眠らない街

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位を捌く~看寿の角落ち下手

2006年03月04日 | 棋譜
久々の棋譜紹介です
何にしようか迷ったんですが、単純明快かつ爽快な一局として、看寿の角落ち下手にしてみました。
「こういう角落ちがあったんだ!」と、新鮮に感じること請け合いです

1736年11月17日、大橋宗民-伊藤看寿の角落ち戦より。
一般に角落ち下手は、矢倉でガチンコを挑むか、三間飛車や中飛車で、ポイントを稼いで行くかどちらか・・・つまり持久戦なんですが、この局は、取った位を捌き、居玉、飛び道具のみで急戦を仕掛けます
      

第1図以下:▲3七桂△3五銀▲2五飛△4六銀▲4八銀△3六歩▲4五桂△2四歩(途中図)
▲3三桂成△同桂▲2四飛△4五桂▲3三歩成△同玉▲5四飛△4四桂▲4七歩△5七銀成▲5五飛(第2図)

いきなりの▲3七桂がスゴい一着。この後▲3六飛△3五歩▲2六飛となると、▲4五歩が残って上手がまずくなるので、△3五銀と反発する。
看寿は手に乗って▲4五桂とするが、途中図△2四歩が上手の常套手段。
      
これには看寿の▲3三桂成~▲2四飛と▲4七歩が好手で、▲5五飛までの進行は下手がうまく立ち回った



第3図は終盤の大詰め。▲3四銀△5ニ金左の局面。

第3図以下:▲5三歩△5七金▲6八金△4七成桂▲5七金△同成桂▲2三歩成△4一玉▲5二歩成△同金▲4二銀(第4図)

勝敗は既に決している感があるが、▲5三歩に△5七金が「せめて一太刀」という手。▲同飛なら△4八銀でちょっと面倒。
安全に勝つ手はいくらでもあるが、看寿は▲6八金以下金を入手し一気に上手玉を詰ましに行く。
      

最終▲4ニ銀が好手。本譜は以下△同玉▲4三銀成△5一玉▲5ニ成銀△同飛▲4ニ金まで76手で終局となった。

中盤の激しい立ち回りと、終盤の一気の即詰みが印象的な、看寿の代表局です。
最後安全勝ちをしなかったところが、本局の価値を高めています