このぐい呑は確か買ってから数回使っただけでお蔵入りしていて、女房が棚の奥にあったのを何となく出してきたとかで久しぶりのご対面、確か10年以上も前に三つぐらいのぐい呑をまとめ買いした中の一個でその時には一番気に入ったもの、当時は唐津焼じゃないかと思っていたと記憶する。それが今回これで飲んでいたらどうも韓国ものじゃないかという気になってきて、陶芸教室の先生と鑑定し合ってみようということで持っていってみた。
とにかくこの焼物は釉の掛け方などぞんざいで、金継の直しも一ヶ所あって値段は安かったと記憶する、でも何か雰囲気があって僕の好みと、但し直しているのにあまり使用していないような感じで時代が無さそうと、それで唐津かなぁと思ったものだ。でもこれで飲んでいるうちに改めて釉薬の色や土の感じが唐津とは少し違うようなと、もしかしたらという気になってきた。それとわざわざ金継をしてあるのも気にかかる、この直しがあるのが逆にこの造りには似合うようなと、益々いい感じもしてきてしまった。
韓国となると李朝ということがすぐ浮かぶが、確かに唐津と李朝とはよく似ていて中には見分けが僕等にはつかないものがあると聞くが、全体の雰囲気というものでは今の唐津よりも李朝の方が粗削りな気がする。冒頭写真を含めていくつかの方向から写真を撮ってみたがどうでしょうか、どなたか目利きの方がおられたらご教授を。
釉掛け時の指跡だろうか
高台
さて持って行って見て貰ったら、さすがにプロは気が付くところが違いますな、これは左回しのロクロで挽いたものだそうだ、理由は見込みの底に見えるロクロ跡がのの字になっていると、右回しだと反対巻の模様になるんだそうだ。それで左回しを使うのは韓国と沖縄で、九州では一部ではあるかもしれないということで、先生も全体の感じからは韓国の焼物じゃないかと。それだと李朝だったら凄い儲けもの、楽しみながらこれからよく使ってやって使い味が出て来るか、これで飲み続けるとしましょうかね。
のの字が見える
金継部分
さらに手元にあった現代ものの唐津焼のミニチュアの花瓶との土味の違いを見てみた、今の唐津ではいくつかの土を使っているらしくて白い土もあるらしいが、この花瓶の土とはだいぶ違う、はたして昔の土はどうだったのか。釉薬の色もこの花瓶と似てはいるがやや白っぽくて、ぐい呑のような青みに欠けるし肌も違う感じ、どうでしょうかねぇ。
今ものの唐津焼 上が花瓶で色が全く違う