現在、夏季休暇中。金欠ゆえに金はないけどヒマは持て余しています。
こうなると、将棋道場に行くのが一番金がかかりません(泣)
というわけで、7~8年ぶりくらいに蒲田将棋クラブに行ってみました。
蒲田でAちゃんと遭遇。
知らないおにーさんと一緒だったけど、どうやら某若手棋士らしい。
また、強烈な攻めがウリの某女流棋士が登場。
そうこうしているうち、某女流棋士vsAちゃん戦が始まりました。
第1図が某女流-Aちゃん戦の終盤の局面。
率直に言えば、相振飛車の局面としては、
お互い筋が悪いと思う。
後手の角筋を遮っている3三桂、先手の矢倉にミスマッチな浮き飛車と8五銀。
局面自体はAちゃん優勢。
しかし、先手はさすがにプロ。殴り合いに活路を見出してきました。
第1図以下:▲6四歩△5四金
(途中図)▲4六金△同歩▲同角△3六歩▲6三歩成
(第2図)
秒読みの最中▲6四歩。
相手の言いなりにならない手。
Aちゃんノータイムで△5四金(途中図)。
このように
「つい」金をグイっと出る気持ちは分かる。
分かるけど、勢いがあるようでこの手は悪手。正解はじっと寄る△5三金(変化1図)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/25/a337dcff76a96925b83b8d399452183e.png)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/0a/a09e1ecc3757f2a0c9588262a6b6e043.png)
現在、後手は4六銀とブチ込んでいて、角取りの先手になっています。
ここで、△5四金と出ることは
「取りに取りを重ねる」手。
「先手(取りになっている手)は一個あればいい」
すなわち、非効率→筋が悪いということで、調布将棋センターで散々教わったこと。
△5四金の罪は、△6三歩成や△6三銀などのブチ込みが残り、6筋の弱体化。
△5四金を見た瞬間、これはAちゃんが最終的に負けると思いました。
本譜は△3六歩が入ってAちゃん勝勢だけど、やはり▲6三歩成が飛んできた。
第2図以下:△6三同銀▲8四歩△3七歩成▲同角△4五桂▲8三歩成△7一玉▲7三と△4九金▲2八玉△3七桂成▲同玉△7三桂
(第3図)
△6三同銀は悪手。本譜の筋以外に▲7四銀もありました。
本譜、▲8四歩に手抜きで△3七歩成~△4五桂。
△4五桂の瞬間、先手玉が一見詰まない形なので、▲7三とで先手勝ちっぽいが、Aちゃんも狙っていた。
△4九金以下、王手で角を取り△7三桂まで進んで必勝になった。
但し、▲7三とで▲7三角成ならば、先手勝ちだったと思う。
第2図以下の指し手でポイントなのは△6三同銀。
Aちゃんはかなり上達したけど、まだまだ終盤に課題がある。
△6三同銀に
手が行くことが自体が問題で、手抜いた方が(殴りあった方が)安全という感覚が染み付いていない。
殴り合えないというのは、自玉の安全度(相手玉との相対的な安全度含む)が見切れていないということ。
だからこそ、途中図の△5四金が問題になってきます。△5三金ならば△6三歩成に迷う必要がない。
迷わなければ、相手玉に専念出来、リスクも減るという訳。
第3図以下:▲7四桂△7二金▲8四銀△7四銀▲同歩△6四角▲4六歩△3六歩▲2七玉△8六角▲7三歩成△7八飛▲7四桂△3八飛成▲同玉△3七歩成▲同玉△5九角成▲2八玉△3六桂▲2七玉まで先手勝ち
(終了図略)
第3図以降、Aちゃんは王手飛車をかけたり、攻防の飛車を打ったり、
いかにも華々しいけど、先手玉に迫ることは出来ず、また先手の攻めを余すことも出来ずに逆転負けした。
感想戦が始まり、先手の某女流プロは
「10通りくらい負けてましたね」とコメント。
また、Aちゃんの連れの某若手棋士は、第1図以下の指し手で最善の進行をコメントして行きます。
しかし、△5四金には何も触れず、△6三歩成を手抜く順や第1図以下の△3六歩に代えて△9五金(変化2図)とする手を推奨していました。
言っていることは間違いじゃないけど、それはAちゃん以上の感覚が備わって指せる手順。
今のAちゃんに一番覚えてもらいたいのは「取りに取りを重ねる手は筋が悪い」ということだと思ったので、
「ちょっと待って!△5四金じゃなく△5三金と指すべきでしょう」
と口を出しました。
しかし、某若手棋士のおにーさんは、
「どっちでもいいですよ。別に悪手じゃないでしょ」
で、全く取り合わない。
危うく、
「プロにしては筋が悪いね。おにーさん」
と言いそうになったが、アウェイの蒲田ということもあり、そこは飲みこんだ。
ただ「Aちゃん的敗因は△5四金」は、間違っていないと思う。
読んで答にたどり着くのではなく「取りに取りを重ねる」ことに違和感を持つようになって欲しいなと思いました。