「ふる」
西加奈子 著
主人公は池井戸花しす、28歳、女。
職業、アダルトビデオのモザイクがけ。
趣味、ICレコーダーで声を録音すること。
そして白いいきものが私に見えること。
あそこを見続けることのなかで感じ、感じていく感性は、
ある日ふと訪れる。白い生きもののように。
それはきっかけがあるのだろう、日常の触れ合いのなかで。
ひとつのシンボルとして。
不思議に思わないだろうか。
なぜ欲情の対象となるのだろうかと。
隠された部分、生の生まれるところ。
多様のなかでのひとつの男と女。
マジョリティとしての根源的な部分。
女という性をあそこから見る。
それからもうひとつ、時折出てくる新田人生。
彼はなにを見ているのだろうか。