西武池袋駅は数年前に改修され、きれいになった。改札を入った先のスペースも、かつては本屋があったり、昭和感溢れるスナックが売られているお店があったり、結構好きだった。
リニューアル後に出来た、ちょっとシャレオツな駅そば、「凛や」。もう、「そばダイニング」という謳い文句が、その店舗の全てを表現していると言っていい。「吉野家」もそうだが、こうしたファストフードで、席までシャレオツにする必要があるかなと思ったりする。カウンター風のスペースと奥にはテーブル席。そうした配慮のせいか、店舗のキャパシティが低下して、おかげでオーダーを入れるまで、時間がかかってしまう。駅そばは電車の発着に左右されるから、並ぶという場面を敬遠する。現に、自分も券売機でチケットは買ったものの、なかなか進まない、オーダー待ちの列に、「失敗したか」と感じた。
駅そばに居心地のいい空間は要らないのだ。だって、現に店内にいる客の中に女性は皆無だった。いくら店舗をシャレオツにして、需要の掘り起こしをしても、回転が鈍れば、元の木阿弥である。
券売機で購入したそばは、「池袋そば」(500円)。自分としては奮発した方だった。このご当地っぽいそばに賭けてみようと思ったのだ。
並ぶこと、十数分。ようやくそのそばを作ってもらい、奥のテーブル席へ。本当はカウンターに座りたかったが、既に満席で、仕方なく奥に。ほぼ、相席みたいな状況だった。
その「池袋そば」。
大きなお揚げとわかめ、天たまにねぎ、そして生卵で湯面はびっしり。豪華感を演出したいのだと思うのだが、配役がポピュラーな役者ばかりで、それほどの感動はない。中でも気になったのが、生卵の存在。これが投入されるのを知っていたら、これをオーダーしなかっただろう。
生卵は扱いに困るのだ。湯温を下げるし、どうやって食べていいのか、分からない。黄身を壊してしまうと、せっかくのお出汁に溶け、お出汁もダメ、卵もダメという二重苦に陥る。かといって、卵を飲みこんでも、味わうことはできず、なんだかそれももったいない。生卵をぶち込んだ、「月見そば」なるものは、風流な名前だけのためにあるようなものだ。
そんな生卵対策で、頭がいっぱいになり、しかもテーブル席でいただくという落ち着きのない環境のためか、せっかくのおそばは気もそぞろで、堪能できなかった。しかも、急行の出発時間が迫り、急いで食べなくてはならない状況だったし。
これなら、JR駅構内にある、「爽亭」の方がマシだったかと思う。「凛や」は生そば、「爽亭」は茹でそばという違いがあるにしても、駅そばの問題はそこではない。
テーブルの相席の人は自分が座る前からいたが、食べるのは自分より遅かった。ほら、だから駅そばはシャレオツにしてはいけない。相変わらず、店内に女性客は皆無じゃないか。
急いで、丼をキッチンに戻して、店を出た。
自分はこれから、「ベルーナドーム」まで行かねばならないのだ。
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