三十路の食卓

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「おとなの味」を知る

2011-04-19 22:01:47 | 食とレビュー
〈4月11日の食事〉
朝:フルーツグラノーラ+りんご+ヨーグルト
昼:鶏とレンコンのサンドイッチ(Bio Cafeのけしの実バケットを使用) キャベツに行者にんにく味噌 豆乳
夜:カレーライス ブルーベリーヨーグルト ミルージュ

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これを書いている本日(4月19日)、平松洋子さんのエッセイ「おとなの味」を読み終えた。

綴られた味や匂いが浮かび上がるような、視覚的な文章。
漢字とひらがなの使い分けのリズムがとても綺麗。
初めて味わう平松さんの文体は、自分にとってとても心地よい。

少しずつ一気に読んでしまうのが惜しくて、鞄に入れ、電車移動時に少しずつ。
それこそ滅多に味わえない好物をちびちびと何日かに分けて食べるように、読了までかれこれ3週間は要したのではないだろうか。
とても、おいしいエッセイであった。

感銘を受けたからここに書くのに、本の内容を少しでも紹介したら営業妨害にならないかと危ぶみつつも、特に印象に残ったはなしを書きたい。
それは、水のはなし。

日本の水質は基本的に硬度の低い軟水だが、細かく見れば、比較的東日本の水は硬度が高く、西日本の水は硬度が低い。
その分、東日本の水で米を炊けばパラリとし、西日本の水で炊けば水分の多い、もっちりとした感じになるという。
米の炊きあがりを生かした結果、江戸では握り寿司文化が生まれ、上方では押し寿司文化が生まれたという。

また、硬度が高いことで知られるヨーロッパの水は煮込みに適しているため、シチューなどの食文化があるのだという。
イタリアの味を再現するため、コストが高くなっても硬水を使ってパスタを茹でる職人のはなしも紹介されていた。

水は調味料である、と結論づけた文章に感銘を覚え、同時にへええ、と膝を打った。
水には硬水/軟水という区分があるのは知っていたが、そこまで味を左右されるものとは。
調理のみならず、育つ過程においても左右するのは自明の理で。
作物の芽生えから口に入るまで、そこにはどうしてこの味になったのかという理由があるのだとわかる。
「地産地消」ってエコ用語のように思われているが(※近場で採れたものを食すことは、運送にエネルギーを使わないという意味でエコだと言われている)、新鮮なものを「理由」込みで食す行為なのだと気付かされた。

まあ元々食に対してどん欲であり、してこういう業態のブログを書いているわけだが、食の背景を思えば、益々食べ物が愛おしい。
「おとなの味」の余韻を味わいたくて、最後まで読んだ本を、また捲って字を追っている。

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