将棋の戦型は数あれど、
相振りほどセンスが求められる戦型はないだろう
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棋書では、左右が逆になった相居飛車という表現も使われているが、一部を除いて全く当てはまらない。
矢倉、相懸かり、振飛車をミックスしたような感じになり、将棋が上達すればするほど
相振りの難しさが分かる。
戦いが始まってからの難しさは
「純文学」矢倉がダントツ。
イメージは
間合いが剣道、
戦い方がレスリング。
お互いの間合いに入り、集中力を要求される厳しさが剣道。また肉弾戦を思わせる戦い方がレスリング。
だが、ある程度駒組みのガイドラインが出来ており、駒組み自体の優劣はかなり解明されている
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相振りは、剣道のようにお互いが同じ武器を持っているという感じがしない。
ヌンチャク、トンファー、槍、金槌・・・
違う武器を持った相手との異種格闘技であり、さらに間合いを詰めるところから戦いが問われている。
一見好型を築いたように見えても、相手玉へ戦いが起こせないような形では意味がない。
知らない間に差をつけられている。読み筋通りに進んで、それが
駒組み負けでも気づかないこともある。戦いが進んでオレの構想はダメダメだったのかと愕然することも多い
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1998年10月28日、竜王戦の藤井-谷川から。
第1図以下:△8二銀▲8六歩△7四歩▲8五歩△7三銀▲5八金左
(第2図)
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谷川はここで△8二銀とし矢倉を目指したが、実はあまりいい構想ではない。全ては
相手玉との兼ね合いなのである。
矢倉確定で谷川はまずまずの序盤と思ったのかもしれない。
しかし第2図の
▲5八金左が絶妙の構想。第2図以下△3五歩▲4六歩と進むと、後手は3筋を交換出来る将棋ではなくなっている。
先手の高美濃は5手で囲い終わるが、後手の4枚矢倉は7手かかる上、高美濃への攻め形が作れない。谷川は▲5八金左を見て愕然としたのではないだろうか
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第3図は戦いが始まった局面。ここまで進むと如何に差をつけられているか分かる。本局は83手で藤井勝ち。
それまでの矢倉、穴熊、金無双の3すくみの駒組みに美濃が加わった。
相振りは本局以降劇的に進化した。
#「オシムの言葉」を読んでます。超面白い!感想はまたの機会に!!