勝手な言い分

2019-04-14 16:26:13 | 日記
最初に野良猫にエサをやったのは夫である。
私は、「野良猫にエサをやってはいけない」という世間の風潮をかなり意識していたし、
私自身、家を猫屋敷にしたくなかった。
でも、野良猫にエサをやってはいけないとは思っていなかったと思う。
だから野良猫にエサをやる夫を止めることもしなかった。

迷い込んできた猫たちは、エサをもらっても2日、3日で姿を見せなくなった。
マダコが来るまでは。
マダコと一緒にいたキツネちゃんやキツネ太ちゃんも、
時々顔を出すくらいで、居つくことはなかった。
マダコも最初のうちは、毎日ご飯をもらいに来るだけで、
ずっと家に居ついていたわけではなかったように思う。

去年の今ごろは、外猫はマダコとチッチだけだった。
マダコもチッチも仔猫を生んだが、今残っているのはぐーちゃんだけである。
仔猫のままでどこかから迷い込んできたみいちゃんと、どろちゃんと、チビみいちゃん。
彼らは小さい頃に親からはぐれて心細い経験をしたせいか、ずっと家にいる。
みいちゃんは、ちょっと前に2日ばかり留守にしていたことがあったが、ちゃんと帰ってきた。
(だから彼女も妊娠しているかもしれない)

マダコもチッチも具合の悪そうな時はあった。
心配はしたけれども、病院に連れて行くのも…、と思っているうちに元気になった。
でもその時、私は家の中の子と、外にいる子を差別していると思った。
同じ命なのに。
でも、それでいいのかもしれないと思った。
家の子にしてやれることと、外の子にしてやれることは違うのである。
そう割り切らなきゃいけないと思った。

それでも、ぐーちゃんが怪我をした時、そして今回のマダコ。
それを見捨てておくことはできなかった。
「この子はどこか悪いんだろうな」と思いながらも、そのままにしておくことはできるかもしれない。
でも、このままじゃ死んじゃうだろうと思った時にほっておけるだろうか?
(いや、ちょっと違うな)

猫は死ぬ時はどこかに行ってしまうと言われる。
それをどこかで信じていたと思う。
でも、ぐーちゃんもマダコも具合が悪い時うちにいた。
多分、うちが一番安心していられる場所なのだろう。

考えてみれば、家猫よりも外猫の方が、怪我をしたり病気になる可能性は高い。
そんな時、私はどう行動するのか。

外猫を何とかしなければいけない。
もちろん、今いる子たちにエサをやるのをやめるなんてことはできない。
とりあえずはみいちゃんの避妊だろう。
とは思う。
でもこれ以上、病院に行って「野良猫の避妊を…」なんて言いづらい。
夫は、以前から「避妊させた方がいい」とか言いながら、具体的に行動しようとはしない。
ぐーちゃんの時も、マダコの時も、病院に連絡したのは私だ。

みいちゃんに避妊させるとして、
お金のことはともかく、また1週間家の中で保護することになれば…。
それでもそれを乗り切ればすむのならその方がいいのかと思う。
違う病院に行って、話を聞いてみようかとも思う。
でも私がやるの?
最初に野良猫にエサをやったのは夫なのに。

こうして言葉にすると何かちょっと違う気もするが、
こんなような気持ちが今私の中で渦巻いている。
マダちゃんが家の中で元気なくしていることからのストレスかもしれない。
今だって夫は実家に帰っている。
マダコが手術した翌日から。
それは前から決まっていたことだし、用事があってのことだから仕方ないのだけれど、
マダコが家にいる間のほとんどを私が一人で見ていることになる。
元気がなければ不安だし、元気で閉じ込められた部屋で騒ぎ続ければ、それはそれで困る。

大体、私と夫は話し合いというものをしたことがほとんどない。
報告はあるけれど。
記憶にあるのはたった一度、長男が関西の方の私立大学に行くことになったら、
どうやって学費を出そうかと相談した時だけだ。
本当にコミュニケーションの取れない夫婦だと思う。




マダコ

2019-04-14 15:48:09 | ねこ部
マダコは8度目の出産を控えていた。
仔猫が生まれることは困ることでもあるが、嬉しいことでもある。
そろそろ生まれるかなあと思っていると、出血が見られた。
今夜にも生まれるかなあ?

だが、翌日もマダコは子供を生んだ様子はない。
その次の日だったろうか?
朝、マダコは段ボールの箱の中でおとなしくしていた。
明らかに元気がない。
マダコのお腹が大きくなるたびに私の中に過ることがあった。
仔猫が出てこなかったようで死んでしまったちぃちゃんのことである。
今度もそれを思う。
そのことをちょっと夫につぶやいて仕事に出かけた。

2時間ほどして帰宅した。
マダコは朝と同じ場所にいる。
見ると、お尻から何か出ているのが見える。胎盤?
でも、どう見ても出産の途中という状況ではない。
どうしたらいい!?
まあ、短時間にいろいろあったが、とにかく午前中の診療時間に間に合うように病院に電話する。
「診察を希望されますか?」
「お願いします」

先生が子供を出してくれようとする。
マダコが悲鳴をあげる。
何度か繰り返すが出てこない。
「これ以上やると子宮が破れる。帝王切開するしかない」
「このままだと死にますよね?」
「じゃあお願いします」
どうせならと避妊手術をしてもらうことにする。
「衰弱しているので、術中に死ぬ可能性がかなりある」
そんなことを言われて、マダコを預けてくる。

マダコは無事に帰ってきた。
中にいた仔猫は1匹だけだったという。
マダコは大抵3匹の仔猫を生んでいた。
今回も1匹しかいなかったわりにはお腹が大きかったと思う。
実は何日か前に、ちょっとお腹が小さくなったような気がして、
1匹だけとか生んで、お腹の中にもまだ残っているんじゃないかと思った。
でも、お乳を吸われている様子もなかったし、
お尻が汚れてもいないようだったので、
出産が近づいて子供の位置が変わったのかなと思っていた。
そんなことが2回あった。
その時にマダコは仔猫を生んでいたんじゃないかと思った。
(死産だったかもしれない)
でももしそうなら、お医者さんにはわかるんじゃないかなあと思ったりもした。

それから、マダコはエイズに感染していると言われた。
「かみついたり交尾すればうつります」
野良猫だから仕方ないかと思う。
でも、マダコの孫にあたるぐーちゃんはエイズ検査は陰性だった。
母子感染するだろうから、チッチを生んだ時にはまだ感染していなかったってことかなあ。

とにかくマダコは帰ってきた。
傷口を保護するためにタオルで作った簡易服を着せられていた。
家の中で保護して、1週間したら連れてくるように言われる。
困った!
ぐーちゃんを家に入れてから、ずっとグズグズしていたちゃーちゃんとくーちゃんが、
やっと調子良くなってきたところだ。
ここで、マダコを家に入れたらまたどうなるかわからない。

取り敢えずケージにいれて様子を見るが、1週間もケージに閉じ込めているのではあまりにかわいそうだ。
夜になったら、部屋を閉め切って一旦ケージから出してやる。
迷わず窓のところに行き、外に出たくて仕方ない様子。
窓の外ではみいちゃんが様子を見にきていた。
そして私たちの足にすり寄ってぐるぐる回っている。
マダコはこんなに人懐っこかっただろうか?

翌日は2階の部屋に入れてみる。
そこなら猫には開けられないドアだし、ちゃーちゃんたちに影響を与える可能性も少ない。
窓はあるけど、ベランダが見えるだけだ。
マダコの知っている景色ではない。
そのせいか、マダコは一日ベッドの下に潜り込んで動かない。
ご飯もほとんど食べない。
やっぱり外の景色が見えて、人の気配の感じられる下の部屋がいいだろうと、
また1階にお引っ越しさせた。

術後3日目の昨日、気分転換に外に出してやった。
ハーネスをつけてリードに繋いで、私はリードを持ったまま庭仕事をしていた。
最初は、動く元気もないかのようにペッタリと横になっていたのだが、
通りを人が歩いて行ったのに驚いたのか、急に跳び跳ねた。
そして、あっという間の出来事だった。
その瞬間に、ハーネスをはずし、外へ走り抜けて行ってしまった。
ずいぶん離れたところでこちらを見ていたが、すぐに捕まえに行っても逃げてしまうだろう。
しばらく様子を見る。
ぐるっと回って家の裏の方にいる。
そっと近付いて声をかけると、するするっと側溝の蓋のしてある中に入っていってしまった。

こうなってはお手上げだ。
外にいるだけなら大丈夫だと思うが、あのタオルの簡易服を着けている。
雨にでも濡れたら大変だろう。
周りを見ると、溝の中には泥溜まりの残っているところもある。
あんなところでごろごろされたら…。
とにかく夜にでも戻ってきてくれればと思いながら買い物に出かける。

しばらくは戻って来ないかもしれないと思いながらも、マダコに必要な物を買う。
そして帰ってみると…。
裏のマダハウスの中でおとなしくしていた。
そのままおとなしく捕まって回収された。
一安心ではあるが、元気がない。

あれからずっとおとなしくしている。
エサもあまり食べない。
ドライフードは全くといっていいほど食べない。
最初にネコ缶をやった時には喜んで食べたが、今はそうでもない。
今日は一日窓際で横になっている。
やっぱりどこか具合が悪いのかもしれない。