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居酒屋さすらい 0937 - 讃美歌と禅 - 「だるま」(杉並区北阿佐ヶ谷)

2015-11-22 17:36:10 | 居酒屋さすらい ◆東京都内

ボクらは無言で生ビールを飲んだ。

鉛を飲みこんだようにボクらは沈黙した。

 

何故、故人は死の1週間前にキリスト教に改宗したのだろうか。

その事実に、ボクらは絶句した。

 

キリスト教の葬儀の後に入った店の名前が「だるま」。

何の因果か、ボクらは阿佐ヶ谷駅北口の店に辿り着いたのだった。

カウンターに小さなテーブルが2つ。その片隅でN刊自のH川さんと向かい合った。

 

頭の中をオルガンと讃美歌がずっと反響している。

その調べはこの世のものではなかった。

 

焼き鳥と焼きとんの専門店。

「ねぎま」「レバー」「つくね」が120円。「手羽先」「砂肝」が140円。

「ささみ」160円。焼きとんは何故か300円と異常に高くなる。

 メニューは少ない。

「ひととおり、鶏を焼いて」。

ビールをジョッキの半分ほど飲んだ後、ようやく口にしたのは、ボクのこんな言葉だった。

あと「煮込みね」(480円)。

「あいよ」という声が小さく返ってくる。

 

ボクは聖と俗の間にいる。

この薄暗い店舗で、串焼きを焼く微かな煙の中。

 

「蒸してますね」。

ボクらがお互いに会話を交わしたのは、店に入ってから、20分も経ってからだった。

「もう入梅も近いんですかね」。

そんな、どうでもいい会話だった。

 

焼き鳥が運ばれてきたのは、ビールのおかわりを半分程度飲んだときだった。

なるほど。丁寧な焼きだった。

香ばしい薫りがしてくる。

ボクらは、また無言で、それらを口にした。

 

「だるま」という居酒屋は全国に何店舗あるのだろうか。

そんなどうでもいいことが頭をよぎる。

つい先日も清澄白河で、「だるま」という酒場に入った。

ともに店は、仏教にちなんだ店というわけではなかった。

 

日曜日の夜。

お客はまばらだった。

駅前もそれほど人がいなかった。

 

生ビールを飲み干し、ボクらはもう一杯おかわりした。

またもボクらは無言で、もくもくとジョッキを傾けた。

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