鎌倉の隠者

日本画家、詩人、鎌倉の鬼門守護職、甲士三郎の隠者生活

59 隠者の収穫祭

2018-10-18 14:36:41 | 日記

(秋の供物 如意輪観音図 桃山時代 探神院蔵)
俗世のハロウィンとは全く関係無く、毎年我家の庭に実った物を神仏に供えて隠者流の収穫祭をやっている。
荒庭には写真の蜜柑、栗、団栗の他に柿や零余子なども雑多に実っている。
昔の郷士の家では凶作や戦乱に備えて食用になる庭木を大事にしてきた名残だ。
以前お見せした衣通姫や三美神、聖獣達にもお供えしている。
あまり御利益は望めない我家の神仏達だが、季節の行事として一緒に楽しめれば良いだろう。

(収穫図屏風 狩野派 江戸時代 探神院蔵)
この屏風は昔の大名達が領地の豊作を祝って描かせていた物の一つだ。
直参旗本は一応大名と同格を与えられていたので、毎年秋にはこの絵を飾っている。
秋の村祭りに傀儡師(くぐつし。人形芝居の事)や猿曳も呼んで領民を労っている様子が生き生きと描かれている。
こんな田園に暮らしたいものだ。

(上図傀儡部分)
右方のちょっと良い羽織と頭巾の男が庄屋か領主だと思われる。
子供達も元気に育っている。
さて私の今年を真面目に考えると、一番の収穫はこんなブログを訪れてくださる読者諸賢の多さだろう。
その感謝と共に諸賢の御多幸を心から祈念して、今夜は祝歌(ほぎうた)を歌おう。
本来和歌や俳句も吟詠する物、正に歌う物だったのに活字文化に毒されて今や誰も歌わない。
隠者としては幕末の俳人井月のように、収穫の祝歌くらい任せて欲しいのだ。
ただ鎌倉市の馬鹿げた条例では、屋外で許可なく歌ったり踊ったりしてはいけないらしい。
………で、結局一人カラオケで発散するしかない。
曲はボズ スキャッグスの名曲「We're All Alone 」
みんな淋しいんだ!

©︎甲士三郎