小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

試詩5 たいせつに仕舞って (アントニオ・ロペスの方へ)

2015年04月22日 | 

 

たいせつに仕舞って


最初に目にしたときの愕き
やがてうれしさに変わり
歓びというものの意味をさぐり
こころの淵に芯のような種ができる
たいせつに育もうと願いながら
記憶の引き出しにしまう
かけがえのないイノチの行く末は
痛みや虚しさをともなって
ひそかに消え入ることもおおく
いつまでも奥ふかく劃される
幽(かそけ)し蕾はまだかなとのぞみたかく
むすめの風をにほい抱きしめて
たしかな生きる手ごたえを感じて
生まれた土地のカタチと色をとどめる
ひとびとのざわめきやどよめき
路地の奥の花のいろ店先のわらうこえ
闇もあれば死も棲んでいる光景のなか
ひとつの固い実をひそませて歩く
はじめて見たうれしさをわかちあうとき
たぶん芽がふくであろうとしずかに希む








もう何年も詩を書いていなかった。いや、詩に達していない言葉の羅列だから「試詩」と自分なりに名づけ、このブログに4編ほど載せたのだが・・。アントニオ・ロペスをなぜか想いだして、作品とかビデオを見たりしたら詩のようなものが書きたくなった。

近頃、社会的なアクチュアルなものを書いていたので、自分の内部に問いかける言葉を紡ぎたくなったのだ。わたしは思い立ったら我慢できないたちで、じっくりと取り組む構えに欠けている。もうこの歳だから諦めているが、画家や彫刻家の先生に教えを乞うような、少なくともお話を訊けるようなことをすれば良かったな、と悔やむことがさいきんあるのだ。

それで仕舞っておいたアントニオを引き出したというわけだ。

 

 その彫刻が息をしてくれるならば そう息をしてくれれば

 そしてただの肖像ではなく それ以上のものになってくれれば

(アントニオ・ロペスの言葉)

 

 

   

            

 

 

 

 

 

 


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