志多見の「辻九」が閉店して初めて迎える大晦日。
大切な場所を失ってしまったような、そんな喪失感を覚える。
閉店を知った翌日には、厨房で働く夢さえ見た。
「辻九」は高校時代のバイト先で、思い入れは深い。
閉店は寂しい限りだが、いままでありがとうと、感謝の気持ちを伝えたい。
昨夜、やや空腹感を覚える状態で睡眠薬を飲んだせいか、変に体がだるかった。
気を抜くと落ち込みそうだったから、ロラゼパムを飲む。
昨夜の余熱が残っている内に、『東京・埼玉の城郭』(新人物往来社)を読む。
年末年始、人ごみを避けて閑散とした城館を訪ねるのが好きだった。
それなのに、病気になってからというもの、羽が折れてしまった感がある。
何か強い力で背中を押されないと動けない。
ちょっとの力では思い付きで終わってしまう。
妻から言わせると、自分は会心の一撃を狙っているのだとか。
そんな一撃はなかなか出ないのだから、少し気になったら行動に移せばよいと言う。
なるほど、そうかもしれない。
そう思っても、体が動かない。
変にだるい。
寒風吹きすさぶ中、自転車で巡っても楽しかったあの頃は何だったのだろう。
ほんの少しだけ、駅前へ足を運ぶ。
道は案外空いていた。
スーパーの中も人が少なかった。
車内でノートを開き、思い付いたことを書く。
約1週間前に気が重くなる原稿を書いたが、未だに鉛のようである。
続きを書きたくもないし、読み直したくもない。
視点が変われば書けるのかもしれない。
一旦反故にしよう。
背後で電車の通り過ぎる音がした。
幼い頃、祖母に連れられて電車を見に行ったことをふと思い出す。
駅近くの踏切に自転車をとめ、電車が通り過ぎるのを待っていた。
普通電車、急行、貨物電車が通り過ぎていったのを覚えている。
祖母はもうとっくに亡くなっている。
大晦日のせいか、すぐ近くに祖母がいるような気がして、ノートに文章を綴りながら落ち着いた気持ちになる。
夕方、必要なものを買いに、家族で群馬県千代田町まで出かける。
店は駅前よりも混んでいた。
絵が好きな娘にスケッチブックを買う。
今年、ここで出会った書き心地が倍増する下敷きは、まだ目立つところに置かれていた。
職場と自宅用に2枚購入したが、いい買い物をしたと思っている。
来年も良き文房具と出会いたい。
羽生の「よしみや」で刺身を買うのは毎年恒例。
その後、同じく羽生の「よしの」へ年越しそばを食べに行く。
「よしの」も高校時代から親しんでいる店である。
やや太めでコシのあるそばが好きだ。
ゆったりと落ち着いた空間は居心地がいい。
食べれば高校時代の記憶がよぎり、失いたくない場所の一つ。
知っている方が家族連れで入店したのに気付く。
毎年、年越しそばは「よしの」なのだろうか。
帰り際、あいさつをして店を出る。
忙しそうではあったが、お店の人にもあいさつができてよかった。
いつの間にか通り雨が降ったらしく、地面が濡れていた。
そこはかとなくする優しい雨の匂いが、忘れてしまった遠い記憶を運んできそうな気がした。
雨降って地固まる。
来年は今年の課題が解決、あるいはいい方向へ向かいますように。
今年1年ありがとうございました。
来年もまたどうぞよろしくお願いいたします。
大切な場所を失ってしまったような、そんな喪失感を覚える。
閉店を知った翌日には、厨房で働く夢さえ見た。
「辻九」は高校時代のバイト先で、思い入れは深い。
閉店は寂しい限りだが、いままでありがとうと、感謝の気持ちを伝えたい。
昨夜、やや空腹感を覚える状態で睡眠薬を飲んだせいか、変に体がだるかった。
気を抜くと落ち込みそうだったから、ロラゼパムを飲む。
昨夜の余熱が残っている内に、『東京・埼玉の城郭』(新人物往来社)を読む。
年末年始、人ごみを避けて閑散とした城館を訪ねるのが好きだった。
それなのに、病気になってからというもの、羽が折れてしまった感がある。
何か強い力で背中を押されないと動けない。
ちょっとの力では思い付きで終わってしまう。
妻から言わせると、自分は会心の一撃を狙っているのだとか。
そんな一撃はなかなか出ないのだから、少し気になったら行動に移せばよいと言う。
なるほど、そうかもしれない。
そう思っても、体が動かない。
変にだるい。
寒風吹きすさぶ中、自転車で巡っても楽しかったあの頃は何だったのだろう。
ほんの少しだけ、駅前へ足を運ぶ。
道は案外空いていた。
スーパーの中も人が少なかった。
車内でノートを開き、思い付いたことを書く。
約1週間前に気が重くなる原稿を書いたが、未だに鉛のようである。
続きを書きたくもないし、読み直したくもない。
視点が変われば書けるのかもしれない。
一旦反故にしよう。
背後で電車の通り過ぎる音がした。
幼い頃、祖母に連れられて電車を見に行ったことをふと思い出す。
駅近くの踏切に自転車をとめ、電車が通り過ぎるのを待っていた。
普通電車、急行、貨物電車が通り過ぎていったのを覚えている。
祖母はもうとっくに亡くなっている。
大晦日のせいか、すぐ近くに祖母がいるような気がして、ノートに文章を綴りながら落ち着いた気持ちになる。
夕方、必要なものを買いに、家族で群馬県千代田町まで出かける。
店は駅前よりも混んでいた。
絵が好きな娘にスケッチブックを買う。
今年、ここで出会った書き心地が倍増する下敷きは、まだ目立つところに置かれていた。
職場と自宅用に2枚購入したが、いい買い物をしたと思っている。
来年も良き文房具と出会いたい。
羽生の「よしみや」で刺身を買うのは毎年恒例。
その後、同じく羽生の「よしの」へ年越しそばを食べに行く。
「よしの」も高校時代から親しんでいる店である。
やや太めでコシのあるそばが好きだ。
ゆったりと落ち着いた空間は居心地がいい。
食べれば高校時代の記憶がよぎり、失いたくない場所の一つ。
知っている方が家族連れで入店したのに気付く。
毎年、年越しそばは「よしの」なのだろうか。
帰り際、あいさつをして店を出る。
忙しそうではあったが、お店の人にもあいさつができてよかった。
いつの間にか通り雨が降ったらしく、地面が濡れていた。
そこはかとなくする優しい雨の匂いが、忘れてしまった遠い記憶を運んできそうな気がした。
雨降って地固まる。
来年は今年の課題が解決、あるいはいい方向へ向かいますように。
今年1年ありがとうございました。
来年もまたどうぞよろしくお願いいたします。