加藤先生のライブを見終わって、出掛けたのが、「ZIMAGINE」から、徒歩30秒の「山﨑」という店。
餃子が有名なお店らしい。さすが、怪鳥、店をよく知っている。
もはや、9時をまわったが、「入れるかな、この時間」と心配する怪鳥。それほどの人気店なのだろうか。
店は確かに混んでいた。けれど、ボクらはかろうじてテーブル席に座ることができた。
餃子が好物という人をよく見かける。
一度に100個食べられる、と豪語した人を知っている。
ボクも餃子は比較的好きだが、そんなに熱狂的ではない。ともすれば、町中華に行っても餃子を頼まないことさえある。
3個も食べれば、もう充分だ。
焼き(蒸し)餃子よりも、むしろ水餃子の方が好きである。だから、ボクは中華街の「山東」が好きなのだ。
さて、「ギョーザのおいしい店」というのも、よほどの自信があるのだろう。
ビルの3階。店の雰囲気は中華なのだが、店のオープンは18時30分より。
中華としては異例である。
席について、メニューを見る。メニューカードには大きく「餃子」と記されている。
1人前が400円。4個入りだそうだ。
その横に、「おつまみメニュー」が書かれている。全て250円。
これは安い。しかも、ごはんものメニューも1品が500円だ。
外苑前の駅前の一等地で、こんな安価な商売をしていて、果たして大丈夫なのか。こっちのほうが心配になってくる。
飲み物のメニューも充実している。250円のおつまみといい、もはやこの店は町中華ではなく、中華居酒屋といってもいいだろう。
ビールの「中ジョッキ」が600円。水準としてはやや高い。
メニューの下には「ホッピー」の文字も。「外」と「中」、それぞれ300円ずつである。つまり、ホッピーセットが600円ということになる。しかし、「中」が300円というのはちょっと高い。
ビールと餃子はゴールデンコンビだ。だが、ホッピーと餃子はどうなのか。
ボクら、ホッピー研究会は、今回、ホッピーと餃子の相性について、研究を開始した。
「居酒屋さすらい」では、かねてより、揚げ物に対するホッピーの相性の良さを唱えてきた。
例えば、唐揚げやコロッケ、そして串揚げという類である。脂分の高いものがホッピーのうまさを助長するというのが、ボクの理論だ。
その点から考えれば、餃子もその素質は充分にあるといっていい。
焼いて、蒸す過程で油が必要だし。餡の挽肉にも脂分は多い。また、餃子の皮はある意味、粉もんであり、その構造は極めて揚げ物のそれとよく似ている。
問題は、その餃子を何で食べるかという問題である。
辣油か、醬油か、それとも違う何かか。恐らく、これによっても、ホッピーの相性は変わっていくことになるだろう。
昔付き合っていた女が、酢に胡椒をかけて、餃子を食べていた。何を隠そう、その女こそが、「100個の餃子を食べられる」と豪語したのだが、とにかく酢胡椒は今でもボクの餃子食いに影響を与えているといっていい。
近年、「孤独のグルメ」の五郎さんが、酢胡椒を提唱して、一躍酢胡椒がメジャーになったが、そんなわけでボクはもう24年前から、酢胡椒にお世話になっていた。
頼んだ餃子が運ばれてきた。一口では食べられない適度な大きさの餃子は、焼き目が多く、焦げている。蒸した水分を飛ばす時間が絶妙なのだろう。
焦げと皮の関係がいい。ともすれば、何も付けずに食べてもおいしいのではないかと感じる。見事な焼きだ。
一口目、ボクは何もつけずに餃子を口に運んだ。餡に含まれている肉汁だけでも強烈にうまい。それは、ものの見事にホッピーに合った。
もし、オーソドックスな醬油と辣油の海に餃子を浸してしまったなら、こうもうなくはいかなかっただろう。辛味とオイリーさで、ホッピーの清々しさが台無しになってしまう危惧を感じてしまう。
一方、酢胡椒はどうだろか。酸味とホッピーの清々しさはあまり調和しないのではないかと思う。ただし、胡椒のスパイシーさはホッピーの麦芽には合うような気もしており、一概に相性は悪いとは思えない。
試しにやってみた。
悪くはないのだが、想像通り、酢がホッピーの味を相殺させた。
怪鳥は、怪鳥でそんなことお構いなしに飲んでいる。
それはそれでいいと思う。
細かいことは気にせずに飲むのが一番楽しい。
でも、やはりこう思わざるを得ない。
餃子にホッピーは、どうなのかと。
町中華でホッピーが置いている店が少ないというのも、この疑問に世間が向き合えていない要因である。
中華の脂と揚げ物の脂。ホッピーはどっちに味方をするのだろうか。
何故、17時じゃない!
ホッピービバレッジは、中華に対して、営業・提案ができてないのかな?
チャンスなのにね。