眠らない街

将棋、サッカー、スノボ、マンガとちょっぴり恋愛話など。

桂の乱舞~奔放柳雪の香落ち

2006年03月07日 | 棋譜
今回紹介するのは、大橋柳雪の青年期の香落ちです。
マンガ「5五の竜」に出て来るので、私と同年代の方(アマラオ、ガーロ、ゴン世代)は、知っているかも・・・

柳雪と言えば、天野宗歩の師匠美濃囲いの創始者というのが予備知識。
世襲制の名人ではありませんが、将棋史上「近代将棋の開拓者」として位置付けられる重要な人物です

ちなみに柳雪→宗歩・・・→小野五平(12世名人)→阪田三吉・・・→若松正和→谷川浩司のような系譜となっています。


第2図は、第1図からの下手の猛攻を何とか耐えているところ。ここから強靭な反発力が発揮されます。強い人の玉って、本当にバイタリティがあります
なお、図の上手が英俊となっていますが、柳雪の青年期の名前です。

第2図以下:△8二銀▲7五歩△同歩▲7四歩△3七歩成▲同銀△7四玉▲5六桂△8五歩▲7七銀△7三桂▲同桂成△同角(第3図)

△8二銀▲7五歩となっては持たないように思えるが、△7四玉が大駒落ちの上手のような頑張り。
▲5六桂も厳しいが、△8五歩~△7三桂が強い切り返し。第3図となって一息ついたように見える。しかし依然形勢は上手難局
      

第3図以下:▲7六歩△8三玉▲7五歩△8四桂▲7六桂△6五桂▲8四桂△7七桂成▲同金△6五銀▲7六桂△8四飛▲同桂△7六歩(第4図)

▲7六歩が手厚い攻め。玉の早逃げから△8四桂と凌ぐが、▲7六桂の合わせが好手。
その後、銀をはがしてからの△6五銀に対し、再度の▲7六桂がまたまた好手。
柳雪は飛を叩き切って、△7六歩とヘッドバット合戦を挑む。双方力の入った攻防がスゴいです。
      
第4図以降は、▲7六同金△同銀▲7四歩△8四角▲同角△同玉▲9六桂△7四玉▲8四飛△7五玉▲6六角△6五玉▲7七歩△6九角▲同玉△6七銀不成・・・という手順で、上手玉は単独で宇宙遊泳します。

      
第5図は終局直前。上手玉は必至になったが・・・

第5図以下:△7八銀(投了)

一見下手勝ちのようですが、△7八銀で投了。この後はどのように逃げても即詰みです。
上手の力強い反発もスゴいですが、この局面で投了出来る下手も強いです。NHK杯で見たいような大激戦!!でした。