夫の実家に行く。
すごい田舎なのだけれど、実に人の出入りが多い。
近所の人は、家の前を通ると声をかけたり、寄って行ったりしてくれる。
親戚もよく集まって、実に仲が良い。
私の実家でも、特に祖父母がいたころは、盆暮れには親戚の人が来ていた。
でも、彼らはあくまでもお客様で、夫の実家でのように仲が良いとは感じていなかった。
特に母は、妙に小姑根性の発達したところがあって、
兄嫁さんたちが、ああしたこうしたと、祖父母や実の姉である伯母たちによくこぼしていた。
(子供だった私たちに聞こえるところで)
母のそういうところが、私も姉もあまり好きでなかった。
私は従姉妹たちとも特に親しくしていなかった。
小さいころはそれなりに会えば遊んだりしたが、ある程度の年齢からはほとんど知らない人だった。
よく「いとこと遊びに行く」とか「相談にのってもらった」とかいう話を聞くが、
私には別世界の話だった。
でも、まあ、最近では、親世代がだんだん弱ってきて、一人二人とこの世を去るようになり、
従姉妹たちと顔を合わせる機会が増えてきた。
そうしたら、不思議なことに、まるで旧友に会ったかのように自然にお話とかできることが、
ちょっと驚きで、嬉しいことだったりする。
そんなこんなで、私は夫の実家の人間関係が珍しくもあり、楽しかった。
夫の実家にいるときに、夫が少々具合いが悪いときがあった。
別に大したことではなかったのだけれど、
義母は、「大丈夫かな?」みたいなことを私に言う。
そのときに、「ああ、お母さんて、こういうものなんだ」と思った。
一頃、私は頭痛持ちで、それも自分の実家でも、夫の実家でも、行くと必ず頭が痛くなった。
夫の実家に行ったときだけなら実に体裁が悪いが、自分の実家でも必ずそうなのだから仕方ない。
そんなとき、義母は夫に言ったそうだ。
「みなみさん、あんなにいつも頭が痛いなんて、脳腫瘍とか深刻な病気なんじゃない?
一度ちゃんと調べてもらったら?」
それを聞いた私は嬉しかった。心配してもらえた。
それ以来、義母は私の中で「母よりもお母さんみたいな人」になった。
だから、私は一時期夫のことが大嫌いだったときがあったのだが、
そのときには、「離婚するなら、義母を見送ってから」と思ったし。
義母に会うと、「あなたの息子をこんなに嫌ってごめんなさい」と心の中で謝っていた。
(笑い話だよね?)
「母よりもお母さんみたいな人」と言ったけれど、
実母の場合は、多分、母親よりも父親の役割の方が大きかったんだと思う。
だから私は、結婚してやっと父親と母親の両方を手に入れることができたのかもしれない。
すごい田舎なのだけれど、実に人の出入りが多い。
近所の人は、家の前を通ると声をかけたり、寄って行ったりしてくれる。
親戚もよく集まって、実に仲が良い。
私の実家でも、特に祖父母がいたころは、盆暮れには親戚の人が来ていた。
でも、彼らはあくまでもお客様で、夫の実家でのように仲が良いとは感じていなかった。
特に母は、妙に小姑根性の発達したところがあって、
兄嫁さんたちが、ああしたこうしたと、祖父母や実の姉である伯母たちによくこぼしていた。
(子供だった私たちに聞こえるところで)
母のそういうところが、私も姉もあまり好きでなかった。
私は従姉妹たちとも特に親しくしていなかった。
小さいころはそれなりに会えば遊んだりしたが、ある程度の年齢からはほとんど知らない人だった。
よく「いとこと遊びに行く」とか「相談にのってもらった」とかいう話を聞くが、
私には別世界の話だった。
でも、まあ、最近では、親世代がだんだん弱ってきて、一人二人とこの世を去るようになり、
従姉妹たちと顔を合わせる機会が増えてきた。
そうしたら、不思議なことに、まるで旧友に会ったかのように自然にお話とかできることが、
ちょっと驚きで、嬉しいことだったりする。
そんなこんなで、私は夫の実家の人間関係が珍しくもあり、楽しかった。
夫の実家にいるときに、夫が少々具合いが悪いときがあった。
別に大したことではなかったのだけれど、
義母は、「大丈夫かな?」みたいなことを私に言う。
そのときに、「ああ、お母さんて、こういうものなんだ」と思った。
一頃、私は頭痛持ちで、それも自分の実家でも、夫の実家でも、行くと必ず頭が痛くなった。
夫の実家に行ったときだけなら実に体裁が悪いが、自分の実家でも必ずそうなのだから仕方ない。
そんなとき、義母は夫に言ったそうだ。
「みなみさん、あんなにいつも頭が痛いなんて、脳腫瘍とか深刻な病気なんじゃない?
一度ちゃんと調べてもらったら?」
それを聞いた私は嬉しかった。心配してもらえた。
それ以来、義母は私の中で「母よりもお母さんみたいな人」になった。
だから、私は一時期夫のことが大嫌いだったときがあったのだが、
そのときには、「離婚するなら、義母を見送ってから」と思ったし。
義母に会うと、「あなたの息子をこんなに嫌ってごめんなさい」と心の中で謝っていた。
(笑い話だよね?)
「母よりもお母さんみたいな人」と言ったけれど、
実母の場合は、多分、母親よりも父親の役割の方が大きかったんだと思う。
だから私は、結婚してやっと父親と母親の両方を手に入れることができたのかもしれない。