セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「南の島に雪が降る」(1961年版)

2023-10-09 17:45:40 | 映画感想
 「南の島に雪が降る」(1961年、日本(東宝))
   監督 久松静児
   脚本 笠原良三
   原作 加東大介 「ジャングル劇場の始末記 - 南海の芝居に雪が降る」
   撮影 黒田徳三
   音楽 広瀬健次郎
   出演 加東大介
      伴淳三郎  有島一郎
      佐原健二  西村晃
      志村喬  フランキー堺 
      桂小金治  三木のり平
      (ゲスト出演)
      森繁久彌  三橋達也
      小林桂樹  渥美清
      
 戦争末期、ニューギニア西部のジャングルに置き去りにされた守備隊、味方からも敵からも見放され放置され補給も無く全滅を待つばかり、定期便と呼ばれる敵空襲の中、兵の慰労と士気を上げる為、加藤軍曹を中心に演芸分隊を立ち上げる事となった・・・。

  youtube 一部 https://www.youtube.com/watch?v=QnZHe0BeinU

 20歳前後に3回くらいTVで見てる、もう一度見たかったけど今はレンタルもなく見られなかった作品。youtube探したらDailymotionに有ったので久々の鑑賞、戦争末期のニューギニアで食う物もない飢餓状態なのに皆、栄養充分なのはご愛嬌だけどやっぱり、いい作品だった。
 これ、東宝の喜劇系役者総出の上に松竹から伴淳三郎、渥美清(東宝の戦争モノにも出てた)まで借りてきて、男ばかりだけど豪華絢爛この上もなく、演技、舞台芸の見せ合いみたいな所がある、その中でもやはり東宝の看板を三船敏郎と共に背負ってた森繁久彌の「五木の子守唄」は絶品で死地に赴く部隊長として、束の間、内地の情景を部下たちへ歌にして贈るシーンは涙を誘うものがありました。
 有島一郎の飄々とした受けの演技、伴淳得意のクサい芝居、名ドラマー フランキー堺のピアノ芸、渥美清の浅草風「森の石松」、二代目水戸黄門サマ西村晃の女形芸、本当に観てるだけで楽しい数々、この名うての役者達の芸合戦が散りばめられてるから忘れられなかったんだろうなと見てて思いました。
 ちょっと個人的ノスタルジーも入っているけど今でもそれなりに観られる作品。

※「七人の侍」の七郎次役加東大介氏の実体験を書いた「ジャングル劇場の始末記 - 南海の芝居に雪が降る」を映像化した作品で、当然、主役は加東軍曹、でもこの頃の芸名は前進座時代の市川莚司だから、その名前も出てきます。山中貞雄監督「河内山宗俊」、「人情紙風船」でもチョイ役のヤクザながら居るだけで印象が残る役者さんでした。(僕は加東大介さんがTVで活躍してた頃を知ってるから、まぁ、一目で判ると言うのはある)
※司令官役の志村喬さんだけが痩せてて本当らしく見えた。(階級上、一番いい物食べてておかしくないのに)
※「警察日記」、「駅前〜」の駅前シリーズの久松静児が監督だから森繁と息が合ったのかもしれない。

  遥けきも ニューギニアにて どん詰まり
    一銭五厘の 我がいのち哉

 R5.10.8
 Dailymotion
コメント
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