かすかな物語

2021-03-25 13:16:42 | 生い立ち・家族
あまりにおぼろげな話である。
かすかなかすかなイメージでしかない。

幼いころ、布団の中で母から聞いた物語。
(本当にそうだろうか?)

主人公(私)は、井戸の中を覗いている。
あるいは井戸の底から上を見上げている。

井戸の壁に、
覗いているのなら下の方。
見上げているのなら上の方。
とにかく手の届かない位置に、二つの小さなきのこが並んで生えている。

その片方のきのこは、かさの色が赤いのか、
蝶でも留まっていたのか、
リボンを着けているような可愛らしいイメージ。

可愛いのだけど、哀しい印象。

本当に母がこれに似た話をしたことがあるのか。
何かの出来事を、私がこんなイメージで記憶しているのか。
それとも夢の中の話なのか。

何年か前に、母の在職中に、教え子が井戸に落ちて死んだことがあったと聞いた。
そう言われれば、そんなことがあったような気もする。
そのことだろうか?

井戸の底から見上げているのだとしたら、
死者の目線とも考えられる。

胎児のままで亡くなった兄の思いだったのかもしれない。

だとしたら、二つのきのこは、姉と私?

2020-07-13 23:25:29 | 生い立ち・家族
「お父さまはご存命ですね」。
「息子さん(弟)がひとりいらっしゃいましたが、平成25年にお亡くなりになっています」。
「息子さんにはお嬢さん(姪)がふたりいらっしゃいます」。

それは単なる事実だ。
父が生きていると聞いても、死んでいると聞いても、
「ああ、そうか」と思うだけだ。

父が生きているということは、今現在私は、姉の資産の相続人ではないということだ。
遺言があっても、親には遺留分がある。
父がまともな人間なら、今さら姉の財産を相続しようとは思わないだろうが、
歳が歳だから、判断能力を無くしていることも考えられる。
前に相談した司法書士さんも、
今日報告をしてくれた銀行の人も、
「今夜にでも手書きの遺言書を書いた方がいい」と言ってくれた。
姉は書いてくれただろうか?

父が生きているという事実よりも、
私は、今日初めて存在を知った弟が、すでに亡くなっていたということがショックだった。
50歳にもなっていなかっただろうと思われる。
その一年後に、父の再婚相手も亡くなっていた。

弟の妻は、韓国の人のようだった。
父の葬式は、誰がだしてくれるのだろう?

今夜は眠れるだろうか?


相続

2020-03-07 12:38:50 | 生い立ち・家族
父は再婚しただろうか?
私には母親の違う兄弟がいるのかもしれない。
そんなことを思う。
そうであった方がいいと思う。
父にも、最期を看取ってくれる家族があればいいと思う。


以前そんなことをここに書いた。

そんな悠長なことを思っている場合ではなかったのである!!!

姉は結婚していない。
当然子供もいない。
ということは…。
姉が亡くなった時、もし他に兄弟がいたなら、
私あるいは子供たちの他に「相続人」がいるということである。

それほどお金や物に執着しているわけではない。
それでも、この歳になるまで存在も知らない「兄弟」に姉の持っているものを渡すと思うと、
心穏やかではない。
母が亡くなった時にも、母の持っていたものをどう分けたって、
いずれはうちにくるのだくらいに思っていた。
姉が自分で築いた財産だけならともかく、
祖父から受け継いだ家屋敷がある。
それが父の身内に渡るようなことになったら、母はどんなに嘆くことか。
もちろん、私がその兄弟の立場だったら、相続は放棄するだろう。
私の周りの人間関係を考えても、たいての人は放棄するだろう。
でも、そればっかりはわからない。
兄弟にとっては正当な権利なのだから。

ある時ふとそのことに思い当たった。
姉とはそんな類の話をほとんどしたことはなかったが、さすがに言ってみた。
誰か詳しい人に聞いてみた方がいい。
母が亡くなった時お世話になった司法書士さんに聞いてみると姉は言った。
でも、実際に行動は起こしていないだろうと私は思っていた。

それから半年くらいたったろうか?
聞くとはなしに聞いていたテレビからの音声。
「兄弟には遺留分がないので、なんたらかんたら…」。
ふと気になって調べてみる。
姉が亡くなった時に父が生きていたら…。
相続人は父一人である。
その父はどういう状態かわからない。
認知症がひどくて正常な判断ができる状態でないということもあり得る。

姉にその話をした。
案の定、姉は司法書士さんと連絡を取ってはいないと言った。
ずっと教員として忙しくしていた姉は、私のようにワイドショーやバラエティ番組を見ることはあまりなかっただろう。
だからそういった知識はあまり無いようだった。
私がいろいろ言っても、そんなバカなことはあり得ないという感じ。
「でも、法律っていうのはそういうものらしい」。
さすがに姉もすぐに司法書士さんに連絡をしたようだ。
「みなみの言うとおりだった」。
それでも実感はないようだ。
父はともかく兄弟にそんな権利があるなんて…。
それで、二人で司法書士さんに会いに行った。

「一番簡単なのは、みなみさんがお姉さんの養子になることですよ」。
「はあ!?」
その時はその「簡単」の意味がわかっていなかったと思う。
でもいろいろお聞きして、とにかくは姉の遺言があればいい。
公正証書遺言というのを作れば、お金はかかるけど後が楽。
紙に書いて実印を押しておくだけでもいいけど、お姉さんが亡くなったらそれを持って家裁に行って…。
父には遺留分があるが、兄弟にはないので、
父が亡くなっていた場合、兄弟のことは心配しなくていいとのことだった。

私はせめて自分の他に相続人がいるかどうかくらいは知っておきたい。
そう言うと、
兄弟の戸籍を取ることはできない。父のならできる。
父の戸籍を取れば、子供が産まれていれば記載されているからわかると。
そこで司法書士さんがおっしゃる。
母が亡くなった時に、父のハラ戸籍は取っている。
女性なら、再婚すれば夫の戸籍に入るから、それ以降のことはわからないが、
男性は、妻や子供が自分の戸籍に入ってくるのだから、
平成の改籍が行われた平成18年ころまでのことは記載されている。
自分はおせっかいな性格なので、もしそこにお父さんが再婚したり子供が産まれたりしていれば、
それを一言言ったと思う。
でもそんな記憶はないので、多分お父さんは再婚されていませんよ。

それを聞いてほっと気持ちが楽になった。

帰り道に姉が言う。
「再婚してないはずはないと思う」。
私もいろいろ考え合わせればそうかなと思う。
とにかく家に帰って戸籍を調べてみると。

夜連絡がきた。
父の戸籍は、母と離婚した1年くらい後に「消除」とあった。
送ってもらった写真では、読みにくいし、戸籍の見方もよくわからないが、
頭に書かれていた住所は私の知っているものではなかったので、
母と結婚している間は、本籍は実家とかの現住所とは違ったところだったのかもしれない。
素直に考えれば、再婚した時に本籍を変えたと考えるべきか?
とにかく何もわからなかったのである。

戸籍を取ってみるかと聞いてみた。
元々姉はそういうことをしたくないということは知っていた。
必要なら行ってくれと言われた。
父のことには関わりたくないのだろう。

なんだか私も気持ちが萎えた。
とにかくは、姉が遺言を書いておいてくれれば何とかなるのである。
そのことを確認してはいないが。
また気がそっちに向いたら、父の戸籍を取ってみようと思うかもしれない。


インナーチャイルド

2019-11-19 14:37:53 | 生い立ち・家族
もうずいぶん前のこと。
まだ苦しくてたまらなかったころ。
インナーチャイルドを癒すことに挑戦してみた。
幼かったころの自分を想像する。
イメージすることなんて苦手な私のこと。
幼い私はなかなか姿を現してはくれない。
自然に湧き上がってきたものではなくて、
無理に創造したものかもしれない。
やっと現れてくれた子供の私は、いつも笑っているように感じた。
そうだなあ。
私、決して不幸な子供じゃなかったはずだもんなあ。
幼い私は幸せだったのかなあ。
そんな風に思った。

つい先日、ふと思った。
そうかあ。
幼い私は、もっと母に甘えたかったんだろうなあ。
わかってはいたのかもしれない。
でも、その言葉がドン!と心に刺さった。

母に甘えたことがなかったわけではない。
私は甘えっ子だったと思う。
それでも私は、もっと母に甘えたかったんだと思う。

母は私たちの世話をすることは頑張っていたのだろうと思う。
でも、もっと母に「遊んで」ほしかった。
伯母の家に行くと、伯父が一緒にトランプをして遊んでくれた。
家で母に「トランプしよう」と言ってもやってはくれなかった。

ドラマを見ると、時代設定がかなり昔でも、
久しぶりに会った親子はハグをする。
本当かいな?と思う。
そんな時代にハグする習慣なんか無かったんじゃないの?
それともハグしないのは私たちの世代だけ?
それとも我が家にそんな習慣が無かっただけ?

私にはハグする相手なんていない。

欲しいもの

2018-04-07 12:39:36 | 生い立ち・家族
私は素直な性格だと思っていた。
でも、「素直」の反対が「頑固」なら、確かに頑固な部分も多分にある。
人に言われたことは「素直に」信じるが、それを「頑固に」信じ続けてしまう、みたいな?

この頃思う。
私は、自分に対して素直だっただろうか?
「欲しい」ものを、「欲しい」と思ってきただろうか?
子供のころ欲しかったものは、大抵は手に入らなかった。
セルロイドのお人形も、漫画の本も、お雛さまも。
そして多分、「お父さん」も。

そういう意味では、私は諦めのいい子になった。
そして多分、欲しいものは手に入らないから、欲しいと思うのをやめた。
そんなもの欲しくないと思うようになった。
特に無理したわけじゃなく、欲しいと思う気持ちをごまかした。
欲しくても欲しいと思わなければ、手に入るはずがない。

主婦仲間が携帯電話を手にし出したころ、本当は私も欲しかったのだ。
メールをしている友達が羨ましかった。
でも、敢えて買おうとは思わなかった。

若いころ欲しかったかわいくてかっこいいお洋服は、高くて手が出なかった。
欲しいものはいつも私の手の届かないところにある。

IGUちゃんとのことも、私が本当に欲しかったのは、「結婚」だった。
でも、それはかなわないと諦めて、
「結婚したい」気持ちをごまかして、とにかく近くにいたいと思った。
そうやってごまかすから、欲しいものは余計に手に入らなくなる。

そして今一番欲しいものに気がついた。
それは一見、どう考えても手に入るはずのないものだ。
だから、少しずつごまかした。
欲しいものの姿を少しずつずらしてちょっと違う形にしてごまかした。
でもそれは本当に欲しいものではないから、手に入っても満足できない。
そうしてようやく気がついた。
本当に欲しかったのは何だったのか。

私も子育てをしていた頃は、欲しいものを我慢することを覚えるのも大切と思った。
でも、本当はそうじゃないのかもしれない。

でも、それでもやっぱり、手に入らないものはある。