混乱は金融システムに飛び火し、誰にも制御できなくなっていた。 |
このいわばリードにつづいて、朝日は、3面に大きなスペースをとって日本国の破局のシナリオを描いています。記事の契機には前述したように、国債発行が税収を上回るという「異常事態」があります。
朝日の論調は、破綻必至といわないまでも、相当程度に破綻する可能性が高いというところでしょうか。こう危機感を煽るのは何故でしょうか。上にあげた引用部分のなかで、唯一、破局回避策に思われるような部分をあげられています。それはこのくだり。
財務相が、1年前に税率が20%に上がったばかりの消費税について「当面の間25%にします」と語る… |
こう財務省に朝日は語らせています。むろん現実の菅直人財務相が消費税増税にすでにふれたのは周知のこと。私は、朝日のこの特集の核心はこの部分にあると思います。明言こそしていないものの、破局回避は諸費税増税だということを読者に暗示する役割を、この記事は果たしているとみます。
たとえば、3面のQ&Aで、日本破綻を防ぐには、どうしたらよいのという問いで、「財政赤字と借金を減らす努力を続けるしかない。方法は歳出削減と歳入増の2つ。税金の無駄づかいを減らすことが大事だけど、それだけで十分とは考えにくいし、福祉を切り捨てるわけにもいかない。何らかの増税は避けられないだろうし、国民が「広く浅く」負担する消費税が有力だといわれてきた」と応えるという具合に。
しかし、ここで立ち止まらざるを得ません。今日の事態がもたらされたのは、朝日もいうように、税金の無駄づかいと税金のとり方と無関係ではありません。朝日は、「方法は歳出削減と歳入増の2つ」と一般的にのべるにすぎません。その中身、たとえば何を無駄づかいととらえるのか、それはその人の立場を反映し、考え方を表わさざるをえないでしょう。朝日も同じように、朝日の今日の立場から財政破綻を語っているというわけです。すでに、経営の少なくない部分を新聞広告収入に頼る大手の新聞メディアは、今や消費税増税派といえる。財界・大企業にモノがいえないというわけです。消費税増税は、あの御手洗富士夫がなんども強調しているように財界・大企業が旗をふってきました。自らが法人税減税と輸出戻し税の恩恵を受けるという権益を保持しつつ、今後も保持するために。
今、必要なことは、消費税増税をいう前に、すべてを洗いなおせということです。枝野が登用され、第2弾に着手すると宣伝されている事業仕分けも、やはり聖域を残しました。そこに踏み込めなかった現実があるのです。消費税増税論者、または不可避論者は、その聖域に触れないということで一致しています。
日本国のこのようなメディアの現状ですが、対照的なのはフィナンシャルタイムズのこの記事。客観的にものがみえていると私は思います。
長年苦しんだ日本から世界は何を学べるか |
記事は、そもそもどうして巨額の財政赤字が生まれたのか、その要因にふれ、「追いつけ追い越せの高度成長が終わった後に、企業による過剰な内部留保と投資機会の減少が組み合わさったことが、構造上の根本的問題になった」とのべています。
この内部留保に踏み込むこともふくめて、聖域なしで議論をよびかけることこそ、ジャーナリズムに求められているのではないか。無駄づかいをいくら国民・有権者によびかけても、隠してある部分があっては誰もついていかないのです。
ペンは折れている。そう思える今日のメディアの現状です。財政破綻という言葉で朝日が煽ろうとするのは、消費税増税やむなしという意識ではないでしょうか。
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