アメ横にできた新しい立ち飲み屋。てっきり、どこにでもありふれた泡沫な立ち飲みだと思ったら、なかなかどうして、気が付いたら、店の前に行列ができる店に。
この立ち飲み激戦区アメ横で、堂々たる勝負。まさにがっぷりよつ。
なかなかできないと思う。だって、アメ横には「たきおか」があって、「カドクラ」があって、そして、「肉の大山」もある。いや、立ち飲みだけでなく、座りの名店もずらり。
そんな中で後発の立ち飲みがそいつら主役を喰うなんて。
その日はたまたま、「ふぶき」の前に並ぶ人がいなかった。その間隙を縫って、ボクは店に入った。
本格立ち飲みの風格にはもう十分なピリピリ感が漂う。さすがに客は玄人ばかりだ。ほとんどが一人客。このアメ横で揉まれた強者たちだ。カウンターの奥側に通された。そこまで歩く数メートルをボクは他の客が頼んでいるものをつぶさに観察した。ほとんどの人がホッピーを飲んでいる。よし、ここはホッピーで勝負だ。そのうえ、ほとんどの人がお造りを食べていた。ここは刺身がマストなのだろう。
まずは、ホッピー白を頼み、ボクは様子を見た。
どうやら、新鮮な魚が看板のようだ。このパターンはこれまでのアメ横立ち飲みでは見かけない。
刺身にホッピーは合わないのだが、ここはそれを考えずに、刺身を頼んでみよう。
「刺身三点盛り」。
たまたま頼んだこのメニューが、この店の全てを象徴した。
やがて、出てきた「刺身三点盛り」には、溢れんばかりの刺身が盛られていた。
赤身にハマチ、そしてサバだろうか。いや、それだけでなく、甘エビに中落ちまでついている。
おいおい、三点どころでない。五点の刺身がついているじゃないか。これがたったの390円。
マジか。どう考えても原価割れしているんじゃないか。
カウンターに立つほとんどの客が、この刺し身の「三点盛り」をつついている。
これか。
この店が支持される理由は。
思わずボクは小さな感動をした。
そして、淡い期待を持った。
もしかすると、他のメニューにも+αがあるのではないかと。
「イクラおろし」。
これが190円。もりもりのだいこんおろしに、これまたもりもりのイクラがのっかっている。
これだって、原価割れしているんじゃないか。
すげぇよ。この店。
さすが、アメ横。これぞ仕入れの妙。
一体どんな仕入れをしているのか。とにかく、本当にすごい。
近年稀にみる、サプライズ。
行列が出来るわけだよな。
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