最高裁判事候補のバレット氏の公聴会に垣間見る「神を見失ったリベラル派」
2020.10.16(liverty web)
《本記事のポイント》
- ホーリー議員が公聴会で良心の自由と信教の自由を擁護
- 諸権利の軽重が理解できない米民主党議員たち
- 民主党支持者の半数は、"ハリス政権"誕生を見越して投票する
トランプ米大統領が最高裁判事に指名したエイミー・バレット連邦控訴裁判事の公聴会が上院司法委員会で、15日(現地時間)までの4日間にわたって開かれた。
自身も最高裁判事の候補であったミズーリ州選出のジョッシュ・ホーリー上院議員(共和党)は、民主党議員による"宗教裁判"が行われないよう公聴会の冒頭で演説を行い、民主党をけん制した。少し長くなるが原理原則を端的によく押えた発言なので、紹介したい。
ホーリー上院議員はバレット氏の「信教の自由」を擁護
「あなたが最高裁判事に指名された後、リベラル・メディアは次々とあなたの信仰を攻撃しています。メディアだけではありません。この司法委員会のメンバーである副大統領候補のカマラ・ハリス氏も、かつてカトリックの組織であるコロンブス騎士団に所属していた判事候補の任命を拒否すべきだと主張していました。
民主党のダイアン・ファインスタイン上院議員は、あなたのカトリックに対する確信を"ドグマ(教義)"と呼んでいましたね。それはバレットさんに対してだけではありません。他の人たちに対しても同様の尋問を行ってきました。カトリックへの敵対的とも言える偏見があり、敬虔なカトリックであることとアメリカ市民であることとは両立しないかのようです。
しかし、イギリスで『権利の章典』が成立する前の段階で、アメリカは合衆国憲法6条で、『公務に就く際に、宗教テストをしてはならない』と定めています。ヨーロッパで、時の権力者の宗教を自らの宗教にしなければならないと考えられていた時代において、良心の自由、宗教的自由について認めた合衆国憲法の規定は、1787年制定当時大きなニュースとなりました。そうした大陸の伝統と決別し、アメリカでは自分自身の宗教的確信によって生きること、宗教活動の自由が保障され、公的な職務において信仰者は歓迎されることになったのです。
この良心の自由と宗教的自由は、他のすべての権利を後押しするものです。なぜならそれは、何を考え、誰と集まり、どう信仰し、何を言うかについて、政府は私たちに命令してはならないとしているからです。このアメリカの根本的な原理がいま、攻撃にさらされているのです。私はそのようなアメリカに住みたくありません。宗教テストは合衆国憲法で否定されていることです。この委員会においても、宗教への偏見を持つべきではありません」
ホーリー議員がいみじくも述べたように、人々が「内心の自由」や「信教の自由」を勝ち取る中で、言論の自由などの他のあらゆる市民的自由が生まれた。民主党議員が自由にバレット氏を批判できるのも、宗教的自由が認められる過程で付随的に生まれた言論の自由があるからである。
この根本原理を軽視するリベラル派は、信教の自由という権利がどれほどの重みを持ったものであるかについて、皮相な理解しかないようだ。本来の言論の自由は、「神の御心を探究し表明する自由」であったことも忘れているに違いない。
バレット氏が判事になると女性の権利が脅かされるのか
過去に「(カトリックの)教義が大きく影響している」と発言して物議を醸したカリフォルニア州選出のファインスタイン上院議員は今回の公聴会で、人工妊娠中絶は合衆国憲法上合憲であると認めた「ロー対ウェイド」判決は覆されるべきかどうかについて、バレット氏に詰め寄った。
これに対しバレット氏は、個々のケースが最高裁に持ち込まれた段階にならないとコメントできないとし、その場合は「法に従う」と回答した。
アイオワ州選出のジョニ・アーンスト上院議員も述べていたように、「職業的にも学問的にも大きな業績がある女性が、今日の女性たちが実現したいと願う目標を尊重できないはずがない」だろう。判事としての能力に非の打ちどころがないために、バレット氏の宗教的な側面を批判しているにすぎないというのが、判事任命反対の真相だろう。
民主党が創る倒錯した世界
民主党は、自分たちの意に沿わない判事の任命を妨害したいがために意固地になっているようだが、そもそも「人工妊娠中絶を行う女性の権利」と「生存権」では、どちらが優越するのか。
歴史上、自然権として認められてきたのは「生存権」であって、堕胎の権利はあくまでも消極的な権利にすぎないものだ。それをあたかも「積極的権利」であるかのように主張すると、本来人間が持っている自然権である生存権の方が脅かされる。幸福の科学の霊査では、妊娠9週目以降、母体に魂が宿るとされるが、その生命の「殺人」が正当化されることになる。
リベラル派は表現の自由の権利を行使する一方で、信教の自由を蔑ろにして無神論・唯物論的世界を助長。また、自然権である生存権より、女性の人工妊娠中絶の権利を擁護し、最終的に殺人を正当化している。神の真理を探究する喜びも、生かされていることの尊さも感じられないため、人類が重視すべき権利の軽重の判断を誤ってしまう。その結果、倒錯した世界を創り出してしまうだろう。
大川隆法・幸福の科学総裁の書籍『中国発・新型コロナウィルス感染霊査』では、地球を見守る宇宙存在が、リベラリズムを『民主主義』と思っている人たちに、新しい考え方が入らないかぎり、その文明が終わる可能性があるとして、アメリカ西海岸に天変地異が起きるといった警告まで示されている。
宗教に非寛容なカマラ・ハリス政権が誕生すればアメリカは衰退
民主党副大統領候補のカマラ・ハリス氏も、カトリックに対して強い偏見を持つ人物である。
彼女は連邦地方裁判所のブライアン・ブッシャー判事の公聴会で、カトリックの信仰に基づく慈善団体のコロンブス騎士団に所属することに疑念を投げかけた。そのことを理由として、地裁の判事になるべきではないと主張したのである。2017年の公聴会における、ファインスタイン議員とまるで"瓜二つ"の尋問を行ったのだ。
またカリフォルニア州司法長官時代には、その権力を行使して人工妊娠中絶を行わないカトリックの病院を廃業に追いやるなど、カトリックに対する非寛容な立場をとってきた。
宗教的に非寛容な立場は、宗教的自由を求めて建国されたアメリカの国是に反する。今後、"ハリス政権"が誕生した折には、宗教的に非寛容な、中国とよく似た国家になるだろう。
そんなシナリオは実は、現実のものになりつつある。もしバイデン元副大統領が大統領になったとしても、一期目の任期中に大統領の座を降りると考える民主党支持者は49%であり、半数に上るのだ。
民主党のナンシー・ペロシ下院議長が9日、大統領に問題があった場合は副大統領が大統領に昇格することを定めた修正憲法25条を突然強調し始めたのも、この文脈で捉えると分かりやすい。ハリス政権の早期誕生を匂わせたのだ。
今年の大統領選は、穏健派のバイデン氏とトランプ氏の対立というより、憲法違反も辞さない極左のハリス氏とトランプ氏の対決になっている。宗教に非寛容な"ハリス政権"が誕生した場合、信教の自由が失われるのと同時に、アメリカが中国と同根の唯物論国家になる危険性を秘めている。
唯物論が流行り宗教的風土がなくなったことが、ギリシアやローマが衰退した原因だった。国家を衰退させるリベラル派と対決し、さまざまな施策で宗教国家アメリカを再度建国しようとしているのが、トランプ氏である。アメリカ国民は選択を誤ってはならない。
(長華子)
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