夢子ちゃんは、学生時代の友達。
夢子ちゃんは、誰とでも仲良くできる人で、今、同期生で連絡の取れる人が一番多いと思われる。
夢子ちゃんは昔からなかなか頑固だった。
私はいつもM子ちゃんという友達に怒られていたので、
「私はM子が怖ーい」とM子ちゃん本人に言ったら、
「私は夢子が怖ーい」とM子ちゃんは返してきて、なんとなく納得した。
M子ちゃんとは、二人で一週間くらい九州に旅行した。
それはそれは楽しい旅だった。
夢子ちゃんには、あまり恋愛話がなかった。
ほんの短期間、同じ学科の男の子とつき合っていたようだけれど、
その話はタブーになっていた。
大学を卒業して、ちらほら同級生の結婚話が聞かれるようになったころ、
夢子ちゃんは言った。
「私は、お見合いで結婚する人1号になる」
そのとおりに夢子ちゃんはお見合いで結婚した。
私は、余計なお世話だと思ったけれど、彼女の結婚話が少々不安だった。
私は、精一杯の恋をしてから結婚を決めたけれど、
そういう経験の少なさそうな夢子ちゃんが、お見合いで結婚して大丈夫なんだろうか?
相手の方のお母様も、いろいろと面倒くさいことをおっしゃり、困っている様子。
夢子ちゃんが不満めいたことばかり言うので、「それならやめれば?」と言うと、
夢子ちゃんは真剣に不安がって落ち込んだ。
ちょっぴり悪いことしたかな?と思って言い訳すると、
「でも、いいとこなんて恥ずかしくて言えない」。
だから聞いた。
「じゃ、いいとこはどこ?」
「うーん…。ない。強いて言えば、会社と大学。
本当に、どうしてこんな性格の悪いやつが好きなんだろうって思っちゃう」。
「じゃ、尊敬できる?」
「尊敬なんてしてない」。
そして夢子ちゃんは、その人と結婚した。
お義母さんのことでは、私もびっくりするようなことがあって、よく泣いていた。
「幸い、まだ仕事も続けてるんだから、離婚すれば?」と言うと、
旦那さまの会社は自分の職場の得意先だから、
離婚なんてすれば、私は仕事を辞めなければいけないと。
その後、私も子育てが忙しい時期は、あまり連絡を取ることもなかった。
夢子ちゃんが、哀しそうに「子供はあきらめた」と言ったのは覚えている。
年賀状に、ご主人と旅先のツーショット写真がくるようになって、
それなりに仲良くしてるんだなと思うようになった。
久しぶりに会ってゆっくり話したときには、
ご主人の実家にはほとんど顔を出さないようなことを言っていた。
いろいろあるうちに、そういう無言の取り決めができているような状況なんだろうと思った。
でも、独り暮らしのお義母さんが、病院で検査のときに、
娘である妹さんたちが付き添わないと言ったそうで、
「それはかわいそうだ」と付き添いを申し出たという。
とっても夢子ちゃんらしいと思った。
夢子ちゃんはいつか、「子供ができないってわかった時点で、世の中は不公平だと思った」と泣いた。
夢子ちゃんは、「かけなくていいお金はかけたくない」と言って、
同じ物でも安く売っているお店をめぐり、金券ショップを愛用している。
夢子ちゃんは、少々強迫性神経症の気があって、
家を出るとき、火の元や戸締りが気になって仕方ないのだと言う。
夢子ちゃんは頑固である。
子供のいない夢子ちゃんは、近所にお友達がいなくて寂しいと言いながら、
みんなに、フェイスブックを奨められても、ガンとして拒否する。
私が何かを愚痴っても、大抵は同調してくれない。
淡々と反対意見を述べてくれる。
最近では、私の年代でもみんなスマホを利用していて、
スマホの人は、LINEを使うことが多くて、メールは滅多にしないらしい。
メールは迷惑メールとか、メルマガばかりなので、一々チェックしないという人も多い。
だから、私などメールしてもなかなか返事をもらえないこともままある。
夢子ちゃんはスマホに変えたのに、LINEをしていなくて、
友達からメールの返事が返ってこないことに悩んでいた。
夢子ちゃんに、「ご主人とは仲良くしてるんだね?」と聞くと、
「子供がいないから、夫と仲良くするしかない」と答えた。
そういうものだろうか?
普段、子供がいなかったらとっくに離婚していただろうと思っている私とは大違いだ。
そう、私と夢子ちゃんは、あまりに価値観が違うのである。
夢子ちゃんからメールがきた。
クレジットカードを不正使用されたという。
すぐにカード会社から連絡があり、実害はなかったそうだが、かなり落ち込んでいた。
そう言えば、ずいぶん昔だが、夢子ちゃんはひったくりにあったこともある。
その時は、後で犯人から電話がかかり、
「あんたが警察に言ったから、仲間が捕まった」と言われたそうである。
そんな二度も犯罪に巻き込まれた夢子ちゃんのことを思うと、
私はなんて運が強いのだろうと思ってしまう。
夢子ちゃんは、犬や猫が怖いのだと言う。
そんな夢子ちゃんとランチしたとき、とても雰囲気のいいお店でおいしくお食事できたのだけれど、
そのお店の周囲をぐるりとドクダミが生えていた。
草取りがしていないというのではなくて、観賞用に生やしているという感じだった。
ドクダミが苦手な私はぞくぞくっとしたのであるが、
そんな私を夢子ちゃんは、わがままな人間だというような言い方をした。
私は言った。
「あなたが、犬や猫が怖いのと同じなの!!」
夢子ちゃんは、頑固である。
運転免許をとうとう取らなかった。
夢子ちゃんは、頑固である。
若いころに髪がたくさん抜けた時期があって、
少しでも刺激を与えたくないと、長いこと白髪染めをしなかった。
(近所の子に「おばあさん」と呼ばれて、その後染めるようになったという)。
夢子ちゃんは頑固である。
時々、イラっとすることもある。
つき合いにくいと思うこともある。
でも、私は夢子ちゃんが大好きだし、
これからもずっと良い友達でいたいと思っている。
夢子ちゃんは、誰とでも仲良くできる人で、今、同期生で連絡の取れる人が一番多いと思われる。
夢子ちゃんは昔からなかなか頑固だった。
私はいつもM子ちゃんという友達に怒られていたので、
「私はM子が怖ーい」とM子ちゃん本人に言ったら、
「私は夢子が怖ーい」とM子ちゃんは返してきて、なんとなく納得した。
M子ちゃんとは、二人で一週間くらい九州に旅行した。
それはそれは楽しい旅だった。
夢子ちゃんには、あまり恋愛話がなかった。
ほんの短期間、同じ学科の男の子とつき合っていたようだけれど、
その話はタブーになっていた。
大学を卒業して、ちらほら同級生の結婚話が聞かれるようになったころ、
夢子ちゃんは言った。
「私は、お見合いで結婚する人1号になる」
そのとおりに夢子ちゃんはお見合いで結婚した。
私は、余計なお世話だと思ったけれど、彼女の結婚話が少々不安だった。
私は、精一杯の恋をしてから結婚を決めたけれど、
そういう経験の少なさそうな夢子ちゃんが、お見合いで結婚して大丈夫なんだろうか?
相手の方のお母様も、いろいろと面倒くさいことをおっしゃり、困っている様子。
夢子ちゃんが不満めいたことばかり言うので、「それならやめれば?」と言うと、
夢子ちゃんは真剣に不安がって落ち込んだ。
ちょっぴり悪いことしたかな?と思って言い訳すると、
「でも、いいとこなんて恥ずかしくて言えない」。
だから聞いた。
「じゃ、いいとこはどこ?」
「うーん…。ない。強いて言えば、会社と大学。
本当に、どうしてこんな性格の悪いやつが好きなんだろうって思っちゃう」。
「じゃ、尊敬できる?」
「尊敬なんてしてない」。
そして夢子ちゃんは、その人と結婚した。
お義母さんのことでは、私もびっくりするようなことがあって、よく泣いていた。
「幸い、まだ仕事も続けてるんだから、離婚すれば?」と言うと、
旦那さまの会社は自分の職場の得意先だから、
離婚なんてすれば、私は仕事を辞めなければいけないと。
その後、私も子育てが忙しい時期は、あまり連絡を取ることもなかった。
夢子ちゃんが、哀しそうに「子供はあきらめた」と言ったのは覚えている。
年賀状に、ご主人と旅先のツーショット写真がくるようになって、
それなりに仲良くしてるんだなと思うようになった。
久しぶりに会ってゆっくり話したときには、
ご主人の実家にはほとんど顔を出さないようなことを言っていた。
いろいろあるうちに、そういう無言の取り決めができているような状況なんだろうと思った。
でも、独り暮らしのお義母さんが、病院で検査のときに、
娘である妹さんたちが付き添わないと言ったそうで、
「それはかわいそうだ」と付き添いを申し出たという。
とっても夢子ちゃんらしいと思った。
夢子ちゃんはいつか、「子供ができないってわかった時点で、世の中は不公平だと思った」と泣いた。
夢子ちゃんは、「かけなくていいお金はかけたくない」と言って、
同じ物でも安く売っているお店をめぐり、金券ショップを愛用している。
夢子ちゃんは、少々強迫性神経症の気があって、
家を出るとき、火の元や戸締りが気になって仕方ないのだと言う。
夢子ちゃんは頑固である。
子供のいない夢子ちゃんは、近所にお友達がいなくて寂しいと言いながら、
みんなに、フェイスブックを奨められても、ガンとして拒否する。
私が何かを愚痴っても、大抵は同調してくれない。
淡々と反対意見を述べてくれる。
最近では、私の年代でもみんなスマホを利用していて、
スマホの人は、LINEを使うことが多くて、メールは滅多にしないらしい。
メールは迷惑メールとか、メルマガばかりなので、一々チェックしないという人も多い。
だから、私などメールしてもなかなか返事をもらえないこともままある。
夢子ちゃんはスマホに変えたのに、LINEをしていなくて、
友達からメールの返事が返ってこないことに悩んでいた。
夢子ちゃんに、「ご主人とは仲良くしてるんだね?」と聞くと、
「子供がいないから、夫と仲良くするしかない」と答えた。
そういうものだろうか?
普段、子供がいなかったらとっくに離婚していただろうと思っている私とは大違いだ。
そう、私と夢子ちゃんは、あまりに価値観が違うのである。
夢子ちゃんからメールがきた。
クレジットカードを不正使用されたという。
すぐにカード会社から連絡があり、実害はなかったそうだが、かなり落ち込んでいた。
そう言えば、ずいぶん昔だが、夢子ちゃんはひったくりにあったこともある。
その時は、後で犯人から電話がかかり、
「あんたが警察に言ったから、仲間が捕まった」と言われたそうである。
そんな二度も犯罪に巻き込まれた夢子ちゃんのことを思うと、
私はなんて運が強いのだろうと思ってしまう。
夢子ちゃんは、犬や猫が怖いのだと言う。
そんな夢子ちゃんとランチしたとき、とても雰囲気のいいお店でおいしくお食事できたのだけれど、
そのお店の周囲をぐるりとドクダミが生えていた。
草取りがしていないというのではなくて、観賞用に生やしているという感じだった。
ドクダミが苦手な私はぞくぞくっとしたのであるが、
そんな私を夢子ちゃんは、わがままな人間だというような言い方をした。
私は言った。
「あなたが、犬や猫が怖いのと同じなの!!」
夢子ちゃんは、頑固である。
運転免許をとうとう取らなかった。
夢子ちゃんは、頑固である。
若いころに髪がたくさん抜けた時期があって、
少しでも刺激を与えたくないと、長いこと白髪染めをしなかった。
(近所の子に「おばあさん」と呼ばれて、その後染めるようになったという)。
夢子ちゃんは頑固である。
時々、イラっとすることもある。
つき合いにくいと思うこともある。
でも、私は夢子ちゃんが大好きだし、
これからもずっと良い友達でいたいと思っている。