小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

胡散臭い四文字

2015年12月16日 | 社会・経済

 

完璧に政権与党の選挙対策だとおもう「軽減税率」が、その実施に向けて混乱の様相を深めてきた。外国産の税システム、ルールを無理やり当てはめようとするからギクシャクするのだ。
「税率」を「軽減」するのか・・。「減税」を「軽く」した「率」なのか・・。いや「減税率」を「軽く」するのか・・。「軽減税率」という四文字言葉は胡散臭く、正確な意味を伝えていない。
対象は食品のうち、生鮮食品か、加工食品を含めるのか・・。外食は適用外なのか。イートインとテイクアウトではどうか・・。食品以外は何が対象で、どのように適用されるのか・・。

そもそもこれは、消費税8%が10%に引きあげられる際に、食品関係は特別に8%に措置きましょうという、ただそれだけのこと。10%を8%にするなら軽減であり減税といえる。
税率がそのまま8%なら、「据置(すえおき)税率」といえば済む話。シンプルで意味が正確に伝わると思うのだがな。わざわざ「軽減税率」なぞという、いかにも「国民に配慮してます」的なまやかしが見え隠れする言葉のセンスだ。

こういう言葉の使い方、狡い「知」の働かせ方は、「霞が関文学」の典型である。
もしかしたら、政権に執着している公明党のひねり技かもしれない。庶民の味方だと自称する創価学会は、消費税の増税に反対する会員の真摯な声、突き上げに耐えられなくなっているという。このまま自民党と与したままで、公明党・党是である「生活者優先」を全うできるはずもない。

自民党にしても、公明党の要望を受けいれる方向で、つまり軽減税率を安易に組み込んだ消費税増税を目論んでいた。
ところが、先に述べたように対象商品の適用が複雑で混乱が目に見える。運用するための事務コストが半端ない。適用範囲のルールづくりもさらに広がり、複雑化することも考えられる。軽減税率導入のメリットは何処にもなければ、恩恵を受けるものは誰もいない。自民党内部では既に、導入反対者も出てきて、分裂しそうな勢いだとか・・。がっちり10%一律にアップする派が大勢だとおもうが、8%にしばらく据置くという慎重派もいるらしい。

消費税の増税が、国政の至上命題なんてのは嘘っぱちだ。赤字国債、財政逼迫などは自分たちの怠慢であり、緻密な計画や検証がないことが大要因なのだ。それを薄々感じているから、身を削ってでも制度改革できないし、財政の抜本的な立て直しを放棄したままなのだ。
税金を上げることは、ツケを国民に、未来にまわすというパラダイムだ。こういう方策しか立案できないエリート官僚は、もう末期的な無自覚・無責任症状をしめしている。

誰もが得をしないと言われる「軽減税率」だが、消費税10%は法定化される。この事実は重く、確定される。
財務省としては、歴史に刻むべき増税となろう。

また、「軽減税率」は、TPPと大いに関連するはず。いまだにTPPの全貌を、公文書として日本語できっちり発表できないのは、増税とのからみで都合の悪い理由があるのではないか?!
一方、マスコミが政府の正式文書をただ黙って待つのもどうかと思う。費用や人材を共同分担して翻訳してもいいじゃないか・・。社単独で翻訳しても、スクープになるし独自の分析と研究で連載記事にもなる。
そんな独自性を発揮しないのは、胆力がないこともあるが、「軽減税率」のうま味をいただきたいという、新聞社としての抜け目ない魂胆があるのだろう。

情報の役割とは、知識を伝達することと、事実を正確に伝達すること。この二つの要諦をきっちり行うことが、新聞はじめマスメディアの仕事だ。自分たちの立場や保身ばかりを優先させてはいないか。

 大事なことを言い忘れた。消費税の増税は3年ほど凍結すること。デフレは弱含みになって、実体経済は好転します。法人税はじめ特会の歳入もアップして、消費税2%アップなみの増収がありますから。やったんさい!!!

 

★夫婦別姓の違憲判決が今日出たらしいが、この国の旧態依然としたさま、自由度の低さは、もはや先進国とはよべない。経済だけでなく法制度でも貧困度は進行している。


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