先場所まで豪栄道関のことを「間違って大関になった男」と思っていました。また友人の多くにもそう言っておりました。
この不明を豪栄道関に謝るとともに優勝を心からお祝い申し上げます。
弁明させていただくとするなら今場所にしてもカド番を克服する場所でした。
大関になってからというもの8勝するのがやっとでそれも千秋楽にやっと8勝ということもありました。すると次の場所は7勝8敗となり、とても大関といえるような成績ではありませんでした。クンロクならまだしも、勝ち越しと負け越しが行ったり来たりではなかったでしょうか。
大関陥落はいつ来ても不思議ではないという印象でした。
一方、照ノ富士関が優勝したときこちらは数場所先には横綱を張っているだろうと予想しました。
けれどこちらが逆に大関陥落の危機に立ち至っております。
それが優勝、おまけに全勝優勝ですから相撲はまったくわからないものであると痛感しています。
来場所もこの調子を維持してほしいものです。
そして再びの優勝と横綱昇進を期待しています。
今場所の相撲の集中力と敏捷性はいうことがありませんでした。前なら引いていた場面をこらえて低い態勢を維持して逆襲の差し身がよかったです。14日目の首投げはほんとうはいけないのですが、あのぎりぎりの戦いの中ではOKです。
さて来場所に若干の不安があるとすれば、やはり相撲の形がまだはっきりしていない点です。今場所は前傾姿勢を保った点はよかったですが回しを引くのが速かったとはいえません。そのへんで勝敗がどちらに転ぶかわからないケースも4,5番ありました。
鋭く立つのはいい。けれどその後何をしたいのかまだまだ見えにくいのです。今場所は勢いで形をカバーした観がありますが、この勢いが陰ったとき形への強い意思が試されるでしょう。
名大関栃東のような浅い回しを引いてのおっつけ、寄り身。機を見ての出し投げで崩しての寄り、というような形をぜひ確立して安定性を身につけて欲しいと切に思います。あるいはかの柏戸関や白鵬関のような立会いの瞬間に回しを取る速さはまだまだです。
それが試されるのが来場所でしょう。
日本人横綱ということにあまり興味はありません。
とにかく相撲において秀逸な力や技を見せてくれる新たなスターの誕生を願っています。
間違って横綱になってもかまいません。いや2場所連続優勝に間違いはないでしょう。
少なくとも来場所10日目まではどきどきさせていただきたいものです。