眠らない街

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将棋界のチェホンマン~渡辺明の腕力(前)

2006年03月26日 | 棋譜
今回は渡辺竜王の棋譜を紹介します。かなり長く前後編になります。
最近のインタビューで、周囲の期待に反して「タイトルを争える棋士になれるとは思っていなかった」とありました。
確かにC2の頃、将棋は荒かったし、格調は微塵も感じられなかった。
現在は圧倒的なパワーを感じさせます。将棋界の「チェホンマン」ですな

2001年11月7日、王座戦の石川-渡辺戦より。
本局、囲碁将棋チャンネルで紹介され、知っている方も多いと思う。渡辺竜王の腕力が堪能出来ます

第1図、馬、竜を作っているが、かなり劣勢。
銀損、▲2六桂に受けがない、△6八歩成が大したことないというのが理由。
ここから、どうマクっていくのか?
      
第1図以下:▲2六桂△6八歩成▲3四桂△2一玉▲5七銀△同龍▲同金△3六桂▲3七玉△9八馬▲同香△2五銀▲3五歩(第2図)

当然の▲2六桂に△6八歩成を決行。▲5七銀の逆先には△同竜以下、先手玉を危険帯におびき寄せる。
しかし、駒割りは角損に拡大。途中△2五銀がちょっとしたテクニックです。
      
第2図以下:△8七飛▲6六角△3一金▲7一飛△8三飛成▲7五角△6四歩▲同角△4五桂▲同歩△2八角▲4七玉△6四角成▲同銀(図略)

△2五銀をテクニックと書いたのは、「△8七飛をワンテンポ遅らせた」「先手の種駒へのアタリを入れた」の2点。
先手は△8七飛の対策を集中的に読みますが、そこで別の手を指しエアポケット効果を狙う。
また、3六桂を守り、いつでも3四桂を外す手を作っています
ただ、好手かどうかは不明。▲3五歩では▲6一角成△3四銀▲3六玉も考えられたから。
先手は角を見捨てても、▲7五角で終了!との読みですが、▲6四歩以下非常手段で凌ぐ
▲6四同銀以下、かなり進んで第3図。
      
第3図以下:△4二角▲6六馬△6五桂(途中図)▲同馬△8七龍▲6六馬△6四角▲同龍△5八銀▲4六玉(第4図)

第3図手前から△5一桂~△4ニ角が苦しいながらも最善の粘り。△6九角や△8七竜の嫌味を残しつつ受けており、先手も神経使います。
△4ニ角相手にせずの▲6六馬には、△6五桂で動揺を誘い、△8七竜と突っ込む。
再度の▲6六馬で、安心してしまったかもしれません。
第3~4図では、苦し紛れの印象しかありませんが、この後一気に大技連発します。

(続く)