独り暮らしや頼りない夫婦だけの高齢者の家に、24時間対応のセキュリテイーシステムを設置することをアチコチでやってる。
それぞれの自治体では、高齢者用にそんな支援や助成がイロイロあり、驚くような良いサービスもある。
これを数百円の月額負担でやれるように、包括支援センターやケア・マネージャーらと打ち合わせをする。
高齢者本人は情報が無いため、ポカンと横で聞いていて、ただただ驚いて感心していることが多い。
なんでも金儲けの具にされる社会では、キチンと契約まで俺が立ち会って話をしている。
どこの地域でも、常に最新の情報やサービスにはアンテナを張ってあり、役に立つモノは動いてやってる。
ただし、忙しいとか時間が取れないとか抜かして放り投げることはないと日常の動きで理解させて、動いた以上は最期まで面倒を見ると皆の前で広言し、メンドクサイことはしたくない、他人が家に出入りするのは嫌だ、そういう思いも理解した上で、時間をかけて説得する。
感情を入れると上手くは出来ずに、丁寧にやって行くしかない。
これは歴戦の周旋屋には、簡単なことではある。
朝早くから外国人観光客でごった返す築地場外市場の中に建つ分譲マンションに出掛け、上階の水漏れによって被害を被った下階の賃借人と貸主の側に立って、保険会社の査定人と打ち合わせをしておったが、上階の所有者の中国人は、おとなしく従ってくれているので、なんとか上手く話はまとまりそうだ。
最初に大声で強く対応したことで、ちょっとおっかないジジィが相手だと思っているようでもある。
真っ黒に日焼けした顔にグレーの角刈り頭、アロハシャツに派手なスニーカー、そんな出で立ち仕事着で既に出鼻は挫かれていただろう。
銀座で、短パンでアジの開きTシャツにサンダル履きでいることもある。
昨日は銀座の近所で飲食店をやっている中国人の買った投資用マンションの売買の決済もあったが、これは私生活の相談も色々と受けている関係で信頼関係が出来ているので問題なく終わった。
外国人相手の不動産取引は、国や育った環境や法律が違ってくると、それを予期して準備しておかなければ後々に面倒なことが起きることになる。
おのずと色んな外国のことにも詳しくなってくる。
65歳になっても、まだまだオツムは素早く回転はしておるが、ニンニク料理は毎日食べているさ。
自分の息子や娘に、誰か良い人はいないか? そんな相談は年中あるが、忙しい最中にも紹介してあげたり、周旋屋の仕事にはそんなことは当たり前のように入って来る。
妊娠・出産・子育てから、高齢者の最期まで、なんでも出来て当たり前、大病院の紹介から医薬品の説明も、日常の話になっている。
直腸癌の手術後に子宮に転移の疑いがあると田舎で言われ、岩手の方から親類が出て来ていた昔馴染みの引越し屋の社長からも、いろいろと動き方を指南して、上手いこと精密検査も終わり、快方に向かいそうだと御礼の電話もあったり、入院中の女優から郵便物を見て来て欲しいとか、雑用はキリがないくらいに集まって来る。
解体業者や残置物処分と引っ越し業者、いろんな古い付き合いの業者はいるけんども、生前に断捨離をしてなかった人たちの死後の処分は、いまでは金がかかるようになっている。
産廃・リサイクルゴミ・生ゴミ・粗大ごみ・・モノでしか生存の意味を語れなかった浅はかな人間の恥部の山。
俺はどこに行っても、自分の持ち物なんてたいしてない。
俺がいる、それ以上の皆様へのご褒美はないだろうと、大笑いしている。
自由自在に動き回ってるオヤジ連中って、みなそんな感じだな。
無駄な荷物の多さは、その人の自信の無さの裏返し、無意味な戒名の価額とおんなじで、貧乏くさいチンケな価値観の自己主張。
俺のように自分の最期まで準備し終わっていると、喧しい営業や隙あらばの押し売りなんかは近寄らないし、逆にムシャムシャと喰ってやるくらいの話だ。
間抜けな猿ばかりが、無意味な時間と費用を使って、人物の小ささ貧しさを未来に遺そうとしているだけ。
あの世に行っても一緒にいたいとか、せめてお墓は一緒にとか、死んだら終わりなんだから、馬鹿臭い自己満足なんざ邪魔なお荷物だ。
今を後悔なく生きること、これがすべてだ。
大笑いだろうよ。