今回の一人での軽井沢滞在の目的は庭仕事などと書いたが、半日だけは軽井沢植物園の観察会に参加することを予定していて、この観察会には昨年から滞在中に開催されていれば行くことにしていて、軽井沢の季節ごとの樹木や山野草などの花を教えてもらっているのです。冬季休園期間以外の開園期間中の月に二回の日曜日の開催となっていて、入場料の100円だけで園長さんの諸々の説明を聞きながら園内を巡るというもの、今年からはこれまでオリンピック記念館だった隣接の建物が植物園の展示館になって、この日はその説明もあって2時間ほどの説明会となった。冒頭写真はこの日の浅間山の姿である。
開始時間の午前10時半には20人弱ほどの参加者が集合、園長さんに従ってまずは1時間半ほど説明を受けながらの園内の散策では、この時期はツツジが盛り、サクラソウは今年はまだ花が良く残っているとか、さらに花が終わったばかりのものやもうじきに咲き出すものなども含めて植物の特徴や見られる地域など、さらにこの植物園に植えられた由来や育て増やしてきた経過などと、とても全部は覚えきれないけれど興味を惹かれ且つタメになる内容は、ちょっとばかり薀蓄をひけらかすネタになりますな。
植物園入口
今咲いている花のリストが
園内で説明があったところでいくつかの写真を以下に。
ツツジはハナグルマ、手前にはハルナユキザサという通常より大きいものが
サクラソウと奥には葉の形が丸いカッコソウが
日本タンポポの一つシナノタンポポ、額が反り返っていないのが日本タンポポの特徴
クマガイソウは軽井沢には自生していなかったものだそうだ、雪が少なく遅霜などがある軽井沢では霜除けが必要だと
シロヤマブキは花が白いだけではなく、姿は似ているが花弁が4枚でヤマブキの5枚とも違うというのは初めて知った
クリンソウと黄色い花はハイキンポウゲ、この前にリュウキンカと書いてしまったが同じキンポウゲ科で遠目で見たから分からなかった
ヒロハヘビノボラズという変な名前の樹木はトゲがあるから蛇も登れないと
ヘビノボラズと同じくメギ科でトゲがあるテンジクメギの花
手前はアサマキスゲよりも花期が早いニッコウキスゲ、奥はチョウジソウの群生
手前ヤマブキソウの花弁はヤマブキに似ていても4枚、奥はシラネアオイがまだ一株だけ咲いていて
左ベニサラサドウダン、右は花色が薄いサラサドウダン、園では似たものは近くに比較できるように植えている
珍しい種類で絶えないようにと分散委託栽培しているというタデスミレは、一見雑草と間違えそうで目印の青い棒が添えられている
ニシキウツギ
オオツクバネウツギ
最後に展示館での説明で今に至る軽井沢の植生の歴史についての興味深かった話を。現在はカラマツに代表される樹林が多くを占める軽井沢の姿は、有名な天明の大噴火で多くの植物が失われた時からまだ200年ちょっとしか経ていないという。西洋人たちの別荘地となった明治でもほとんどが草原や湿原で離山も樹木は無かったとか、農耕馬などを育てるための牧草地として使われていたという、それが戦後の木材需要に応えるべくカラマツなどが植えられたが、カラマツは木材としての価値が低くて活用されずで、今のような樹林地帯になって貴重な草地などが消えて行ったと、ほかには草原湿地から大型ゴルフ場にもなってしまったしで景色は一変、樹林地帯はこのまま進むと碓氷峠のような森林地帯に移行していくという、まさに今の浅間山中腹の草地から碓氷峠森林地域への遷移の中間の姿を見せているんだそうだ。
植物園はそういう消えゆく草原の一部保存にも努力していて、この植物園もそういう理由から前園長が努力してできたものだそうだが、さらに旧射撃場の場所に自然園として復活作業もしているいうお話であった。