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居酒屋さすらい 1647 - 大和時間 - 「酒処 蔵」(奈良市光明院町)

2020-06-08 13:30:08 | 居酒屋さすらい ◆地方版

※この記事はビフォーコロナの時期に訪問した際のものです。

「楽LUCK!」を出て、さて次の店でも探すか。今度はじっくり腰を下ろしてくつろげる店がいいな。

土地勘がないものだから、直感だけが頼り。三条通という坂道を登ってみることにした。どうにも観光地っぽい。人通りはそれほど多くないので、俗っぽさはあまり感じない。そういえば、さっき仕事でお会いさせていただいた方のリーダーは、「奈良には大和時間が流れてるんでね」と言っていた。奈良独特の時間を言うらしい。確かに時間がゆっくり流れているようで妙に心地よい。

昔、ある人から聞いたことがある。かつて都があった土地の人はプライドが高いと。京都然り、奈良然り。大和時間という喩えも奈良は特別だという点を誇張し、大和という日本建国の黎明ここにありというようにも聞こえなくはない。ただ、奈良は京都に比べると、どうにも地味だ。誤解を恐れずにいえば、奈良の人の方が少し控えめに見える。

さて、坂を登りきると交差点に出た。どっちへ行くべきか。とりあえず、人が多く歩いている直進方向に進むことにした。少しずつ、古い町並みが現出し、雰囲気が出てきた。闇が濃いといったらいうべきか。辺りがとにかく暗いのだ。門前町らしい落ち着いた町並みである。だが、老舗の商家もあるが、時折古民家を改装した、今時のバーが現われたりする。古い町と新しい文化が混在しているのである。酒場はぽつんぽつんと点在する。さて、どこに行こうか。適当に歩いて、店を物色した。

すると、なんとも渋い店構えの酒場を見つけた。白の漆喰に、薄衣の暖簾。その向こう側のガラスに「酒処 蔵」と書かれている。

入りにくい。実に入りにくい。

すると、お店から数人の男女が出てきた。その瞬間、店内の様子がちらりと見えた。だいぶ店内は盛況のようだ。しかも、店内も相当渋い造りに見えた。どうしても入ってみたい衝動に駆られた。格調の高い店のようだが、予約なくても大丈夫か。そんな一抹の不安を抱え、店の戸を開けた。

店舗は古い木造の店。コの字カウンターが中央に構える。幾つかの席が空いており、お店の人に促されて着席した。

建物は相当古いと思う。築50年か、それとももっと時間を経たものか。カウンターもあちこち木がはげており、味わい深い。

メニューを眺める。ほう、それほど、品数も多くなく、いかにも老舗の酒場然としている。裏面は英語版。外国人の訪問も多いだろう。事実、20人程度が座れるカウンターの数組は外国人観光客だった。

さて、まずは「酎ハイ」(中=500円)のレモンからいくか。

つまみはおでんを中心に一品ものは渋いメニューが並ぶ。

「冷奴」(350円)、「いかの塩辛」(400円)などなど。その中から、

「大根おろし」(400円)というものをチョイスした。これには2種類あり、それぞれ「なめたけ」と「じゃこ」がある。自分は、「なめたけ」を選んだ。

このあてが、抜群にうまかった。いや、これなら最初から日本酒にしておくべきだった。この古民家酒場の雰囲気で「酎ハイ」など頼むのが、そもそもの間違いである。

急いで、「酎ハイ」を飲み干し、日本酒へ。お酒は2合が「貴仙寿」(800円)と「菊正宗」(900円)、冷酒のコップ酒が「御代菊」(800円)である。ご当地奈良、喜多酒造の「御代菊」を選択した。

この古い酒場に身をゆだね、なめたけと和えた大根おろしで一杯って、なんとも贅沢だ。それだけでとてもいい気分になってくる。

周囲を見渡すと、若い女性の客が多く、それも意外だった。サラリーマンのおっさんは皆無。スーツ着ているのは自分くらい。

酒をお代わりし、「鶏もつ」をいただいた。

これがまたしっかりじっくり煮込まれていて、実に、見事な一品だった。

奈良で偶然見つけた古酒場。この店に来るためだけに奈良に行くのもあり。

大和時間がそこに流れている。

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