『世間のカラクリ』 池田清彦 新潮社

世はまさに健康ブーム。
テレビなどを見てても、やたらと人様の健康不安を煽り立て、裏で一儲けしようなんて魂胆が見え見えだ。
徳さん、病いで引退した身の上とはいえ、３０数年来身につけた施療家魂は簡単には消えやしない。
どんな魂だって？
なに、簡単な注意だけで生きものとしての原則を守りあとは何もしない事さ。


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1999年２月、高血圧の基準値は160-95から140-90に
1600万人から3700万人に60歳以上の人の6割以上が高血圧とされる
これはどう考えても国民を高血圧にしたくてたまらない人が考えた基準変更

実際、高齢者で徐々に血圧が高くなるのは正常な生理反応で、フィンランドで、75歳から85歳までの男女521人を対象に降圧剤を飲ませずに経過を見たところ、80歳のグループで5年生存率が一番高かったのは最高血圧180以上の人たちだったのである。

では、どうしたら自分の最適値を知ることができるかというと、厳密には分からない。ただ自分の身体に聞いてみていちばん具合のいいときの検査値がおそらく最適値に近いと思う。(中略)　もっとも、そこまでして検査値に一喜一憂していたらかえってストレスで体に悪い。なにもしないで、のほほんとしているのが一番だと思う。健康診断を受けても受けなくても寿命には差はないよ。
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