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モザイクの一球NO.0032 高校野球よ、今いずこ「駒大苫小牧VS青森山田」

2006-08-17 22:56:58 | モザイクの一球
 悲壮感がない。
 緊張感はあるのだが、痛々しく胸を打つ場面はない。
 いつから、高校野球はこんな風になってしまったのか。
 
 決して、高校生らしさを求めているわけではない。
 そもそも、高校野球は高校生らしくない。
 だが、ここ数年の高校野球はまるで変わってしまった。
 駒大苫小牧高校対青森山田高校の試合を見てそう思った。

 まるで、クラブチームの対戦のようだった。
 彼らは故郷を背負っていない。
 さらに言えば、選手個々の筋力アップが著しく、ゲームそのものがパワーゲームになっている。
 9回裏、駒大苫小牧高校が同点に追いついたのは、3番中沢君のオーバーフェンスだった。
 結局、この試合、都合3本の本塁打が飛び交っている。
 余談だが、翌日の第3試合、智弁和歌山高校対八重山商業高校の選手はほとんどが大振りの1発狙い。
 大味な野球はもはや野球ではない。

 10-9。
 接戦のようだが、接戦ではない。
 試合の前後半でそれぞれのチームが一方的にゲームを進めたにすぎない。
 だから、駒大苫小牧高校が土壇場で青森山田をうっちゃって、サヨナラ勝ちした試合は、心に何も響いてこなかった。
 かつて、北国同士の試合は何か特別な雰囲気があって、「ここで星の潰しあいはできない」といった悲壮感とひたむきさに満ちていたような気がする。
 この雰囲気が一変したのが3年前の駒大苫小牧高校の全国制覇でなかったか。
紫紺の優勝旗が初めて白川関を越え、しかも、こともあろうに津軽海峡まで渡ってしまった。
 これは、高校野球にとってはエポックメイクなことだったに違いない。
 それは同時に高校野球のクラブチーム化が全国区になってしまったことを意味している。

 さて、試合は7-1で序盤に青森山田が大量点を取ってリードをした。
 「もしや」という雰囲気が漂ったのも事実だが、駒大苫小牧高校ベンチには切迫した空気は感じられなかった。
 勝負の分かれ目は4回だった。
 1死1、3塁。駒大苫小牧高校の6番打者三谷君が打った打球はボテボテの3塁ゴロ。ここで3塁手の口羽君は5-4-3の併殺を狙う。
 併殺が完成すればこの回無得点で攻守交替だが、併殺が崩れれば得点が入ってしまう。 7-2となって試合の大勢上はまだまだ青森山田が優勢であることには変わりがない。

 たかが、1点ではあるが、この1点で両チームの心にそれぞれ変化があったものと想像できる。青森山田にしてみれば、ひたひたと足音をたてて追撃する駒大苫小牧はなんとも不気味に映ったはずだ。一方、駒大苫小牧にしてみれば、「まだまだいける」となったのではないだろうか。
 大味な試合に馴れてしまえば、選手は試合のアヤにも気がつかなくなる。
 高校野球にも個人主義が浸透しているのか。


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