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天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

坂東眞砂子逝く

2014-01-27 15:35:06 | 

毎日新聞が本日13時28分、直木賞作家坂東眞砂子の死を配信した。

「山妣(やまはは)」「曼荼羅道(まんだらどう)」などで知られる直木賞作家の坂東眞砂子(ばんどう・まさこ)さんが27日、死去した。55歳。葬儀は親族だけで営む。
高知県出身。奈良女子大卒業後、イタリアに留学してインテリアデザインを学んだ。フリーライターの傍ら童話を書き、1983年、毎日童話新人賞優秀賞を受賞。93年、ホラー小説ブームの先駆けとなった「死国」がヒット。97年、人間の性と業を描いた「山妣」で直木賞を受賞した。
2002年には「曼荼羅道」で柴田錬三郎賞に。イタリア、タヒチ、バヌアツなど海外で暮らし、「梟首(きょうしゅ)の島」「ブギウギ」など日本の習俗に根差した情念や性を書き続けた。
13年に舌がんを患い、肺に転移。同年末から入院していた。


ぼくが坂東を知ったのは偶然のこと。
退職して暇になったおととしの4月、府中市中央図書館を散策して、ふと坂東眞砂子の棚に目が行った。
『鬼神の狂乱』という表題に惹かれてそれを手に取った。彼女の故郷高知の山奥の江戸時代に起きた神隠し事件がこの話のベースであった。
期待せず読みはじめたらやけに面白くてのめり込んだ。
以後、『曼荼羅道』『道祖土家(さいどけ)の猿嫁』『山妣』『傀儡』『旅涯ての地』『桃色浄土』『葛橋』『死国』『ブギウギ』『朱鳥(あかみどり)の陵』『月待ちの恋』『善魂宿』『桜雨』を読んだ。
この作家をひとことで言えば「性と死と幻想」といえる。

なかでもこれがきらびやかに展開するのは『曼荼羅道』『山妣』でありこれをもって坂東の代表作とすることに大方は異論がないであろう。
この二作品はむろん優れているのであるが、ぼくがもう一度読んでいいと思うのは『道祖土家の猿嫁』である。
前者二作に比べて地味である。

高知の田舎のある不器量な女の一生を描いている。
この不器量さは自分を重ねているのか…。
村を出たいと思いながら浮気の絶えぬ夫の子を産んで育てて村で一生を終える女の話である。そこに高知ならではの風土と気風が濃厚に出ていてボディブローのように読後に効いてくる。
坂東は日本を離れていろいろな場所で生きたが、外国であるいは高知のあの風土をひそかに思っていたのではないか…。
『道祖土家の猿嫁』は坂東を語るのに避けて通れない原点のように思っている。

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2 コメント

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Unknown (南骨)
2014-01-27 20:00:52
坂東さんは5年くらい前に高知に帰ってきてたみたいです。
廃業の滝見茶屋を粋なカフェにリニューアルしたという地元紙の記事を読んだのは、その頃ではなかったでしょうか。

右城暮石も亡くなる4、5年前に帰郷しています(高知県長岡郡本山町出身)。
享年があまりにも違いますが、ご両人とも故郷を死に場所に定めたのかも知れませんね。
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Unknown (omachi)
2019-09-26 18:29:44
お腹がくちくなったら、眠り薬にどうぞ。
歴史探偵の気分になれるウェブ小説を知ってますか。 グーグルやスマホで「北円堂の秘密」とネット検索するとヒットし、小一時間で読めます。北円堂は古都奈良・興福寺の八角円堂です。 その1からラストまで無料です。夢殿と同じ八角形の北円堂を知らない人が多いですね。順に読めば歴史の扉が開き感動に包まれます。重複、 既読ならご免なさい。お仕事のリフレッシュや脳トレにも最適です。物語が観光地に絡むと興味が倍増します。平城京遷都を主導した聖武天皇の外祖父が登場します。古代の政治家の小説です。気が向いたらお読み下さいませ。(奈良のはじまりの歴史は面白いです。日本史の要ですね。)

読み通すには一頑張りが必要かも。
読めば日本史の盲点に気付くでしょう。
ネット小説も面白いです。
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