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何かと話題のコンビニですが…
「深夜規制」でコンビニが話題になっています。
「規制」を求める勢力の無内容については、非国民通信さんの痛烈なパンチが利いています。
ただ、一方で、このような論調もある。東京新聞の社説です。
コンビニ深夜自粛 生活様式考える契機に
社説は、ドイツの価値観をとりあげ、多少の不便は甘受し、便利さばかりを追求する生活を省みる必要性を支持する立場だといえるでしょう。
同社説によれば、ドイツは家族との時間を重視する伝統的な価値観があって、つまるところ夜は家族の時間だということが強調されているようです。日本は、その対極にあるのかもしれません。深夜、コンビニに出入りするのは、ほとんど強制をともなう飲み会の帰りに立ち寄るか、それとも深夜労働に疲れ果て、まるで労働ラインのただ中にあるかのように、無意識に入るコンビニ。こんなことも想像できるわけです。だとすると、少なくとも飲み会のあとの彼/彼女、あるいは深夜労働明けの彼/彼女にとって、コンビニはなくてはならないものの一つであって、便利/不便という尺度で測れるものではないような気もします。
ですから、これらの人びとにとっては、「便利さばかりを追求する」という指摘は的をはずしたものだいうことになりかねません。つまり、彼らは不便を甘受できる境遇にない、それを選択せざるをえない毎日だということを理解しておくことが大事だと思えます。
このような背景が少なくともコンビニの現状にあると思えるのですが、伝えられている動きは、コンビニ自身に夜の営業から手を引くよう「自主規制」を上から求めるというわけです。
さて、こんな終夜営業規制に直面しているコンビニですが、以下の問題でも今後、話題をよびそうです。
中日新聞を引用します。
コンビニで風邪薬販売 来春にも、店に資格者が条件
話は、逆転して規制緩和にかかわっています。だが、これは緩和にあずかり利益を得るのはもちろんコンビニではありません。コンビニにとっては、扱う商品の品数が増えるにすぎません。
むしろ、規制緩和は、商品を製造する製薬会社のためのものです。
まず、一般薬販売がこの間、少しずつ位置づけが変わってきていることをみなければなりません。今回の報道は、この延長線上にあるのはまちがいないのですが、それだけではなく、一線を超えたともいえるものです。それは、処方せんが不要の一般用医薬品をスーパーやコンビニで買うことができるようになるという点です。しかも、一般薬も薬剤師が要ることが前提でしたが、こんどは薬剤師ではなく、「登録販売者」という新資格があればよいというものです。これまでの「薬剤師のいない一般小売店では医薬品を販売できない」という原則を大きくかえるものだといえるでしょう。
ここで推測できることは、以下のようなものでしょう。
誤解してもらっては困りますが、はなから安全な薬と分かる薬はないといわれています。
医薬品認可のプロセスは、医薬品開発のために、莫大な費用と時間をかけて臨床試験を含め、さまざまな試験が実施され、それらのデータをもとに有効で安全な薬として認可されるというしくみだといわれています。しかし、これでも安全100%ではありません。副作用がゼロの薬もまたありえないといれている。だから、現実には、認可後に使用されている医薬品も、副作用情報の集積に力がいれられ、副作用を減らす努力が図られています。
現行法の下でも、ドラックストアでは、薬剤師不在のまま、専門家による情報提供のないままに、サプリメントなどと並んで医薬品が販売されている現状があるともいわれています。ですから、今回打ち出されている方向は、このまま現状を追認する制度に終わる側面ももっています。
要するに、2006年の薬事法「改正」のこのような具体化は、一般薬の販路を薬局に限っている状況から販路を一気に広げるところに最大のねらいがある。必要な医薬品にかかわる基礎知識を、われわれはこれまで医師や薬剤師からえてきたわけですが、この具体化によって、これまでと同様にそれが保障されるのか否かについては定かではありません。
考えられることは、薬事法「改正」の具体化は、一般薬の販路を薬局に限っている状況から一気に広げようとする力が働いていること、そこに最大のねらいがあるだろうということでしょうか。
コンビニの利便性うんぬんの議論の背後にある、こんな大きな物語にもっと関心をもってよいのかもしれません。
(「世相を拾う」08123)
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