雨模様だから観光は早々に切り上げてやや早めの4時半には宿に到着、こちらに泊まるのはもう4回目となる。玄関わきの駐車場が開いていたから、今日は日曜日で会社関係の宴会が無いしで我々だけかと思って入ったら、ほかには10人のオバチャン達の同窓会グループが入っているそうで、2階の角部屋に案内される階段の途中で、上から賑やかなオシャベリ声が聞こえてきた。その階段の手前には静岡県の旅館100選に選ばれたという掲示があって、料理自慢が決め手になったんでしょうな。
静岡県旅館100選に
団体さんたちは久しぶりとまだ会話が弾んでいるようですから、今のうちに札を家族風呂にしてどうぞというのでまずは風呂だ風呂だと急ぐ。ここは温泉ではないけれど大きな浴槽のほうは中庭に面する半露天になっていて、大き目の石造り湯船でゆったりと入れるから温泉かと錯覚するほど、24時間入浴可能で空いていれば貸切状態で入れるのが小さな旅館のいいところだ。この季節は外からの風が気持ちよく、湯温もぬるめでゆっくり浸かる。
夕食はちょっと部屋で休んで6時半から1階の食事処で、西側に浜名湖を眺められる部屋だからちょうど夕日が浜名湖の向こうに沈む時間帯となり、幸いに雨も上がっていて夕景を写真に収めることができた。ここに来ての干潮時は初めてで、浅瀬にはシラサギ、アオサギが何匹も魚を狙って立っているのには、ここでもこんなにサギ類が増えたんだねぇと、農薬を控えるとこんなに野生生物も恩恵を受けるんだと改めて実感できますなぁ。
浜名湖に沈む夕日
左アオサギ、右シラサギ
その自然の一部をご馳走にということになって、夕食で浜名湖の恵みとはっきり分かったのはクルマエビ、アサリ、ササガニなど、それと生シラスは遠州灘のものでしょう。ヒラメやホウボウも浜名湖で獲れるけれど市場経由だから何処産だろうかな。この時期は遠州灘沖で獲れる朝どりのモチガツオが舞阪港に水揚げされるはずだったのに、どういうわけかこのところ全く獲れないそうで、事前に頼まれていたのにスイマセンと、それでは如何ともし難いことだからショウガナイと、しかしこれだけは残念だったなぁ。今年は初カツオが早かったと新聞に出ていたから、もう北上してしまったのかもしれないね。ここの料理はどれも美味しくて、お造りのヒラメの昆布〆はこの宿の定番、今回の煮魚はビックリするような大きさのホウボウ、焼物は地元産ササガニ(ワタリガニをこの辺りではこう言う)、酢ものはシャコとエビとタコにジュレ状の味付けとシャレている。今回初めてだったのはアサリのイタリアン風鍋で、これが意外に良い味わいで味噌よりも僕の好みだ。細かいものでも前菜の玉子焼きは蟹肉入りだし、生野菜スティックに添えられた味噌などもいろいろなものを混ぜ合わせていて美味しい。この味噌はお土産用に販売してもらいたいぐらいだ。女房が生きたままではイヤだというクルマエビは僕が全部剥いてあげて、これは歯当りがグリグリと固い中に甘みがあると、踊り食いは初めてだそうだが食べてみたら旨かっただろうと。昼を欲張った女房は最後は湯葉の味噌汁が苦しいと、やはり僕もご飯はいつも通りにパスしてもう腹いっぱい状態に。冷酒は地元浜北の蔵元である花の舞、これだけ食べるのに忙しいと二人でビールとの2本だけでもう結構ということになって、家で飲むのに比べるとこちらは健康的でいいですなぁ。隣の部屋からは我々より年配らしき女性陣のオシャベリも聞こえてきて、独特の遠州訛りがあったから地元出身の人達ですね。
まずは前菜が
一人分のお造りでヒラメ、カンパチ、マグロ、トリガイ、ホタルイカ、シラス お詫びにとクルマエビ
ホウボウ 大きなホウボウを二人に取分けてくれた
シャコ、エビ、タコの酢物 焼ササガニ
アサリのイタリアン風鍋 冷酒は花の舞
ご飯はパスして ゆずアイス
腹ふくれれば瞼がたるむということで、折角アルコールを控えたんだから後を引かないうちにと早々寝てしまう。
翌朝は5時半には朝風呂に、幸いに雨はずっと降らなかったようで、これなら真っ先に行こうという浜名湖ガーデンパークは歩かなくちゃいけないから良かったなと。この季節はもう十分に明るくて、こういう半露天風の湯は真っ暗よりずっと気分がいいから、昨夜は食後はもう入らずに朝だけでいいんじゃないかと早寝して、一番に入ってしまうというのは正解だね。
朝食は7時半から、ここの朝の定番は鮭でこれが一夜干しみたいな柔らかさと塩梅のいい塩加減が絶妙、特に今回は脂も抜群にあって旨かった。アサリもこのくらいの大きさがあると食べごたえがあり、浜名湖産のアサリはほかの産地よりも値段が高いそうでそれだけのことはあると、浜松出身の僕も同調する。最後にデミタスながらコーヒーが出てくるのは我々夫婦には嬉しい。それとここの料理を参考にして我家のメニューが毎回増えるのだが、今回は昨夜のアサリのイタリアン風鍋が女房のターゲットになったようだ。
朝もシッカリと
デミタスコーヒー
宿の外に出て今一度浜名湖を眺めればもう砂地は消えていてサギ達の姿は無いが、カキ棚の手入れなどに漁師さんはもう精出している。南側に見えるのは昔は3番鉄橋といった橋で今は車、在来線に新幹線も並列していて、一番北側の橋を新幹線が走り過ぎていく。改めて浜名湖は風光明媚だなぁと、近江の琵琶湖と比べて遠江は湖の姿変化が繊細じゃないですかね。僕が小学校時代の夏休みには親父と三日と空けずに魚釣りにきたのはこの目の前の海中央部分で、手漕ぎ和船でここを潮の満ち干に合わせて南北に行き来したものだが、湖の様子は昔とはそんなには変わっていないと妙に心休まるものがあった。
カキ棚では秋にはカワハギなどの小物が釣れた
画面左手に新幹線が過ぎる、この橋の南北を満ち干に従って行き来して流し釣り、クロダイ、コチ、ヒラメを狙った