クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

武蔵から旅した古人が目にした“平城京”は?

2010年12月03日 | 歴史さんぽ部屋
平城京跡に“大極殿”が復元されているが、
武蔵から税を運んできた人に、
都はどんなふうに目に映っただろう。

運脚夫は東山道を使って都へ向かう。
往路29日、復路15日。
いまなら新幹線で数時間だが、
往時はかなりの長旅である。

そして、ようやく辿り着いた都にそびえ立つ大極殿。
まるで異世界のような空間が広がっていただろうか。
とりまく雰囲気や言葉の訛りも違う。
都までの税の運搬は厳しい仕事だったが、
楽しみにしていた者も中にはいたかもしれない。

都で出会った人と恋に落ち、
帰ってこなくなった人もいたかもしれないし、
都で遊びを覚えて、素寒貧になった人もいただろう。
日々は草深き田舎よりも華やかで、
ドラマチックだったように思う。

むろん、田舎だってドラマチックだったろうが、
都には田舎にはないものがたくさんあったに違いない。
流行や文化、あるいは国の舵取りの最先端だった。

いまだって復元された大極殿をポカンと見上げてしまう。
まるで異世界に紛れ込んだかのよう……
古に作られた建造物やその土地の歴史は、
未だその輝きを失っていない。
往古、旅した人の目にも、
都はまばゆく映っていたのかもしれない。



大極殿(奈良県奈良市)



平城京跡



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