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居酒屋放浪記NO.0265 - 駅前にある母の味- 「駅前酒場」(奈良市三条町)

2009-08-06 13:30:53 | 居酒屋さすらい ◆地方版
 近畿の駅百選に選ばれた奈良駅は来年迎える遷都1,300年を機に改装中で、その壮観な姿を拝むことはできなかった。
 奈良駅を横目にわたしは酒場を探すことにした。
 
 時刻はまだ16時を過ぎたばかり、翌日は休日出勤を控えているだけに、少し早い退出くらい許されるだろう。だいいち、出張中の今、出来うる仕事はない。ここは酒場に行って何か企画でも考えよう。
 
 地方に行くと、酒場探しに難渋する。しかも17時前にオープンしている酒場を探すのは至難の業だ。
と思って歩いていると、なんともまぁ、難なく見つかった。

 「駅前酒場」
 まんまじゃん。
 奈良駅東口から徒歩2分(信号待ちの状況によって)。
 まさに駅前!
 えび茶色の暖簾をくぐると、もうカウンターや小上がりには幾人もの客が。
 そこで、わたしもカウンターに座らせてもらった。

 まずは当然生ビールから。カウンター越しのおばちゃんに告げる。
 おばちゃん、ニコリともせずビールを注ぐ。ビールの注ぎ方はまぁまぁ。泡もクリーミィに残っている。残念ながら銘柄は不明。

 カウンター越しで既に飲んでいる熟年のおばちゃんがわたしに声を掛けてきた。
 「もう、仕事終わったのか」と。
 関西の言葉でも独特のイントネーション。そう明石家さんまさんと全く同じ抑揚で。
 「えぇ」とわたしが曖昧な返答をすると、店のおばちゃんが「○△から来たんか」などという。「○△」はどうも地名を言ったようだが、なんのことだか…。
 おばちゃん、わたしを盛り場の黒服と間違えたか?

 ともあれ、このカウンターでご一緒させて頂いたおばちゃんとその隣に座っている初老のお爺さんにはおおいに笑わせてもらった。まるで夫婦漫才そのもの。話しの流れから、このお二人がご夫婦でないことは分かったが、その間合いといい、あうんの呼吸といい、絶妙だった。

 男性は故杉兵助翁に似た好々爺。
 しかし、この翁の言葉は全く聞き取れなかった。強い方言もさることながら、だいぶべろんべろんに酔っており、口上を危ういものにしていた。翁が何か言うとおばちゃんがそれをわたしに訳してくれる。そんなやりとりがしばし続いたのだが、わたしは常に笑いっぱなしだった。

 「これから新地に行っておなごを抱く」と言う翁。
 それに対しておばちゃんは所持金がないことをおもしろおかしく説明する。
 すると翁は「さっきパチンコで勝った」などという。
 何の変哲もない日常的な会話なのに、この2人にかかれば、それがあたかもちょっとした小咄になってしまう。

 人生を楽しく生きている、と感心してしまった。
 そんなお二人のやりとりをわたしは「おでん」(各120円)と「酎ハイ」をつつきながら拝見させてもらった。

 「おでん」は関東風。
 まさに「関東煮」だ。
 「厚揚げ」「玉子」「がんもどき」etc。

 酎ハイはビールメーカーの出来合のもの。
 とりたてて、目を瞠るような居酒屋ではないが、この落ち着ける雰囲気は一体なんだ?
 5時になると、もう一人のおばちゃんがカウンターの中に加わった。
どうやら、それがこの店のママらしい。
 すると、大勢のサラリーマンの客が雪崩を打ったように入店し、2階へと上がっていった、。
 2階もあるらしい。

 おっ、とこうしちゃいられない。
 伊丹空港に行かねばならない。明日の仕事先に移動なのだ。
 夫婦漫才のお2人に挨拶をし、店を辞した。
 なんだか、温かい気持ちになって、わたしは奈良駅に向った。
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