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大塚 それは要するに「子供たち」といいながら、自分の子供以外に、あるいは他者に普遍化出来ていないんです。西の方が安全ということで広島に疎開した人間がけっこういますけど、それってかつて被爆地であった広島の側から見るとちょっと無神経かもしれない、と感じないのか。それでも大江は「無理」をして、大江の実在としての「私と子」を普遍化しようとして、その「無理」を大江は自分に課している。しかし、今の反原発はヒロシマ・ナガサキにも、イラクの劣化ウラン弾で被爆した「子供」へも、震災以降も平然と入港し続ける原子力空母や原潜へも――これって「小型原発」つきの船ですよね――広がらない。そこまでいう「サヨク」は相変わらず少数です。普遍化する気がさらさらないほどに閉じている。自分の子供を契機とする限り、その思想はそれこそ世田谷レベルの地域共同体から出ることはできないのではないですか。(中略)
母と子の関係とか父と子の関係とか、その一体的関係は、これが先ほど宮台さんがいわれた反抗期がないという問題や、親の振る舞いとも関わってくると思う。
親の側にも子の側にも、母と子の関係、子と母との関係を敷衍化しているような思考がたぶん出来上がっていないんです。
だからぼくが今、一つだけ「子供」の問題として危惧するのは、母親の放射能パニックの中で自我を形成していくことになる「子供」のこれから10年後、のあり方です。これは本当に注意をうながしておきたい。彼らは10年後、様々な名で呼ばれ、論じられるはずです。
大塚英志*宮台真司 『愚民社会』より 太田出版
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3.11、3.12の地震・津波・原発事故以後、急に元気を取り戻し、被災地に駆けつけ、一年半後の現在も現地でボランティア活動をしている人が徳さんの身近にもいる。
被災地の現状を伝えようとして、自分の持ち場でその人にふさわしい活動している人もいる。
被災地の障害者を招いて講演をしてもらったり、被災地の子供たちの活動を紹介したり、、、。
毎週金曜日の首相官邸前での反原発デモに参加している人も多くいる。
でも、この二人の対話は、ある意味でそんな彼らの行動に水を差す。
自らの内面の検証を不徹底なままに行動しても、この日本のいい加減な仕組みは変わらないよ!と。
復興が叫ばれている。
地域共同体の復権が叫ばれている。
技術面での復興はいずれ解消されるだろう。
核廃棄物の処理は棚上げにされたままにだが、、、。
しかし、問題なのは、個の確立、主体の形成だと、、、。
ほとんど、それが崩壊状態の中で、お二人は悪戦苦闘をしておられる。
学者二人の対話は、難解な言葉が行きかい、徳さん、いささかグロッキー、、、。
特に宮台さん、その志しと行動力、人を目覚めさせんとする思想上の作戦は拝聴しますが、もっと噛み砕いて呉れないと、、。
自ら進んで愚民になってしまいますよ。
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