三十路の食卓

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煮崩れによる渋滞という妄想

2013-02-13 21:31:26 | 食雑記
〈1月9日の食事〉
朝:鮭チーズトースト コーヒー
昼:お弁当(鶏とチンゲン菜の炒めもの、ほうれん草の卵焼き、白菜とシイタケを煮たもの) ローソンで買った焼おにぎり
夜:ほうれん草とチーズのパン チョコチャンクスコーン(以上二点、ヴィドフランスで購入)

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相も変わらず、仕事中のBGMはラジオである。
(正確には、PCからradikoを使って聴いている。)

どんな番組を聞いていても定期的に流れるのが天気予報と、道路交通情報。
んで、道路交通情報で時折聞かれる「トラックの荷崩れによる渋滞」が、一瞬「煮崩れによる渋滞」に変換されて聞こえて、ちょっとぎょっとするのだ。
もちろんすぐに「ああ、荷崩れね」って分かるのだけど。
というか、「荷崩れ」は単語登録されているけど「煮崩れ」はされていないようで、どちらが一般的な言葉なのか伺い知れようというものだけど。

煮崩れによる渋滞。
というものが実際に起こったら、どういうものなのだろうか。
煮崩れしやすいものと言ったらカボチャが思い浮かぶのだが、じゃあカボチャで考えてみよう。

弁当屋に勤める昭子(48)は、主に煮物を作ることを担当している。
25年に及ぶ結婚生活で培った昭子の煮物は好評で、地元のタウン誌やコミュニティFMで取り上げられたこともあるほどだ。
家庭生活と弁当屋勤めで昭子が学びとった煮物の秘訣は、煮込み時間と、調理から食べるまでの寝かせる時間である。
具材によってその時間は加減し、時には家で作ったものを店に持ち込むこともある。
本来なら店で作らなくてはならない決まりなのだが、なんせ昭子の煮物は好評だから、店長も黙認している状態だ。

そんなある日、昭子はいつものようにカボチャの煮付けを大量にこしらえ、鍋ごと車に乗り込んだ。
いつもと違うことは、登校中に忘れ物に気付いて引き返してきた娘の小春(16)を駅まで送り届け、それから店へと向かったことである。
その普段と違うことと、単純にいつもより時間がなかったことで、昭子に余裕を持たせなかったのかもしれない。

鍋が動かないように、助手席にくくりつける専用ホルダー(夫・謙一の自作である)を忘れたと気づいたのは、小春を駅で下ろした後。
それまで小春に鍋を抱えさせていたがゆえに、気づくのに遅れてしまった。
普段より遠回りした分時間はないし、家に取りに帰るにしたって、それまで不安定なまま鍋を運ぶのは同じなのだ。
悩んだ末、そのまま慎重に店まで進むことにしたのであった。

「こんな日に限ってカボチャなんだもんなあ…筑前煮だったらそんなに気にならないのに」と昭子はひとりごちる。
ただでさえ崩れやすいカボチャは、車が停車する度に鍋肌に当たり、角が段々無くなってゆくのが見て取れるよう。
気が気でない昭子は、いつの間にかかなりゆっくり運転してしまっているのに気付かない。
後続の車も、狭い道ゆえ昭子の車を抜くに抜けない。
幸か不幸かすぐ後ろの車の運転手が気の弱い人で、クランクションを鳴らして気付かせることもできない。

こうして、事故も工事もないのに、不思議と団子状の車の列が…
これが「煮崩れによる渋滞」の真相である。
ない話ではないんじゃなかろうか。
道路交通情報で流れるかは別として。

尚、これは完全な妄想によるフィクションであり、昭子一家にはモデルがないことをお断りしておく。

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