あまりにおぼろげな話である。
かすかなかすかなイメージでしかない。
幼いころ、布団の中で母から聞いた物語。
(本当にそうだろうか?)
主人公(私)は、井戸の中を覗いている。
あるいは井戸の底から上を見上げている。
井戸の壁に、
覗いているのなら下の方。
見上げているのなら上の方。
とにかく手の届かない位置に、二つの小さなきのこが並んで生えている。
その片方のきのこは、かさの色が赤いのか、
蝶でも留まっていたのか、
リボンを着けているような可愛らしいイメージ。
可愛いのだけど、哀しい印象。
本当に母がこれに似た話をしたことがあるのか。
何かの出来事を、私がこんなイメージで記憶しているのか。
それとも夢の中の話なのか。
何年か前に、母の在職中に、教え子が井戸に落ちて死んだことがあったと聞いた。
そう言われれば、そんなことがあったような気もする。
そのことだろうか?
井戸の底から見上げているのだとしたら、
死者の目線とも考えられる。
胎児のままで亡くなった兄の思いだったのかもしれない。
だとしたら、二つのきのこは、姉と私?
かすかなかすかなイメージでしかない。
幼いころ、布団の中で母から聞いた物語。
(本当にそうだろうか?)
主人公(私)は、井戸の中を覗いている。
あるいは井戸の底から上を見上げている。
井戸の壁に、
覗いているのなら下の方。
見上げているのなら上の方。
とにかく手の届かない位置に、二つの小さなきのこが並んで生えている。
その片方のきのこは、かさの色が赤いのか、
蝶でも留まっていたのか、
リボンを着けているような可愛らしいイメージ。
可愛いのだけど、哀しい印象。
本当に母がこれに似た話をしたことがあるのか。
何かの出来事を、私がこんなイメージで記憶しているのか。
それとも夢の中の話なのか。
何年か前に、母の在職中に、教え子が井戸に落ちて死んだことがあったと聞いた。
そう言われれば、そんなことがあったような気もする。
そのことだろうか?
井戸の底から見上げているのだとしたら、
死者の目線とも考えられる。
胎児のままで亡くなった兄の思いだったのかもしれない。
だとしたら、二つのきのこは、姉と私?