小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

ヒートアップか、クールダウンか。

2015年08月02日 | エッセイ・コラム

 

猛暑のきれめがない。汗腺さえ衰えてしまった老体ゆえ、汗にまみれることはない。が、そのぶん暑熱が体の奥底にとどまるようだ。ただ自分としては、夏は嫌いではないので不平不満をもらす言われはない。
昨日、今年はじめて西瓜を食した。待った甲斐のある旨さ、甘さと水分。口からこぼれ落ちるぐらいの水分量がなくてはならぬ。無類の西瓜好きの妻がよくもこれまで買わなかったか不思議だった。美味くなるまで我慢する。がっかりしたくないから、買うことを控えていたとのこと。その言よし、と同感の至りである。(後に果糖がかなり気になっていたと告白)


座右の書にならぶ薄田泣菫「独楽園」から、こんな西瓜についての文章があった。

夏の寵児であるこの瓜を味わふには、まづそのおおきな図体のなかで一番よく成熟してゐる果芯から始めることだ。さくさくと歯触りの軽さにつれて、泡のように痕もなく舌の上に溶けてゆくその甘味が、一口毎にその度を薄めつつ、低めつつ、果てはあり余る水分とともに口中に氾濫する冷たさ。こころよさ。
かくて太陽の第一の秘蔵っ子は、思ひがけなくも反抗児として、自分を愛撫してくれた灼熱の真夏を冷却し、また銷却する。        ウェッジ文庫:薄田泣菫著・独楽園から「夏の大頭漢」より   

地球温暖化、熱中症なぞということばがない時代。そのころの真夏の灼熱とは、いまの摂氏何度ぐらいであったろうか。60年代、わが子供時代にあっては、摂氏30度をこし32,3度になったら大騒ぎだった。夜ともなれば扇風機の涼風でじゅうぶん事足り、夜通し回していると赤子や老人は身体が冷えて死に至ると注意された時代だ。

ともかくも夏の暑気を払う果物、西瓜にそそがれる泣菫の筆は実に冴えわたっている。


さて、国会周辺のヒートアップ現象はいかなることに・・。安保法制各法案が衆議院で強行採決後、にわかに若者たちの動きが目立ってきて、余りにも独善的な政府与党のごり押しに反対する人々もふえてきた。採決の前だがわたしも一人で出かけ、しょぼいシュプレヒコールを叫んだつもりだ。

 衆議院審議まえの7月14日。この頃の国会前は、9時頃になれば落ち着いていた。国会もなぜかライトアップし、物見遊山的演出か・・。いまは暗闇につつまれ姿は薄ぼんやり。周辺は機動隊車がずらりとならび、警察・機動隊員の数もやたら増強している感あり。デモ主催者に言いたいのは、この国会前はシュプレヒコールする場所としては象徴的だが、実は効果がない。首相官邸をターゲットにするべきだろう。正面はいまも人がいっぱいだが、むしろ裏側の山王パークタワーやキャピタル東急ホテルがある溜池山王駅周辺が最適だ。安倍ちゃんからすれば、足もとから抗議の声が響いてくるような気になるのではないか。

 

  ↑官邸前(7月31日 凄いことになってきている)

粛々と事をすすめる安倍ちゃん一派は国民の熱い声に耳を傾けるそぶりさえない。参議院でも相変わらずの、のらりくらりだ。

ただし、そんな安倍ちゃんの安穏さを瓦解するべき事実が発覚した。

電話の盗聴のみならず、官邸の会議の音声にも聞き耳を立てていたのである。「そんなこと誰ができるのか!」と、安倍ちゃんが言ったかどうか・・。
「ウィキリークス」はよくぞ暴いてくれた。スノーデンはやはり凄かった。マスコミだったら国家転覆級のすっぱ抜き内部告発記事だ。

犯人は米国の国家安全保障局(NSA)だった。政府中枢のみならず日銀、大手商社も含まれていたとのことだが、TPP交渉時とも重なり、米国のなんとも節操のないスパイ活動にはどうも表現のしようがない。
それよりも、アメリカに絶対の信を置いちゃっている当の安倍ちゃんの心境はいかに・・。金をだす、兵もだすほどの尻舐め、もとい隷属をしめしているのに、官邸まるごと盗聴されていたのだ。電話回線はもとより、会議そのものも盗聴されていたらしい。この事実をなんとするか。

ドイツのメルケル首相は、自身の携帯電話盗聴が発覚した際、オバマ大統領に断固抗議した。安倍ちゃんがどんな対応をみせるかが見ものだ。もちろん、マスコミもどういう取材をし、事実関係の詳細な分析をするかが楽しみだ。意外にも淡々と終息するかもしれない。安保法制論議で揺れ始めているなか、アメリカに裏切られたショック、動揺・混乱した姿は見せられない。ここは落ち着き払った堂々たる対応を見せるべきだと、誰かさんがご注進あそばすだろう。政府としての抗議も、一呼吸おき、クールダウンしてから別の機会にのぞむかもしれない。

このアメリカNSAによる盗聴結果は米国、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの五か国で共有していたとのこと。いわゆるアングロサクソン圏の通信傍受ネットワーク「エシュロン」が暗躍していて、かつて産業スパイ問題では表面化したことがある。

安倍ちゃんがいかに恭順の意をしめしても、アメリカにとって、日本はやはり仮想敵国の範疇にとどめておく対象なのである。その理由を書くことは別の機会にするが、世論が反米に傾けば大統領の訪日さえ現前阻止するパワーがあるのだ。

(ハガチー事件:1960年大統領訪日の打ち合わせのために来日したハガチー大統領秘書官が乗る車を安保改定阻止を掲げるデモ隊が取り囲んで、車の屋根やボンネットに登るなどの暴行を加えた事件)

       

↑ハガティを救出するため、海兵隊のヘリが飛来した。このとき私は十歳の小学生だが、鮮明に記憶している。

 

 


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2 コメント

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話の種 (秋 マツコ)
2015-08-10 19:19:21
店頭に【 種無し すいか 】と書かれて、カット西瓜を並べて売っているのが、たまたま目に入りました。「 それは食べやすい! 」と、よく見たら、なんと、【 種無し 】のはずなのに小さい白い種が、かなり入っているのに気づきました。早速、店員にそれについて聞くと、
「 白い種は、種無し西瓜として扱われているのです。」、とのお返事 ... Σ(゜д゜lll)ホンマかいな~ (・・?) そのあたりでストップするべきだったのに、そんな返事に解せない私は、「 【 白種有り すいか 】と書かないと、本当に種無し西瓜を買おう思っている客に対して詐欺みたいじゃないですか? もし、それが白胡麻なら、【 胡麻 】である存在が無くなってしまいますねぇ~! 」と言ってしまったのです... (≧∇≦)
このブログは、アカデミックな感じ(【 漢字 】も含めて )がするのに、こんなチャラいコメントで誠に申し訳ありません m(._.)m ただ、私は、今日、その店員の返事にビックリしてしまったので、どなたかに聞いていただきたかったのです。
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Unknown (フジ)
2015-08-11 19:22:28
マツコさんのように、きちっと言う人がいるから世の中が回るんです。看板に偽りありです。小さくても、白くても種はタネです。最近の日本はどうかしてますね。ミサイルは弾丸みたいなものだと、飛んでもない嘘をこく大臣もいましたっけ。騙されないよう気をつけて下さい。
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