小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

泥沼の未来へ ①

2017年10月28日 | 国際・政治

 

「泥沼の未来へ」なんてことをほざく糞爺は嫌われるだろうな。特に、女子からは毛嫌いされるのが目に見えるようだ。「なぜ、未来のことを楽しく語れないの? 可能性はあるでしょ、私たちの未来なのよ!」

それができないから困っている。ふつうこの歳になれば、達観するか、諦めてニコニコ笑っているか、「ああ、そうかい」と全てを受け入れる。それが、老いていく人生の度量だ。だが、孫のいない私は、若い人に嫌われても平気だし、それがどんな怖ろしい結果を生むかも知らない。あんな糞爺はほっとくに限ると、誰もが思うだろう。誰かにいじられて悦ぶような自虐精神もない。齢を喰っても直らない「癖」だと思ってもらうと有りがたい。

こんな気分になったのは、イシグロの「忘れられた巨人」を読んでいるせいか・・。アーサー王物語のイギリスの古い時代(5~6世紀)を下敷きに、権力と支配、民族と統治、愛と忠誠、正義あるいは悪意などのメタファーがぎっしり詰まった古典ファンタジー調。少ない登場人物で、ぐいぐい物語が展開する。同じ島国だが、日本は戦国時代はあったものの、政治・統治のありかたは緩く、民族的な軋轢もほとんどない。イギリスに比べれば、あまりにも地政学的に恵まれた穏やかな国だと思う。「忘れられた巨人」は、あらためて論じてみたい小説である。

さて、今度の選挙で考えたこと。

この瑞穂の島国はこれから、戦争を厭わず、武力を誇示した過去の忌まわしい国に戻る予感がする。大国アメリカに依存し、追随し、国益や子々孫々の生命さえも差し出すという嫌な予感。近い将来、憲法を書き換えるべき措置がとられるだろう。その挙句、国会前に集まり、安寧と平和を願うシュプレヒコールを唱えたところで後の祭り。

(全得票数を勘案すると、自民一強ではなく、単に選挙制度のマジックだってことを知っている人は少ない。制度に欠陥や不合理なことがあっても、それを変えないのは不思議だ。その逆の場合、国民にとってデメリットになる法案は簡単に決まる。どうしたものか・・。)

かつてイラクのサダム・フセインの軍隊がクウェートに侵攻し、イラク戦争が勃発した。日本は平和憲法のもと参戦できないから、戦費を負担するとして国民一人当たり1万円を拠出することがあった(これも正確には参戦だが)。その後クウェートは、日本に対して何ら感謝の意を示さなかった。日本政府はなにを血迷ったのか、「日本は金を出すが、派兵はしない平和ファーストの国と思われて痛恨の極み」と勝手に受けとめた。(そんなことを思うのは、ごく一部の政治家や官僚だけなのに・・)。

日本人は平和ボケに陥り、国際平和の秩序を維持する責任と役割を放棄していると思わされた。戦争に参加できないことを後ろめたく、いや卑怯者だと思わされる人々が多くでてきた。

これらの政治的な流れは、政官財中枢の恣意的な誘導であり、マスメディアさえもコントロールするかのような「心性統治」なのである。個人を対象にした洗脳やマインド・コントロールではなく、柔らかな大衆心理操作である。それは日本人だけの特殊性、地政を見極めた高度なガバナンスだと筆者は考える。

日本人をキリスト教に布教しにきた、あるイエズス会・宣教師が日本人を呪った。(その後、棄教したが・・)
「この国は考えていたより、もっと恐ろしい沼地だった。どんな苗もその沼地に植えられれば、根が腐りはじめる。葉が黄ばみ枯れていく。」

沼だったら舟に乗って、前に進める。沼地とは泥沼ともいう。沼地は水田になるが、未来の泥沼は、生きて歩くことがままならない。大国アメリカの片棒を担ぐこともあれば、盾になることや、身代わりとなって人質を差し出すことも強要されるんだろう。もはや泥沼でもいい、羽を休めに鳥が飛んでくる平和な沼地を望む。

ズボっと嵌って泥沼。そんな歌詞でロックするバンドがいる。ZAZEN BOYSの「泥沼」を紹介したかったのだが、著作権擁護かしらんがユーチューブ側で削除したようである。残念。(音だけなら

ZAZEN BOYS - 泥沼 (Bog) 

制度に欠陥や不合理なことがあってもそれを変えない、と書いたが、アメリカの場合、トップが変わると国柄が変わる場合がある(リンカーンの時代だが)。トランプが再選されると混迷は深まるだろうが、別の人が大統領になると、少なくとも泥沼からぬけ出せる柔軟さ、国柄をもっている。トランプを推した人々の子孫、次の世代に期待したい。グローバル化のせいか知らんが、アメリカの若い人たちの意識が外向きに、いや本物志向が見受けられる。

アメリカのこの若いグループはたまに聞いている。もう中堅どころかな。

Austin City Limits Web Exclusive: Alabama Shakes "Gemini"

 

 

この稿、続く。


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