網走刑務所の看守を引退したオヤジと話す機会があって、高倉健のような渋い男を勝手に想像しておったが、ただのオッサンやった、当たり前か・・・向こうは向こうで銀座の周旋屋ということで丁寧に構えておったようで、お互いに当たり前のことだが、ただのオッサンやった。
不動産トラブルの相談の一コマ。
またぞろ弁護士や司法書士とのメンドクサイ打ち合わせばかりが増えて来てる。
子連れの離婚相談に、遺産相続の相談に、成年後見人の打ち合わせ・・・なんの利益にもならん。
その間にも、母子家庭の小学生たちを温水プールに連れてって、可愛い水泳帽かぶって泳ぎを教えてもやらんといかん。
こんな身体障害者、そんなにはおらんだろうが・・・夜はクタクタになってる。
さっきまで法律の小難しい話をしておったものが、小学生と学校の給食の話、旦那との離婚の話をしてるうちに、中学生との自慰と性教育の話、そんななか、銀座の近所の90歳過ぎてる爺様から電話がきて、蛍光灯が点滅するようになったから直してくれんか? との報。
おかげで積み重なった埃にまみれてエライこっちゃ。
店で手を洗い埃をおとしてると、お台場の高級マンションの客からオートロックのカードキーが割れてしまったと電話が入り車で飛んで行って、また近所の自営の社長から携帯に・・・相談があるんだが・・・と。
昨日一日でも、ずっとそんな感じだった。
・・・忙しそうだね~~
・・・ああ、なんの利益にもならん仕事ばっかだよ、笑っちゃうよ
離婚相談を受けていた母子の一組が別居の第一歩を踏み出した。
この話は、紹介を受けて知り合ってから、3カ月位になるけんども、9歳になる女の子は利口な娘で、すでに古典といわれてる本はみな読んでおって、自分で小説も書き始めている。
・・・オジちゃん読んで感想聞かせて!!
オジちゃんも20歳くらいの頃は大学をやめ、自費で雑誌を作っていた。
作家や詩人、画家や彫刻家、いろんな交流があったが、教科書にも載ってるような連中でも、ロクなのはおらんかったという話をしてやって、それで食べて行こうと思うなら、資本主義も過渡期の今は、どこかで妥協しないといけない、つまり自分に嘘をつく部分が出て来る、それを解決できるなら良いが、嫌になるなら止めて別の道を探した方が無駄がない。
方便の嘘は男女の仲でも必要だが、自分の想いに嘘はついてはいかん。
そんな話もしてあげてる。
そう、山や海に連れていってやるから、そこで自分を見つめてごらんよ・・・と。
困ってる母子や父子を助ける、これを業として大掛かりに始めると、それは嘘になる。
あくまでも本業は別に持ち、空いてる自分の時間で無償で関わって行く。
逆に赤字になってることがほとんどだ。
そもそも、国家公務員とは、本当はそういうことを言うのではないのか?
楽したい、安定が欲しいと、公務員になってる馬鹿や阿呆が国の未来を台無しにしている。
俺が離婚の相談から引っ越しまで関わるようになったのは、もう25年以上も前のことだろう。
シングルマザーという言葉すらなかった時代から、なんで続けてるのか?
そこに小さな子供が巻き込まれてる、そんなケースを見ると黙ってられなくなる。
弁護士や司法書士がやってるような仕事までも付き添いということでやったりもする。
弁護士や司法書士に頼んでも、高い金だけとられてナニも進まない、そんなことも多い。
そういう資格を持たない周旋屋として、関わって行く方が上手く行くこともある。
そうして俺自身、たくさんの子供を育ててきてるから、そこにいる大人たちよりも子供の方がずっと利口で合理的な考えを持ってることを知ってるから、無駄な感傷に浸って遠回りをさせたくない、そういう想いもある。
メソメソ感傷は自己弁護、悲観と悔恨は自己逃避、大人の世界って~のは、そんな風になっても疑問すら感じない不感症。
いつも敏感に生きて居て欲しいね。