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金子勝×室井佑月×大竹まこと:大失敗したアベノミクスを総括する

2015-12-15 23:11:02 | 日記


「経済の真相/アべノミクスに生活を壊されてはいけない」船瀬俊介の船瀬塾
https://youtu.be/s1Pl2O4tcG8


金子勝×室井佑月×大竹まこと:大失敗したアベノミクスを総括する
https://youtu.be/AkLu95ipUNY
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【●】「通貨及び近代経済社会の特質」 晴耕雨読 2015/12/15 
世界経済を認識する基礎
http://sun.ap.teacup.com/souun/446.html#readmore

質問!【世界経済を認識する基礎】についてから続きます。

あっしら:【事象的には、多くの人々が通貨の獲得を目指して経済活動を行い、獲得した通貨で生活に必要な物を手に入れるという経済社会である。
その前提として、自己の生存を支える基本的な生産手段を保有していないために、自己の活動力(労働力)を財として通貨と交換しなければならない人が多く存在している社会である。
「近代経済システム」の発展は、通貨の役割を強めるとともに、自己の活動力を他者に販売しなければ生存できない人をより多く生み出していく。】

すみちゃん:「これは「一般通貨」ですね。 このようなシステムは、通常は「市場システム」「市場経済」と呼ばれることが多いと思うのですが。
歴史的に徐々に明確化されてたきように、一般通貨は本質的には「価値表示媒体」です。もっと突き詰めて言うと、交換可能な財やサービスの価値を数量的、一般的に表示する媒体である。
そう考えますと、一般通貨による財やサービスの交換を可能とする市場が経済生活の全面を覆うにいたったシステムであると考えるのが普通のような気がします。
ここから「資本増殖活動」を根源的なものとして取り出す理由が良く分かりません。」



論点1:通貨及び近代経済社会の特質  [すみちゃんへのレス]投稿者 あっしら 日時 2005 年 8 月 02 日

「一般通貨による財やサービスの交換を可能とする市場が経済生活の全面を覆うにいたったシステム」と考えたほうがいいのは、歴史的に実在したことはありませんが、土地(自然の一部)と人間的活動力を自己のものとして占有する自営農民・自営手工業者・自営商人といった経済主体が存在し、それぞれの活動成果を商品化し、それらを交換する手段として通貨が使われる経済社会だと思います。
(自営農民が活動成果をすべて商品化するという事態は考えにくいので理念型としてご理解ください)

構成内容は別として諸家族が自立した経済主体として生存維持活動を行い、その成果をより高める(好ましい生活条件を得る)ための手段として他者と活動成果(商品)を交換するという社会であれば、提示された定義の適合性が高いと言えます。

しかし、現存する近代経済社会を「一般通貨による財やサービスの交換を可能とする市場が経済生活の全面を覆うにいたったシステム」と捉えると、表層的理解はできても、その本質が見えなくなると考えています。

近代経済社会は、上述のような経済構造と異なり、銀行家と労働者(活動力販売者)が大きなウエイトをもって存在しています。

近代経済社会の通貨は、政治的統合主体である政府部門が財や用役を手に入れるために発行することではなく、[中央]銀行が貸し出し(債券類の購入も突き詰めれば貸し出し)のために発行することで流通を始めます。
近代経済社会の通貨は、財の交換を目的として出現するわけではなく、利息の取得(資本増殖増殖)を目的として出現するものです。

また、農業であれ工業であれ自立した経済主体は減少し、自己の活動力を売る以外に生存維持ができない人々が増大していった歴史過程が近代の大きな特徴です。
近代の象徴が機械化された大規模工場である産業だとすれば、自前の生存維持条件をなくした労働者(活動力販売者)の相当ボリュームでの存在が不可欠ということになります。
労働者(活動力販売者)を擬制的に商品販売者と位置づけることはできますが、彼らが資本と結合して活動した成果こそが交換される財やサービスですから自立的な経済主体とは言えず、外形(見掛け)のみないし便宜的説明として交換取引をしている“擬制の経済主体”でしかありません。


「資本増殖活動」を近代経済社会の基本論理とするのは、それが経済主体の活動目的であり存続条件だからです。

産業資本であれば、投下した資本(貨幣)よりも多い資本(貨幣)を財の生産・販売を媒介として得ることが目的であり、それができない状況が長期化すれば撤退を余儀なくされます。
さらに言えば、近代産業は生産設備のために膨大な投資を求められます。それは、多量の貨幣が物に化けて固定化されることを意味します。固定化された設備を使って、投下流動資本を超える回収を実現するとともに、固定資本の償却費及び追加的固定資本の原資を稼がなければなりません。
追加的設備投資を行える条件を保持していなければ、“過剰な供給(生産)力”を構造的宿命とする近代経済(産業)社会では、競争に敗北し撤退を余儀なくされます。
“過剰な供給(生産)力”という条件こそが、全面的貨幣経済=全面的商品化を形成する動力です。

金融資本は、このような産業資本の経済論理を好条件として「資本増殖活動」を展開します。
株式資本のかたちであれ借り入れであれ、産業資本は存続するために外部から資金を得なければならない状況に不断に置かれていますから、金融資本の「資本増殖活動」に貢献する取り引きを行わざるを得ません。
(金融資本も資本増殖活動に失敗することがありますが、日米を見てもわかるように、その多くはアウトサイダーです。インサイダーが倒れるときには“裏”があると思っています)


「資本増殖活動」が総体として順調に回転していることで、貸し出し(株式購入)も行われ、産業活動も継続的に行われ、そのための手段である労働者(活動力販売者)も通貨を手に入れることができ、財やサービスと貨幣との交換がスムーズに行われるというのが近代経済社会です。

産業の「資本増殖活動」が不如意になれば、総体としての財やサービスと貨幣との交換は低迷したり、交換の連鎖が崩れることにもなります。



すみちゃん:「財やサービスの価値を一般的に処理し、交換可能なものとする市場を前提とし、この市場での財やサービスと一般貨幣との交換を通じて資本を増殖させていく活動が可能となったと考えるとは、それほど無理のない説明ではないでしょうか?」



上述したような自立した“市民”(経済主体)たちの貨幣を媒介とした交換経済が自然成長的に近代経済社会に進むことはありません。
そこでは、資本を増殖できる条件もありません。資本の増殖は利潤の獲得によって成し遂げられるものであり、経済主体間の交換からは利潤は発生しないからです。
以前から説明していますが、“真の利潤”は外部経済社会からしか得ることができません。

近代経済社会に進むためには、外部経済社会から貨幣的富を獲得する条件・貸し出しを始源とする貨幣供給・労働者(活動力販売者)が必要であり、それらを実現するためには政治権力の行使が不可欠です。



すみちゃん:「生産を流通よりも根源的なものと考えますと、広い意味での資本は、市場を前提としなくもと必要です。 このような市場経済以前の資本は、一般通貨で価値表現されることはなく、単なる栃とか生産機械とかの形で保有されている。
資本の増殖を目的とする生産活動は、財やサービスの数量的価値表示、すなわち一般貨幣なくして可能なのでしょうか?」

近代経済社会でも、産業資本の資本は土地や生産設備といった物で保有されています。
資本が貨幣というのは金融資本です。金融資本でさえ、貨幣資本は貸し出し債権や債券という別のものに転化させなければ増殖させることはできません。

金融資本の強みは、ものに転化させたはずの貨幣がすぐさま自分のところに戻ってくることです。(これは、中央銀行を含むすべての銀行が単一の金融資本家によって所有されている経済世界をイメージしていただければ理解できます)

近代貨幣の究極的権能は「他者の支配力」です。
「財やサービスの数量的価値表示、すなわち一般貨幣」は、機能であって本質ではありません。
「財やサービスの数量的価値表示、すなわち一般貨幣」の使用は、資本増殖活動を効率的に行う手段というレベルで捉えておけばいいのではないでしょうか。
使い勝手は悪いし反発も噴出しますが、効率的資本増殖=「他者の支配力」の増大は、財やサービスの“配給”でも可能だと思っています。
7/3/10

利潤、交易、一般貨幣、市場の外部性に続きます。

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【●】アベノミクス大失敗が反映されない「今年の漢字」
植草一秀の『知られざる真実』2015年12月14日 (月)
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-ebb0.html


公益財団法人日本漢字能力検定協会の理事長らが法人の利益を不適切に、また私的に利用していた問題が発覚したのは2009年2月のことである。


その結果として2009年6月、同協会の前理事長と前副理事長が背任罪で起訴された。


この裁判で京都地方裁判所は2012年2月29日、前理事長と前福理事長の両名に懲役2年6月の実刑判決を言い渡した。


そして、2014年12月9日、最高裁で実刑判決が確定した。


ちょうど1年前のことである。


この日本漢字能力検定協会が、毎年12月に、


「今年の漢字」


を発表する。


「今年の漢字」


は一般応募された「今年の漢字」のなかから、最多数のものが「今年の漢字」第1位に選出される。


2015年の「今年の漢字」は、


12月15日に、京都清水寺で発表される。


ちなみに、2014年の「今年の漢字」第1位は


「税」


だった。


2015年の第1位に選ばれる漢字は何になるか。


爆買い、爆発の「爆」


「安保法制」、「円安」の「安」


なども候補になるだろう。


昨年1位の「税」は、応募総数167,163票のなかの8,679票を獲得した。


この規模の数で第1位になるなら、組織票が動けば、その組織票で「今年の漢字」が決まってしまうことも考えられる。


そんな裏があるのか、ないのか。


といったことも考える必要はあるのだろう。


第二次安倍内閣が発足して、12月26日で丸3年が経過する。


この3年間に、円安と株高は進行したが、人々の暮らしぶりは、まったく改善していない。


「今年の漢字」と言われても、なかなか、明るい言葉、希望に満ちた言葉が思い浮かばないのはこのためである。


大企業の利益は拡大したし、株価も上昇した。


とりわけ、輸出大企業の収益は激増したから、そのような企業の、ごくひとにぎりの人々は、アベノミクスを絶賛するだろう。


しかし、そのような恩恵に浴したのは、本当にひとにぎりの人々だけなのだ。


大多数の庶民にとっては、アベノミクスの恩恵などまったく無縁なのだ。


その理由は、アベノミクスが、一般庶民の幸福など、微塵も考えていないことに依っている。


むしろ、アベノミクスは、一般庶民の処遇を引き下げることを推進するものなのだ。


一般庶民の処遇を引き下げることは、裏を返すと、一般庶民を労働力として活用する巨大資本にとっては、利益増大がもたらされるということを意味する。


労働諸規制が緩和され続けている。


正規社員の比率は趨勢として引き下げられ、非正規労働者が激増しているのは、政治がその変化を後押ししているからだ。


残業代ゼロや、解雇自由化など、庶民にとっては、生活の根幹に関わる


制度改悪


でしかないが、労働コストを究極の水準にまで切り下げたい大資本にとって、こうした規制緩和は大歓迎なのである。


何よりも象徴的であるのは法人税減税である。


財務省は2007年の時点で、


「日本の法人の税および社会保障負担は、国際比較上、高いとは言えない」


との判断を明示している。


「法人税減税の必要なし」


の判断を確定したのである。


その法人税について、日本政府は2012年以降、引き下げに次ぐ引き下げで対応している。


その一方で、消費税については、引上げに次ぐ引上げを実行している。


このような日本の現実を示す漢字は、


「暗」であり、「苦」であり、「酷」であり、「惨」であり、「終」でしかない。


この経済政策を変えること。


いま一番求められていることは、これだ。


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【●】「今日の世界経済を理解するために」 晴耕雨読 2015/12/15 国際政治
http://sun.ap.teacup.com/souun/134.html#readmore

マイケル・ハドソン 

 世界経済は純粋に経済上のものなのだろうか。

それとも、世界の法律や技術、雇用慣行、国際外交などが経済的な合理性にだけ動かされていると信じるのは、あまりにも楽観的すぎるだろうか。

 経済上の現象には暗部があり、その一連の邪悪な動機は、経済に重大な影響力を持つにもかかわらず、権力と支配を求める不合理な目的から生じ、経済に逆効果をもたらすものなのである。

 いつの時代にも子供たちは、善良で道徳的な世界がどう機能すべきかを教えられてきた。

その目的は子供たちに正直で生産的な行動をとらせるためであり、人を騙したり、約束を破ったり、盗んだり、嘘をついたり、賄賂を贈ってできるだけ多くの分け前を手にしようという人がいかに多いかということに子供たちを失望させないためでもあった。



ow306 今日の世界経済を理解するために

 また今日、教師は楽天的な学生達に「戦争は何の解決にもならない」という政治的には正しい格言を教える。

こう教える理由は明らかに、子供たちに戦争をしないよう説くことにある。

しかし、これは世界を理解する上で説得力のある方法といえるだろうか。

この教育では、子供たちがいずれ直面しなければならない現実に対処する準備を整えさせることができないのではなかろうか。

 何世紀にもわたり世界は戦争によって形成されてきた。

それにもかかわらず、戦争や暴力がいかに歴史を作り、世界の国境を書き換えてきたかという現実を子供たちに見せないように導くことは賢明な方法ではない。

成功するためには道理をわきまえた行動をとることだと教えるだけならば、いつか屈辱されて深く傷ついたとき、子供たちがどうしてよいかわからなくなるだろう。

何よりも悪いのは、それは子供たちを経済的な殺戮に対しても、平和裏にそして愚直に立ち向かわせることにはなるまいか。

 私は元同僚のハーマン・カーンとともに1970年代に日本を訪れ、世界が実際にどう機能しているのかを日本企業に説明したことがある。

その時カーンは、戦争によって解決された数々の問題を例示した。

ヨーロッパの国境を定め、その政治・金融制度を確立し、さらに宗教上の忠誠心を形成したのはすべて戦争であり、若い国家にイギリスからの政治的、経済的独立を獲得させたのは、米国の独立戦争であった。

日本に200年以上の鎖国を終わらせ、開国させたのはペリー提督率いる黒船であり、ナチ率いるドイツの反ユダヤ主義を解決したのは第二次世界大戦であった。

また西側の金融資本主義に対抗するロシアの共産主義を崩壊させるには冷戦が必要であった。

 このことからもわかるように、歴史の流れを決めてきたのは公正な取引きにおける合理的な計算などではない。

経済的な権力は、武力や威嚇、詐欺、公然と行われた窃盗によって手中に収められてきたのである。

しかし、経済学者は、正当な価格は公正な市場均衡点で落ち着くと説明し、世界が公正であったことなどなかったにもかかわらず、世界が架空のしかも「おとぎ話」のようなすばらしい世界であるかのように、公正な市場がいかに機能するかという研究を続けている。

一方、世界が実際にどう機能しているかの研究はなされていない。

世界がどう機能しているかを知らずして、日本を含む正直な国家が、自分達の国を操作し、威嚇し、騙そうとする世界規模の略奪者から自国を守ることはできないだろう。

したがって、軍事的征服者や弁護士、煽動政治家、腐敗した政治家や官僚、財界の詐欺師が、いかに歴史を作り上げてきたかを学ぶことから始める方が得策である。

彼らが有利な立場を築くことができたのは、社会から土地や他の生産手段を不当な方法で奪取する一方で、司法制度や裁判長の立場を支配してきたからに他ならない。

 内部事情に詳しい人間や投機家あるいは小搾取者が、土地を独占したり、顧客を経済的困難に追い込んで借金をさせたり、さらには相続税なしで子孫に遺産を譲渡したりすることでいかに優位な立場を築いてきたかという点にこそ、経済の研究の主眼を置くべきだと思う。

社会制度とは、始めに既得権益を手にした者たちがその権力を利用し、維持するために、警察、教育制度、宗教団体などを支配することに由来するものであり、それが社会を構成する人々の間の応分の取決めだと考えるべきではないのである。

 このような研究をしていけば、勝者が戦利品を維持し、さらにそれを肯定、正当化するために、武力による威嚇とイデオロギーを諸刃の剣として利用してきたことが浮き彫りになるであろう。

 経済モデルには、こうした背景はほとんど反映されない。

経済モデルが示すのは、理性的な人間が自発的に公正な市場取引の契約を行い、それに対する富の支払および増加にはそれと同等の価値の提供が伴うというものである。

しかし現実を形成しているのは、武力や他の圧力、または窃盗や詐欺行為なのである。

さらに重要なことは、国家の支配によって権力が確立されるということである。

国家支配のためには、不都合な政治ライバルが暗殺されたり、誘拐されたりすることもあり、それに協力した仲間には報酬が支払われる。

しかし、こうした国家支配のための秘密工作の手口も、合理的なユートピアで生活していればどんなにすばらしい生活が送れるかということを示す経済モデルにはほとんど反映されることはない。

 シカゴ学派のマネタリスト、ミルトン・フリードマンは、「この世にただなどというものはない」という、どちらかというと愚鈍な格言を有名にした人物である。

しかし、実世界で行われているのは、「いかに無償で利益を得るか」ということに集約される。

政治内部に入り込むということは結局、何かを無償で獲得するための政治プロセスに加わることによって、社会からただで恩恵を受ける仕組みを作る立場に立つことなのだ。

 無償の恩恵は、市場が耐えうる価格を設定することが可能になる「独占権」という形で与えられることもある。

これこそ、イギリスの内部事情に詳しい者たちが17世紀から19世紀にかけて裕福になった理由であり、第三世界のエリートたちが20世紀に自らを富ませるために使った手法である。

 公費を使い労せずして利益を得ることこそ、最も熟練した経済の勝者が行っていることの本質である。

土地や独占権、その他の資産を実際の価値よりも安い価格で購入すること、しかも自分の存在を可能な限り隠してそれを行うことは、裕福になるための最も確実な方法である。

その目的は自分自身ではリスクを負わず、社会や政府、あるいは国税当局やビジネス・パートナーにそのリスクを押し付けることにある。

 歴史を一瞥すれば、経済のゲームは決まって何かを無償で勝ち取るためであったことがすぐに理解できるだろう。

米国で最古の富豪の財産が築かれたのは、独立戦争勃発の1775年から1789年に憲法が発布されるまでの十数年間、共和国誕生のどさくさに紛れて行われた土地の横領に端を発している。

無節操な土地の横領、およびマンハッタンの南端部にあるトリニティ教会の不動産にまつわるニューヨーク市の腐敗によって、その後2世紀を左右する権力基盤が築かれたのである。

 同様に、それより7世紀前に行われたイギリスの土地横領では、征服王と呼ばれたウィリアム1世が1066年に英軍を破り、ノルマン人の仲間たちと土地を分割した。

それがその後のイギリスの歴史を形成し、また英国議会上院の有権者を決定することになった。

軍事力を背景にした土地の強奪は、いわゆる「原始的蓄積」であり、それは常に貰い得であった。

 無償で何かを得るということは、無料で富を手にすることである。

時にそれは、実際には発生しないリスクに対する代償という形をとる場合もある。

リスクがあるように見えるが、実際には存在しないリスクを冒すことに対して高収益が与えられる。

例えば1980年代半ば、米国の大口預金者は、最も腐敗の激しい S&L(貯蓄貸付組合)に預金することで割り増し金利を稼げることを知った。

預金者がS&Lの商売が合法的ではないことを承知で預金していたため、S&Lはその高リスクに対し高金利で報いなければならなかったからだ。

しかもS&Lが倒産すると、米国政府はFSLIC(連邦貯蓄金融公社)を通じて預金を保証したのである。

 もう一つのリスクのない割り増しボーナスを手にしたのは不動産投資家である。

彼らは銀行を抱き込んで不動産への融資を求め、自己資金はほとんどゼロで不動産を購入した。

その融資に対して、不動産投資家は賃貸収入全額を担保に入れた。

投資家が狙ったのは賃貸収入ではなく、不動産が値上りした時に得られるキャピタルゲインであった。

もし価格が下がれば、ただ退散すれば良かった。

 1990年以降、日本の不動産投機家が行ってきたのはこれである。

貧乏くじを引いた銀行が不良債権を抱えて苦境に立たされると、政府は公的資金を使って銀行を救済した。

不動産投機家の責任を追及して、過去に博打で儲けた売却益で債務を返済させることはしなかった。

それどころか、仲間の不動産投資家や完全な詐欺師、無責任な投機家に融資を行い不良債権を作った銀行や株主に責任をとらせることもしなかった。

 ニクソンは大統領時代、キッシンジャーや外交ゲームの理論家たちに、世界を舞台に自分の要求を押し通すには、他の国の指導者たちに、彼が狂っているのではないかと思わせることだと助言された。

これでニクソンは有利な立場に立った。

というのも他の指導者達は、米国の要求に屈した方が、ニクソンが癇癪を起こして世界の大部分を武力で破壊したり、秘密工作につながるような危険を冒すよりはましだと考えたからである。

 社会生活は、経済的責任や市場の妥協とは性質が異なり、むしろチェス・ゲームに似ている。

しかしそのゲームには変動要因が無数にあるため、必要な戦略をマスターするには一生かかる。

いや、一生かかってもすべてを学ぶことは無理かもしれない。

チェスとは違い、初心者が秘密工作や汚職、契約不履行といった戦略を学べる教科書はほとんどない。

この契約不履行が、富を蓄積するための最も確実で費用が一切かからない方法の1つだということはあまり知られていない。

今日では、不正を働いて不運な取引相手を裁判に巻き込んだ方が得策だというのが一般的な考え方である。

告訴者が損害賠償を勝ち得るまでには裁判に長い時間を要するばかりか、高い弁護料を払った方が裁判の勝者になると決まっているからである。

 窃盗が権力を得る最も簡単な方法の1つだとすれば、1989年以降(実際にはピノチェト将軍による1973年のチリのクーデター以降)行われている民営化は、歴史的に見ても最も重大な窃盗である。

民営化については権威ある学術書が何百冊も書かれているが、それらはすべて民営化政策が社会にとっていかに生産的で良いものかという趣旨のものばかりである。

そこには、チリの将軍、イギリスの投資銀行家、ロシアの元官僚といったエリートたちが、民営化によっていかに多くの略奪品を手にしたかについてはほとんど記されていない。

 経済学の裏には権力が存在する。

権力とは、権力中の、あるいは権力そのものの否応なしの拡大に対していかなる抵抗をも認めないことである。

古来、富の蓄積を駆り立ててきた動機とは、それを生産的な投資に向けるためではなく、権力強化のために使うことだった。

権力強化のため、ローマの役人に賄賂を与えたり、略奪的な指導者である主人が私設軍のために隷属平民を雇ったり、有利子の融資を行った後抵当権を没収したり、土地を獲得するといった手段がとられてきた。

 富や権力の追求は、とりつかれた霊魂の具現となる傾向がある。

経済的利益は究極の目標ではなく、近代の産業経済および金融組織経済における力の指標にすぎないのである。

 多くの人々にとってさらに理解しにくいのは、国家および公的所有を形成することは、これらの資産を民営化するのと同じように権力を獲得し得るということである。

心臓が収縮と弛緩を繰り返すように、民営と公営の両面で力が蓄積されるのである。

 社会そのものを道理にかなったものにするには、抑制と均衡の仕組みを作ることでそうした行動を食い止める必要がある。

しかし、権力を持ったエリートはすばらしく大袈裟な目的の虚飾に満ちた声明を用意したり、近代の操作的市場の持つ利己主義的性質を隠した結果を約束したりすることで、そうした社会の努力を阻害しようとするであろう。

 この種の欺瞞が、現在世界的に繰り広げられている社会および経済のゲームの一部をなしているのである。

経済理論そのものが摩耗しており、今日、学生たちが受ける経済教育は、世界が実際にどのように機能しているかを示す学術的な描写ではなく、特別利益団体を擁護するための粉飾的理論にすぎない。

 したがって日本が行うべきことは、米国の大学に送る学生の数を減らし、将来の日本の政治家や官僚に、世界的ゲームという認識への妨げとなる「おとぎ話」を学ばせないことである。

経済モデルの構築より、世界に対する穿った見方を含み史実を理解することが必要なのである。

 コンセンサスを優先する社会ではこのような見方は簡単には受け入れられないだろう。

米国に代表されるようなアウトサイダーからなる社会にこそ、より浸透しやすい。

しかしそれは、たとえ米国が自国では理解していたとしても、海外へ輸出できるような知識体系にはなっていない。

これは国際経済外交を混乱させるための秘密の方法や、日本や他の国に対してあたかも有益だと思わせて米国の命令に従わせる時に使う広報手段の特徴なのである。

 惜しげもなく無料で提供される助言は、結局、自らの利益に資するためのものである。

この教訓を学ばない限り、日本は自国の運命を自分達で決められるようにはならないであろう。
6/8/7
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日本病 石井紘基衆議院議員 1/5
http://www.youtube.com/watch?v=EhGE_ZIadEg&feature=related

日本病 石井紘基衆議院議員 2/5
http://www.youtube.com/watch?v=wVT3jkx8p98&feature=related

日本病 石井紘基衆議院議員 3/5
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日本病 石井紘基衆議院議員 4/5
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日本病 石井紘基衆議院議員 5/5
http://www.youtube.com/watch?v=SN8cpirvuOE&feature=related

石井紘基議員刺殺の真相 1/2
http://www.youtube.com/watch?v=XZvKh4J9vig


石井紘基議員刺殺の真相 2/2
http://www.youtube.com/watch?v=Dz5FIXVXRvk&feature=related


20150524放送【山崎康彦YYNewsLive特別講演】movie171146943
http://blog.goo.ne.jp/kitchendrunker/e/b2a9be940fc6b2a4a20f51ed2d79107a


「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」の検索結果 - Yahoo!検索(動画)
http://urx.red/ornG


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【●】richardkoshimizu's blog
http://richardkoshimizu.at.webry.info/
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【●】過去の講演会動画
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