贈り物

母は生前、私の顔、姿を見るにつけて「もう少しお洒落をしなさい」が口癖だった。
「はいそうですね」と言って変身できる容姿ではない。自分が一番分かっていた。
時々、「あれとこれを買いなさい」と言って小遣いをくれた。
そんな好意もどこ吹く風と、小遣いは身を飾る事には使わなかった。
いつか母を看送ったら、残してくれたお金と合わせて好きな事に使わせてもらおうと思っていた。

そしてこの一年いろいろ考えていた。やっぱり旅行がいいな～。
一周忌も済んで旅行先を本気で探している。
最近は外国旅行でも「お一人様限定」と言うのがある。
飛行機大好きだし、船旅もいいしとにかく身体の自由が利くうちだから・・・
友人は言う「旅は誰と行くか」で楽しいのよ～と。
分かってはいるけれど相手がいなければ仕方がない。
考えているだけで、楽しくなる。単純だから。

今朝、用事が有って母のいた施設を訪ねた。
帰りに母と散歩をした、水鳥公園へ立ち寄ってみた。鳥は水面にはいなかった。
蓮の花が綺麗に咲いていた。